祈り 癒し パワー

Caterina Michikoの備忘録

ファティマの聖母⑤

2020-05-13 | 聖母月

ファティマの聖母
ファティマの聖母②
ファティマの聖母③
ファティマの聖母④
の続きです。



第5回目の御出現:1917年9月13日(木曜日)

9月13日の夜明け、ファティマに向かう道路は大混雑をしていました。
人々はロザリオを唱えながらコヴァ・ダ・イリアへと歩き続けました。
正午近くになるとおよそ2万5000人から3万人の巡礼者が御出現を待ってつめかけていました。
コヴァ・ダ・イリアではほとんどの人が帽子を取り、跪いてロザリオの祈りに唱和しました。
三人の牧童たちは人混みでなかなか御出現の場所に近づくことができませんでした。
途中で人々は彼らにマリア様へのさまざまな願い事を取り次いでほしいと懇願しました。
三人はやっとのことでいつものウバメガシの木のところに着き、そこでルシアがロザリオの祈りを先唱し、群衆が唱和しました。

後に枢機卿となったレイリアのジョン・カレスマ神父は友人二人と一緒に神父の制服を脱いで背広を着て御出現の様子を見に行きました。彼はそのときの様子を後に枢機卿になってから回想しています。正午になると、完全な沈黙があたりを支配しました。その後突然聖母を賛美する声が響きわたり、人々が一斉に空に向かって手を挙げました。空は一点の雲もない真っ青の晴天でした。そのとき、カレスマ神父は東の方向から西の方向へ向かってゆっくりと荘厳に滑ってゆく光り輝く球体を見ました。もちろん、彼だけでなく、友人二人も、そして居合わせた3万人の人々のうちの多くがこの球体を見て叫び声をあげました。異常な光を放っていたその球体は突然消え去りました。その球体は御出現のウバメガシの木に近づきました。そのとき、太陽の輝きが鈍り、あたりが黄金色になりました。ある人は空に星を見ることができたと報告しています。

ルチアが尋ねます。

「あなたは私から何をお望みですか?」

「戦争が終わるようにロザリオの祈りを続けなさい。10月には私たちの主がおいでになるでしょう。悲しみの聖母とカルメルの聖母も来ます。聖ヨゼフが世界を祝福するために幼子イエズスと一緒においでになるでしょう。
神はあなたがたの犠牲を喜んでおられます。神はあなたがたが縄をつけて眠ることを望んでおられません。つけるのは昼間だけにしなさい。」

「あなたにたくさんのことをお願いするように頼まれました。病気の人々の癒しや聾唖の人の癒しなどです」

「はい。ある人々を癒しましょう。しかし、他の人々は癒しません。なぜなら、私たちの主は彼らを信用しておられないからです。」

人々はここに聖堂を建てたいと思っています。

「お金の半分でロザリオの聖母の祝日に行列で担ぐ駕籠を作りなさい。後の半分は聖堂のためです。」

ルチアはこのとき、オリヴァル教区のある人から捧げられた2通の手紙と香水の小瓶を聖母に捧げようとしましたが、聖母は天国ではそれらは必要でないとお断りになられました。ルチアが第4の手記で明らかにしたところでは、このとき聖母はこう付け加えられました。

「10月にはすべての人が信じるように一つの奇蹟を行います。」

そう言われて、聖母はいつものように天に昇られ始め、そして消え去られました。

聖母が天に昇って行かれるとき、多くの人々が再び先ほどの光り輝く卵形の球体が東の方角へと上ってゆくのを見ました。
中には全然何も見ることができなかった人もいました。
信心深い一人の女性は自分が何も見ることができなかったので、いたく泣いていました。
そのほかにもこの御出現の間に巡礼者たちは不思議な光景を見ることができました。
彼らが見たのは空から舞い落ちる白い花びらのようなもの、丸くて輝いている雪片のようなものでした。
それは地上に落ちると消えてなくなりました。
非常に多くの人々がこのような感覚的な形で異常なことを経験したこの5回目の御出現は人々に聖母の現前を強く感じさせました。

この後、三人の牧童たちは人々につきまとわれ、質問攻めに会います。
ひっきりなしの訪問者たちによってルシアとヤシンタの家庭はかきまわされます。
牧場であるコヴァ・ダ・イリアは人々に踏み荒らされ、畑の野菜も取れなくなりました。
ルチアの母親マリア・ロサとヤシンタの母親オリンピアは羊を売り払わなければならなくなってしまいました。
家計は苦しくなり、ルチアは母親からお前のせいでこうなったと非難されます。
マリア・ロサも、オリンピアも、フランシスコとヤシンタの父親ティ・マルトも、9月13日には人々が見た不思議な現象を何も見ませんでした。

10月の初めに、レイクシダのマリア・ド・カルモ・メネゼス夫人がルチアとヤンタをマルト家とサントス家の許可を得て、自分の家に連れて行きます。
彼らを人々から引き離して8日間休ませるためでした。
しかし、二人が滞在していることは人々に知れて、多くの人々がつめかけて来ました。
このメネゼス夫人が二人に「あなたがたが予言している奇蹟がもし10月に起こらなかったら、大いに期待して興奮しているこれらの人々が、あなたがたを生きたまま焼き殺すかもしれませんよ」と言いますが、子どもたちは確信に満ちて「聖母が私たちを欺かれることはないので、ぜんぜん怖くありません。マリア様は皆が信じるように大きな奇蹟を行うとおっしゃいました」と答えました。
それ以前の9月27日にも、フォルミガオ神父が同じことを彼らに尋ねていますが、ルチアは同じ答えをしています。
10月の御出現のときには、子どもたちの近くで当局が爆弾を仕掛けて爆発させるという噂も広まっていましたが、ルチアは、もしそうなら、私たちはすぐに天国に行けることになる、といとこたちと話しています。
しかし、子どもたちの両親にとっては、このような状況は不安をかき立てるものでした。
マリア・ロサは御出現の前日10月12日の朝早く、ルチアを起こして教会に告解に行こうと言います。
彼女は「明日コヴァ・ダ・イリアで聖母が奇蹟を起こしてくれなかったら、人々が私たちを殺すという噂だから、死の準備のために告解をしておいたほうがよい」と娘に言います。
ルチアは「お母さんがそうしたいなら、一緒に行ってもよいですが、殺されることを恐れているからではありません。私は聖母が約束されたことを必ずなさると確信していますから」と答えました。
もう告解について話す者は誰もいませんでした。
マルト家では父親が御出現を信じていましたので、静かにその時を待っていました。

ファティマの聖母⑥に続く


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