▍中津川機関区のC12
かつての重装備D51を撮影しに中央西線方面を数日間旅したことがあります。その折に中津川機関区を訪れた際の1枚です。
生憎の雨の中、機関区の片隅で、主に入替えに使用されていたタンク機関車、C1269号機が待機中の写真です。車体は濡れそぼっていますが、煙室から湯気が上がり、火が入っていることを示しています。
左右に見えるD51は共に廃車で、既にナンバープレートが外され、ペンキで番号が手書きされています。

この旅ではリバーサルフィルムを使用したのが災いし、ほとんどが散逸して残ったのはこのモノクロ写真だけです。電化に伴い架線が張られた構内をC12が行ったり来たりしていたことだけは記憶に残っています。
1973年の夏の頃、大学3年生の頃と思います。この写真が残っていなければ思い出さないようなはるかな昔です。写真を眺めていると、その時の風景や出会った人たちを思い出し、なぜか、しきりにその日に戻りたくなります。写真とは不思議なものです。
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左側で雨に打たれているD51は、おそらく155号機で、そうだとすれば、1973年2月に廃車された後、同年9月に塩尻市役所前の塩尻市都市公園内に静態保存されることになる機関車です。C12の後方に留置されたD51192は、1973年3月に廃車され、民間で保存されました。しかし、その後、劣化等を理由に解体されてしまいました。
一方、C1269号機は、1974年3月に任務を全うし廃車となりましたが、同年5月に安城市に運ばれ静態保存されています。
廃車後に蒸気機関車が辿る道も明暗が分かれるのですね。∎
(アサヒペンタックスSPでトライ-X 400を使用して1973年夏頃撮影か)