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九月大歌舞伎<夜の部>@歌舞伎座(21年)

2009年09月18日 | 歌舞伎
遅ればせながら歌舞伎座夜の部の感想です。

今月は歌舞伎座さよなら公演と銘打ってはいますが、実際は例年通り秀山祭って感じの演目と配役になっています。

私のお目当ては夜の部最後の福助演じる八百屋お七。
八百屋お七は江戸時代に実際にあった放火事件をもとにしたお話です。

櫓に向かう様子を文楽の人形振りで行う演出がとても面白く、人形なので無表情ではありますが、お七の狂気が痛いほど伝わってきて見応えたっぷりでした。

幸四郎の勧進帳もサービスたっぷりでしたし、吉右衛門が鈴ヶ森、勧進帳、吉祥院お土砂と連続出演で奮闘していて、大御所の実力を見せつけられたって感じでした。

この日は歌舞伎初めてのお友達をお誘いしたのだけど、とっても楽しんでくれたようでした。このまま歌舞伎が好きになってくれれば嬉しいんですけどね。




歌舞伎座さよなら公演

九月大歌舞伎

平成21年9月2日(水)~26日(土)

夜の部

一、浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなづま)
  鞘當
          不破伴左衛門  松 緑
           名古屋山三  染五郎
           茶屋女お京  芝 雀

  鈴ヶ森
          幡随院長兵衛  吉右衛門
            飛脚早助  家 橘
           北海の熊六  桂 三
           東海の勘蔵  由次郎
            白井権八  梅 玉

原作は鶴屋南北。
没後180年なんだそうです。お芝居の中でそういう台詞がありました。

鞘当は吉原を舞台にした華やかで形式的な演目で、鈴ヶ森はユーモアな立ち回りと、長兵衛と権八の出会いを描いたお話です。

同じ演目だけど鞘当と鈴ヶ森は登場人物も内容も全然違うので、全く違うお芝居みたいでした。


鞘当てとはちょっとした喧嘩という意味ですが、このお話は染様演じる山三と松緑演じる伴左衛門が傾城葛城を巡って争うというもの。
その中ですれ違いざまにお互いの鞘が当たったことで喧嘩に発展したことから、この鞘当という言葉が生まれたのだそうです。

歌舞伎の言葉が現代にも受け継がれていることってなにげに多いんですよね、これもなるほどーって思いました。

前半は染様と松緑が笠をかぶっているものだから、台詞もよく聞こえないし、顔が見れないしでちょっと寂しかったです。

喧嘩の仲裁に入る芝雀さんが出て来てからの3人揃ったお芝居は華やかで良かったです。


鈴ヶ森、ここは昔処刑場だった場所で、雲助やゴロツキが集まるところでもあります。
そういえばこの前吉弥さんの「住吉駕籠」というネタでも雲助出てきたな~なんて思いだしました。駕籠を乗せた後、客を強請る悪い奴らなんです。

そんな雲助をバッタバッタと颯爽と斬りまくるのが梅玉さん演じる権八さんです。
美少年って言われたら微妙だけど、品があってとっても若衆姿が似合ってました。

権八に斬られる雲助達が、それぞれ趣向を凝らすのが前半のお楽しみで、腕を斬られておもちゃの腕出したり、真っ赤なお尻出したり、怖いシーンなのに笑えるって歌舞伎ならではだと思います。

その様子を籠の中で見ており、権八の剣の実力に目を付けたのが侠客幡随院長兵衛。
そう言えば、この前歌舞伎座でも長兵衛を吉右衛門さんが演じてたんですよね~。

男気があって、一度言ったことには責任を持つという、粋でかっこいいキャラクターは吉右衛門さんにぴったりで、惚れぼれしました。


二、七代目松本幸四郎没後六十年

  歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)

           武蔵坊弁慶  幸四郎
             源義経  染五郎
            亀井六郎  友右衛門
            片岡八郎  高麗蔵
            駿河次郎  松 江
           常陸坊海尊  錦 吾
           富樫左衛門  吉右衛門


幸四郎の勧進帳にはトラウマがあります。
去年地方公演で観た勧進帳は音響も悪いし、花道もないという最悪な環境でちっとも面白くなかったんですよね。

なのでリベンジ。でも3階A席だから結局は最後の飛び六法は見れないという・・・。
意味ないないじゃん!
でも今回はさよなら公演だからか、普段はあまりやらないという弁慶の滝流しも見れたし、15年ぶりという兄弟競演が見れて大満足でした。

富樫役の吉右衛門さんの、死を覚悟して弁慶達一行を通す決断をする苦悩の表情がとっても良かったです。
菊五郎パパの富樫もいいけど、吉右衛門さんの富樫もかなり好きかも。

染様の義経も気品があり、台詞はそれほど多くないけどよく通るいい声が3階席にもよく響いて心地良かったです。


三、松竹梅湯島掛額(しょうちくばいゆしまのかけがく)

  吉祥院お土砂
  櫓のお七

           紅屋長兵衛  吉右衛門
           八百屋お七  福 助
           小姓吉三郎  錦之助
            丁稚長太  玉太郎
            下女お杉  歌 江
            長沼六郎  桂 三
            月和上人  由次郎
            若党十内  歌 昇
           釜屋武兵衛  歌 六
            母おたけ  東 蔵


このお芝居を観る前は、八百屋お七の悲恋物語か~って位しか予習してなかったものだから、あんなに笑えるお芝居とは思ってもいませんでした。

基本はお七と吉三郎の若い男女の恋物語なのですが、それに加えて紅屋長兵衛・通称紅長(べにちょう)が舞台を引っ掻き回し、面白おかしく舞台を盛り上げるというドタバタ喜劇でした。

ギャグ満載だし、もうとにかくくっだらないんですよ~。

勧進帳では神妙な表情で富樫を務めていた吉右衛門さんが、いきなり「マジで!?」とか「ぽーにょぽーにょ♪」とか歌いだしちゃうから驚きです。

世話物ってその時々の流行ってる言葉を取り入れることがあるけど、ここまでやっていいいの?って思っちゃう位。

お七と吉三郎の恋を助けるために紅長が一肌脱ぐのですが、かけられると体がグニャグニャになってしまう「お土砂」(どしゃ)を悪者にふりかけて、お七を逃がしてあげます。

調子に乗った紅長は舞台にいる人全員にお土砂をかけるもんだから、皆ぐにゃぐにゃになってバタバタ倒れてしまいます。
これに怒ったお客さんが乱入して係員の女性が止めに入ってくるという大騒ぎに!
って言ってもこれも演出で、この2人にも粉をふりかけてグニャグニャにさせられます。

しまいにはツケ打ちの人もグニャグニャ、定式幕を引く黒子さんもグニャグニャにされてしまい、最後は吉右衛門さん自身がニヤニヤ笑いながら幕を引くという、前代未聞な展開にあっけにとられてしまいました。

隣の方は本当にお客さんが舞台に乱入してきたと思ったみたいで、すっごいびっくりされてました(笑)

吉右衛門さんらがふざけている間、終始ハメをはずしすぎず初々しく可愛らしかったのがお七の福助。
相手に婚約者がいようがなんだろうが、全くめげずに積極的に自分の気持ちをアピールするお七。見た目はおしとやかなのに、心の内には情熱的なものを秘めています。

だからこそ、最後は吉三郎を想うあまり、放火をしちゃうわけなんですけど、若さってすごい。

吉三郎は錦之助さん。こちらも見目麗しい美男子でお似合いの2人でした。
お七の演技に騙されてコロッと落ちちゃうところがなんとも可愛いかったです。


櫓のお七の場は、一転して雪のしんしんと降る静かな場面になります。

実は吉三郎は元は侍で、お家の重宝「天国(あまくに)」と云う名刀を紛失した為に家を勘当され、刀の行方を探している身であり、取り戻さなければ、切腹させられるという状況。

吉三郎が切腹させられる前に一目でも会いたい!と願うお七ですが、木戸が閉められ会いに行くことが出来ません。
そこで激情のあまりお七は禁じられている火見櫓の太鼓を叩いて、木戸を開けようとしてしまいます。みだりに叩いたら火炙りの刑になることを知りながら・・・

ここからが一番の見所、火見櫓に登るまでが文楽の人形の様に見せる「人形振り」になります。
文楽の人形遣いが二人登場し、お七を操ります。

人形遣いと福助の動きがぴったり合っていて、まるで本物の人形を見ているかのようでした。
衣装は紅と浅葱の麻の葉段鹿の子の振袖で、白い舞台に映えて鮮やかで本当に美しかったです。

櫓に登り、吉三郎に逢いたい一心で太鼓をたたく時のお七の鬼気迫る表情は胸に迫るものがありました。

悲しいお話ですが、そこまで人を好きになれるお七という人はすごく魅力的で、それだけにお七のエピソードは色々なお芝居(三人吉三など)に取り入れられたりしているのだと思います。

また、実際にはお七は放火をしたそうなのですが、当時火事を嫌ったため、お芝居では櫓の太鼓を叩くことになったんだそうです。

お土砂の場は喜劇、櫓の場が悲劇、とあまりにも違うため少々面喰ってしまいますが、どちらも見応え充分で、櫓の場だけでも幕見でもう一度見ようかなって思います。


そんな感じで思いのほか面白かった夜の部でした。昼の部は連休中に観る予定。
染様の竜馬完結編が楽しみです。

この日お弁当。

松屋の鶏専門店の鶏づくし弁当。ホントに鶏だらけで途中で食べるの飽きてしまい失敗でした、反省。




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