デザインのデザイン原 研哉岩波書店このアイテムの詳細を見る |
「デザイン」という言葉は、非常に解釈の難しい言葉です。
その意図するものがあまりに自由で奔放で都合よく使われているため、その言葉を使う人と、その言葉を聞く人の間でギャップがあることもしばしばです。
デザインとはそもそも何を意図する言葉なのか?
著者はアートと比較することによって、デザインの本質を浮き彫りにしてみせます。
アートとデザインはどこが違うのか?
「アートは個人が社会に向き合う個人的な意志表明であって、その発生の根源はとても個的なもの」。
これに対し、
「デザインは基本的には個人の自己表出が動機ではなく、その発端は社会の側にある。社会の多くの人々と共有できる問題を発見し、それを解決していくプロセスにデザインの本質がある」。
とても明解で納得のいく説明でした。
説明はさらに続きます。
「問題の発端を社会の側に置いているのでその計画やプロセスは誰もがそれを理解し、デザイナーと同じ視点でそれを辿ることができる。そのプロセスの中に、人類が共感できる価値感や精神性が生み出され、それを共有する中に感動が発生するというのがデザインの魅力なのだ。」
まちづくりの業界では、コミュニティ・デザインという言葉を耳にすることがあります。
しかし、その意味するところは、デザインという言葉同様、曖昧だったり、定義が難し過ぎたりと、結局何のことなのか、まちづくりという単語と何が違うのか、わからないことが多々あります。
しかし、原研哉さんの語るデザインの本質を考える時、コミュニティ・デザインという言葉が持つ深い意味を提示してくれるように思います。
①デザインの根源は社会の側にある(自分勝手な主張もなければ過剰な装飾もない)。
②デザインの目指すもの(計画)を関係者が皆理解できる(少数の思い込みや独り善がりではない)。
③デザインの過程(プロセス)を関係者が皆理解できる(謎めいたブラックBOXが存在しない)。
④デザインの発端は人々との問題の共有にあり、これが共感(成果)の源泉になっている(問題の共有のないところに共感は生まれない)。
⑤デザインの根源、計画、過程、成果、これらを通じて深い感動が得られる(思考や感情の参加が不可欠である)。
数あるまちづくりの活動のうち、このようなコミュニティの形成こそ、『コミュニティ・デザイン』と呼ぶことができるのではないでしょうか。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます