地理人レポート

展示や新グッズ作りに向けたコラボレポートと、空想地図&地図グッズ紹介をお届けします。

マニアフェスタオンラインを機に、「地理人 コールセンター」を実施します。

2020年09月26日 | 全般・その他
みなさまこんにちは。
9/26(土)、マニアフェスタオンラインに出展しております。

本来、リアル会場で物販やイベントを一堂に会するイベント「マニアフェスタ」のオンライン版らしく、とはいえブログ&EC・動画&ライブ配信…ってそれフェスタがなくてもできるやん〜という感じで、一体何をすればいいのか謎イベントではあるのですが、

おそらくこれは起爆剤です。
同時多発的に何かが起こるという示し合わせで、フェスタ感は生まれるのか…?という実験だと思います。

私からしても、こんな機会でもないと配信なんぞしようとは思わなかったので、この起爆剤は、初・ライブ配信しよう、という方向で使わせていただきます。

というわけで、本日13:30〜15:30、16:00〜18:00の間、「地理人コールセンター」をライブ配信します。お電話下さい。電話でいただく質問、人生相談〜等をそのまま配信します。

1時間目

2時間目

電話、来るのか?(謎)



空想地図は誰でも作れる!〈作例と解説その1〉

2020年09月16日 | グッズトーク
こんばんは、おはようございます。地理人です。

みなさまお元気でしょうか。私は、元気…いやー…
健康っちゃ健康なのですが、最近は活力に欠けています。加齢でしょうか。インドカレーは好きです。いや、私より歳を重ねていて活力ある人たくさんいるんだよな…

 




 
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さて、コロナが深刻化してからというもの、最近やる機会がないのが空想地図ワークショップ。今年1月に千葉市ななめな学校で実施して以来やっておりません。先週品川アーティスト展で実施予定でしたがコロナ影響で中止に…。世のあらゆるオンライン化の波にも乗れないプログラムです。

これとは別のワークショッププログラムを今月オンラインで実施する機会がありました。リアルな場の力、価値を感じさせられます。季節野菜とミックスベジタブルカニとカニカマくらいの違いはあります(思ったよりうまいこと言えなかった…活力が…)以前であれば料理人の逸品と冷凍食品くらい違う…と言えば良かったんでしょうけど、最近冷凍食品のレベルが上昇中なんですよね…。



しかしこの空想地図ワークショップでやっている空想地図づくり、完全に自宅でできるものなのです。実はとてもリモート向きなものでもあるのです。なにしろ一人でやるので、そもそもオンラインでやる必要もない…一切グループワーク的なものもなく、ひとりオフラインプログラムです。

では紙があったらどうにかなるの…?
なるんですが、ゼロから地図を描けって…空想地図描画経験がないと難しいことです。スパイスさえあればカレーが作れる料理人or趣味者はひとにぎり。多くの場合は、スパイスセットやルーを使います。

そうか、空想地図のスパイスセットやルーがあればいいのか…
ということで数年前に生み出されたのが空想地図キットです。


2015年に試作し、バージョンアップしたのがこちらの2019年版。マルシェルでもお買い求めいただけますが、気になるのはワークショップでは何をしているの?ということ。

このプログラムの肝は、最後に私が皆さんの作った地図に描かれた街の解説をするというコーナー。ダメ出しではありません。そりゃ現実主義者の私から見て「現実社会では起こり得ない地図」なんてたくさんできてきます。しかしこれらはすべて空想。むしろこの地図が成り立つ社会を現実的に想像してコメントします現実に寄せていくのではなく、地図に寄せた現実を紐解いていくのです。私のコメントの後に、地元の人(作者)のコメントもいただきます。

それではいくつか見てまいりましょう。

こちらは2019年5月1日、令和初日に東急ハンズ新宿店で開催した際の参加者の作品です。


おやおや、いつの時代でしょう。戦前くらいか、あるいは案外未来すぎるかもしれません。川の河口が三角州になっていますが、ここにどうやら街ができています。ぐにゃぐにゃの細い道路網で、古い建物がたくさん並んで賑やかな市場や商店街があるのでしょう。しかし、川に流されることを恐れて空き地になりそうな三角州に、なぜ街が…?そして、橋が少ない…。ここが、前かもしれないし未来かもしれないポイントです。

よく見ると鉄道に沿って小さな道路がありますが、線路に並行する小さな道路があります。戦前くらいだと鉄道橋と道路が同じ橋の上を通っていたりしました。車の交通量が多くない時代です。そんなオールドスタイルな橋が、最近(2000年)まで残っていました。愛知県の犬山橋です。
この三角州を渡す橋、そんな、超オールドスタイルなのでしょうか。海沿いを左右に横断する鉄道(+道路)と、内陸を左右に横断する太いバイパスと思われる道路とあり、現代ならこちらのバイパス沿いにロードサイド店舗ができたりするんですが、それも一切ありません。やはり前の時代なのか…

鉄道とバイパスの間にこそ橋がほしいところですが、ありません。むしろこの川は流量が少なく、新しい川を作ったことでこちらは主流ではなくなり、公園になっているかもしれません。そして、今はドローンができたことでちょっとしたものは飛ばせるようになりましたが、この地図の時代は橋がなくても、人間はちょっとなら飛べるのかもしれません。なにしろ左下、海上に大きな橋がかかっています。かなり遠いところまで結ばれる橋でしょう。戦前なら作れない大きな橋を技術的には作れるのです。

また、地図の左を見てみると、海上の埋立地に向上が作られ、左上の田畑は全く手がつけられていません。今の日本なら、ロードサイド店だけでなく、埋立地に作られた工場もこちらの田畑をつぶして作られるはずです。埋立地造成、お金と手間がかかりますしね…。ここは相当、意図的に農地を守っているといえるでしょう。米は金なり、なのでしょうか。そう考えると江戸時代的オールドスタイルなのですが、時代は回るとも言いますので、未来かもしれません。

中央上にある四角い黄緑のエリアは、城址か古墳か…?ここもみどころだと思いますが、個人的には川沿いのマーケットを歩いてみたいところです。

続いての地図は同日の別の方の作品。


おお、これは歩いてみたい…。地図の中央少々右に賑やかそうな街がありますが、なにより太い道がなく、あるのは細い道ばかり。車が通ってなさそうですが、歩くにしてもかなり迷いそうで、土地勘がないと歩けない街です。

自家用車普及率が低く、大規模にインフラを整備しない時代なのか、今の時代だけどそういう国なのか。想像は膨らみます。そして川を渡る橋が、今度はひとつもありません。渡し船か、浅いから水中を歩いて渡るのか…。水中を渡るにはちょっと広い川幅で、簡単な橋なら作れそうな川幅なので、この2つの説は怪しいのです。ひとつ可能性があるのは、仲が悪い説。

注目は河口からちょっと内陸に入ったところ、川の左右に少し太い道路があります。つながってそうな道路なのです。これ、前は橋があったのかもしれない…もしや…戦乱の世で…橋が壊され流されたのか…いやいや物騒ですが、戦乱の中なのか、終わった後なのか。情勢も気になりますし、人々の営みも気になります。

本日最後は、現実的な作品を。昨年品川区で実施した際の参加者の作品です。


一気に日本の現実に引き戻される〜ただいまおかえり日本。
左下に城がありますが、今や公園になっているのでしょう。四方八方から橋がかかっています。そして城址の上に街が広がります。城址の近くに小さな駅が、少し上に大きな駅があります。小さな駅は地元私鉄(広電、嵐電、福鉄のような)、大きな駅はJRでしょうか。

地図上部になると山があり、山沿いにある住宅地は、道路網も新興住宅地のような道路模様です。城址付近から順番に人が住み始め、徐々に地図上部に行くにつれて、後の時代に開発されていき、ここ100年で徐々に人口が増えた都市といえるでしょう。ここまでは日本の典型例です。

城址の右にある田畑は大事に守られています。城址だけでなくこの都市を支えた大事な田畑として保全されているのか、農家の権利が強いのか。というのも、駅の上側に競技場があるのですが、住宅地の中にあります。ここに作るのはさぞ大変だったでしょう。あるいは競技場のためなら引っ越したり、遠方からの観戦客でワイワイすることい寛容な住民なのかもしれませんが、なにしろ日本では城址の中に作られたり、田畑をつぶして作られるので、なかなかレアなのです。そういう意味では、古風な日本の都市っぽいですが、スポーツ精神強めな市民が多いのかもしれません。


さて、なんか真面目に解説してしまいましたが…
こんな感じで読み解くことができます。まだまだあるので、次回はもうちょっと破天荒な地図を紹介して参りたいと思います。

Googleマップだけじゃない!海外近隣国のネット地図(2020年版)

2020年09月03日 | 全般・その他
日本にはYahoo!地図やマピオン、MapFan等さまざまな地図があることを紹介しました。海外を見るときこそ皆さん、Googleマップを見ると思います。いやいや、これも必ずしも正解ではありません。

Googleマップがメインなのは、日本近辺では少数派?

日本近辺でGoogleマップをメインで使ってる国や地域は台湾と香港(たぶんマカオもそう)くらい。日本と接する中国、韓国、ロシアはGoogleマップはメインではありません。中国ではGoogleが撤退しているためそもそもGoogleマップが見られなかったりするのですが、北朝鮮はそもそも国内から見られるネット地図がないはずです。意外な地図が詳しかったりするのであとで紹介します。

先に断っておきますが、私はテクノロジーの知識はありませんので、API〜といった情報は全く把握しておりません。また、現地で公共交通(特にバス)を使うので、バス乗換検索の画面が多々出てきます。

(私のスマホの海外地図アプリたち。中国、ロシア&CIS諸国、韓国に行く際は、上中段の6アプリは入れておきましょう。PCだとそれぞれ同サービス名で、Webから見られます。)

中国では「高徳地図」と「百度地図

中国のネット規制は有名ですが、中国のwifiにあやかるとGoogle(検索、地図、メール)もTwitterもFacebookも使えないことでかなり不便します。つまりそれだけアメリカのサービスに依存してるという訳ですが。ところが中国本土で使える香港SIMをAmazonで事前に買っておけば、お手持ちのSIMフリー携帯で、上記のサービスが使えます。こんな感じでGoogle MapでGPSが使え、現在地も軌跡も取ることができます。(画像は重慶市)

とはいえGoogle Mapは私の中ではGPS記録用で、中国滞在時は基本的には使いません。スポットの情報もあまりないし、公共交通ユーザーからすると乗換検索が壊滅的に弱いからです。

中国のネット地図2トップ、高徳地図(高德地图)と百度地図(百度地图)の比較は使い方解説比較記事に詳しく書いてあります。シェアとしても公共交通の検索も高徳地図が優勢らしいんですが、私個人は百度地図をメインで使っていますが、その要因は主にビジュアルです。

(左:高徳地図、右:百度地図)

引いて見たときの情報量が、高徳地図のほうが少なく、百度地図のほうが多いのです。


(左:高徳地図、右:百度地図)

かなり拡大すると似た詳しさになってはくるんですが…高徳地図のほうがフラットで情報が少なく今風なのかもしれませんが、私からすると百度のほうが好みです。なお、ストリートビュー(全景)があるのも百度地図の強みです。


そして、日本の地図だと体験できないのが、バス停を押すとそこを通るバスの系統や路線が出てくるという機能。日本でもApple地図は実装してますが、その他の地図では見たことがありません。ところでこの上海17路の車窓風景、新旧市街地の景観の変化が激しく楽しいので、動画をご覧下さい(ビリビリ動画)。中国では倍速で動き字幕を入れ、なぜか日本のアニソンを流すバス前面展望が流行しています。


ところで中国の地図ということは、中国が主張する国境に忠実だということです。南シナ海の、中国以外の国が「そこ中国じゃないだろ…」と言うエリアこそ中国として強調されて描かれます。ところで気になるのは北方領土。ロシア領土として描かれているかと思いきや、国境線は日本と同じ引き方をして日本領土としながらも「ロシア占領」と書いてあります。案外そういう認識なのね…。

韓国ではNaver地図kakaomap

韓国ではGoogleマップは使えますが、韓国にデータセンターを持たない企業への地図データ搬出禁止の法律があるようで、Googleマップは公的な地図や道路交通情報を反映できないようです。

(左:Naver地図、右:kakaomap)

そこで使われてるのがNaver地図(네이버 지도)とkakaomap(카카오맵/旧Daum地図)。Naverのほうが圧倒的にユーザーが多く、韓国Google Mapにはストリートビューがありませんが、Naver、kakaoの両地図ともストリートビュー(ロードビュー)に対応しています。さらに最近日本語対応もしています。


はい、こんな具合に日本語になります(日本語のスマホに入れると第一に日本語で表示されます)。そういえばハングルは日本の仮名のような表音文字です。韓国人の感覚からすると漢字は不要、読みだけ分かっていればいい…と思っているようで、あらゆる地名がカタカナに訳されます。フェヒョン駅(会賢駅)、ミョンドン駅(明洞駅)は漢字で書いてくれ…と思うのですが、その感覚はないようです。漢字は彼らにとって、日本で言う古文漢文のような「昔使ってた、学校で勉強する難しいやつ」という認識で、「漢字が嫌い」と言う人の多いこと多いこと…。

(左:Naver地図、右:kakaomap)

さきほどの高徳地図と百度地図の比較と同様、拡大すると、フラットで情報が少なめのNaver地図と、色も情報も多めのkakaomapの違いが見て取れます。もうお気づきかもしれませんが、私はkakaomap派です。



(左:Naver地図、右:kakaomap)
韓国で何より進んでいるのはバスの検索。各バスにGPSがついており、いまバスがどこを走っているのか、指定のバス停に何分何秒後に来るのかが出てきます。ところでサムイルギョと書いてあるけど正しい読みはサミギョでは…。あるいは漢字で三一橋と書いてくれると覚えやすかったりしますが。



そんな日本語・漢字地名で見たいあなたには!コネスト地図があります。日本人向けに編集された韓国のスクロール地図。どこにその需要があるのかは分かりませんがかなりちゃんと編集されており、Webだけでなくアプリもあります。地図も美しい。ただ、乗換検索やストリートビューはありません。



ところで、漢字の固有名詞を調べても分からないこの国でよく漢字を特定したな…という努力の跡が見られます。「(株)大静環境」とか「基山橋」とか、ものすごく調べるのが大変だったはずです。まぁいいや。


ところで日本海に浮かぶ某小さな島についての熱が強めの韓国。超大きめな字で「独島(トクド)」と出てきます。まぁこれは韓国ならそうだろうなという感じですが、韓国の書店で売られていた日本の紙地図で「竹島」が修正液で消されて売られていたのはビビった…。

ロシアではYandex2GIS

あれ、忘れてませんか?日本の隣国はまだまだありますよ。しかもこの隣国もメインはGoogleマップではないのです。そう、ロシア。全然話題に上がりませんが、ロシアでは圧倒的にYandex Maps(яндекс карты)が主流です。次いで2GIS(2ГИС)という地図もあります。ところでこのYandexというサイト、日本におけるYahoo!のようなポータルサイトで、メールや乗換検索、宿の予約等色々な機能を統合したポータルサイトです。

(左:Yandex Maps、右:2GIS)

情報量は似ていますが、どっちかというと2GISのほうが濃い目です。Yandexは英語・ロシア語の表示が選べます。


バス検索画面はこんな感じ。路線によってはGPSでバスを追うことができます。交通系はYandexのほうが強いので、乗換検索の際はYandexを使います。ロシアの地図と紹介しましたが、旧ソ連(現CIS諸国)でもこのYandex・2GISペアがGoogle以上に活躍します。


さて、一応見ておきましょうかね、北方領土。中国や韓国と異なり、国境線を引いて強く主張してきませんが、しれっと「ユジノクリリスク(国後のロシア名)」「クリリスク(択捉のロシア名)」と表示されています。クリリスクを拡大すると…Google Mapでは真っ白ですが、Yandexでは道路や施設の情報も出てきます。



Hotel Itrup(ホテル イトゥルプ←択捉)なんてあるんですね…。予約できそうな画面ですが、残念ながらボタンを押しても反応なし、公式サイトもなしということで情報はつかめず…。

北朝鮮は案外OpenStreetMap

最後に北朝鮮です。日本編で紹介し忘れました、地図界のWikipedia「OpenStreetMap」ですが、北朝鮮では一番詳しい地図です。平壌駅付近を見てみましょう。

(左:Google Map、右:Naver地図)

世界最強Google Mapと韓国最強Naver地図、やはり平壌では情報薄めです。これでも一時期よりはかなり詳しく表示されるようになったんですが。

(左:kakaomap、右:OpenStreetMap)

続いてkakaomapとOpenStreetMap。群を抜いて詳しいのがOpenStreetMapです。ちなみに路面電車の線路も書いてあるのはOpenSteetMapのみ。現地で乗って確認したのですがルートは3路線とも正確です(私が乗ったのは2系統だけだけで、1と3は他の移動の際車窓から見て確認した限り)。kakaomapはOpenStreetMapより情報は薄いものの、施設名は詳しく書いてあります。というか平壌駅前ってやたらと大学が多いのね…(대학の表記が大学)。


そんなわけで海外、といっても近隣国の地図サイト、アプリを紹介しました。近隣情報しか押さえておらず、他にもGoogle Map以外の地図がメインで使われている国や地域がある気がするのですが、全然押さえきれておりません。ヨーロッパやアラブ世界にはありそうな気がするんですが、どうなんでしょう。ご存知の方いましたら、お知らせ下さい。