地理人レポート

展示や新グッズ作りに向けたコラボレポートと、空想地図&地図グッズ紹介をお届けします。

データで振り返る遠出自粛とキャッシュレス/地理人振り返り2020 (6)

2020年12月31日 | コラボレポート
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さて、時代はデータサイエンスの時代です。
振り返りの最後はビッグデータ…ではなく…私一人のスモールデータから振り返る、コロナ影響の行動の変化とキャッシュレスの変化を眺めてみます。誰からの何の需要もないデータ情報をお届けします。

歩行回数と距離

まずはiPhoneのヘルスケアアプリから、歩数の集計と、交通費の集計です。


2020年3月までは、コロナ影響がありつつも、国内は通常通りの遠出をしています。4、5月の緊急事態には、交通機関の利用回数(および交通費)が一気に減っており、それに伴って歩数も、通常時の3分の1に減っています。このことが体調、体重に大きく影響しました。肩や腰が圧倒的に固くなり、体重も通常時の2〜3kg減で、特に食事や運動も変えてないのでおそらく筋肉が減っていると思われます。筋肉は一度衰えると戻らないという話も聞いたので、こわいコワイ…と思い、人との接触を避けながら動くことを取り戻そうとします。そこで今年初登場の山登りも始まります。

9/20(高川山)、10/4(九鬼山)、11/14(金時山)、12/20(再び高川山)と、9月以降は月1回山に登ることとしました。

山登りの日の歩数は1日2万歩程度なので、山効果は大きくありませんが、歩行は通常時と近い歩数に戻ってきました。10月はgotoに乗っかって遠出しましたが、それ以外の交通費や利用回数はおおむね通常時の3分の2程度でしょうか。減ったような減ってないような。

公共交通機関・交通費

交通費で特に変わったのは遠出でしょう。見てみましょう。



おお、海外への渡航費が0円という初めての年になりました。その割に国内遠方はそれなりに行っています。実は3月まで頻繁に行っていた、ということもありますが、10月前後の遠出も加算されて、例年通りになったのかもしれません。




遠出の内訳です。国内のLCCとJRに限って使っている…という具合です。減っているような減っていないような。

キャッシュレス化

最後にキャッシュレス化についてです。2019年から徐々に変わっていったのでこの2年分の変化を3ヶ月ごとに見てみたいと思います。


税金や口座振込等を除いた支出額でもありますが、現金はレシート等で集計すると大変なので、現金引き出し履歴から、そこから税金の払込を引いて算出しています。

以前は現金とカード決済の割合が 2:1 だったのが、スマホを用いたモバイル決済が登場し、現金、カード、モバイルの比がおおむね 1:1:1 になったもようです。確かに現金を引き出す回数が随分減った実感はあります。

2020年の振り返りはそんなところで。あと僅かですが良いお年を〜。

(おわり)

作家活動で開拓する今後/地理人振り返り2020 (5)

2020年12月31日 | コラボレポート

振り返りも5記事目です。あと1投稿で終わるはずです。
それでは最後に、地理人作家街道2020…の振り返りで、書籍と並んで続けているのが展示です。
またコロナらしからぬオールドメディアアウトプットですが、書籍ほど積極的になれてはいませんが、ただし、過去4年続き、来年も情報未公開ですが1回実施が決まっています。なんでしょう、この、現代美術作家としての引きの強さは、書籍以上に想定外でした。

今年は、これまでの公立美術館の展示とは違って、ギャラリーで行ったものですが、「空想調査員が見た、空想都市」展を行いました。実施内容は当ブログ前記事で紹介したので割愛します。あるいはこちらの動画をご覧ください。


これまで私が進めてきたことの多くがワンオペでした。これまで何回か人を招いて進める共同企画は企てては止まっていました。確かに色々進行管理ができたとも思いますが、内容未決の状態で、期日と会場が決められて展示の機会をいただけたことで進みました。そう、ミッションが振ってこないとやらないのは変わらないので、書籍だけでなく展示も、機会をいただけるよう、新たな実績を積んでいければと思っています。



振り返りと今後の展望は、おおむね以上です。
半年前の振り返りから新しい出来事を追加しました。著述と展示等、新たなアウトプットを生み出す流れを加速しつつ、バランスよくいろいろな仕事をいただければと思っております。よろしくお願い致します。

基本的な振り返りは以上ですが、あと1投、仕事と一切関係ない個人的データで振り返るコロナ影響とキャッシュレスの波を振り返ります。
(つづく)

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3冊の書籍刊行見込み情報/地理人振り返り2020 (4)

2020年12月31日 | コラボレポート
「お前の未来はない」空想地図作家の終わりとはじまり/地理人振り返り2020 (3)

大晦日です。振り返りは続きます…が、振り返りというより今回は今後の予定、見込み情報です。
昨年からの方針ですが、新刊は積極的にどんどん出していく方針としました。


昨年の振り返りでも、ほどほどヒットを狙うには本が良いという話は書きました。
要約すると、無報酬の趣味では、定期的にコンテンツを作り続けたり、膨大なコンテンツのアウトプットをする手間と時間を割けない、続かないと思っています。Youtubeやブログでは、しばらく無報酬のまま続け、その後大ヒットすれば収入が入るが、しなければ入らないという結構な博打打ちです。それまで定期的に、マメにコンテンツ出し続ける必要がありますが、その気力と自己管理能力がないので、私には向かないという話でした。その点、本は最初に刷る部数に対して(本によっては売れた部数に対して)何%と割合が決まっていて、契約書で印税の割合を決められます。運営の一存で静かに変わるYoutubeよりは、圧倒的にフェアです。

そんなカネの話は置いといて…誰からも頼まれなくてもマメにコンテンツを出し続ける自己管理力がなくても、どんな構成、内容で作れば良いかを相談する相手(→編集者)がいて、私が営業しなくても全国の書店、あるいは電子書籍マーケットに届き、数年経っても実績として出すことができるというのは、書籍出版の大きな魅力でもあります。また、イベントや取材、テレビ・ラジオ出演では、これまでヒットしたもの、話題になったもののアウトプットが求められます。私であれば空想地図、およびこれまで空想地図作家としての活動、となります。まだヒットしていない、価値も定まらぬ未来のアウトプットについては求められません。

書籍は逆に、前に書いた本と同じ内容では意味がなく、他の本と似たような内容の類書でもあまり意味がありません(ビジネス書や実用書で、類書が大量に出る分野もあるけれど…)。少なくとも、世の中で初めて見るような、そして私も初めてやるようなことが許されるし、場合によっては求められる、ということです。ここが一番大きいと思います。

では私は、新しく何をしたいのか、したほうが良いのか。

1. 空想地図帳(学芸出版社)

ひとつは前記事で書いたような、空想地図キュレーターとしての動きです。
あらゆる空想地図作者が描いた空想地図をもとに、世界、地域、都市のなりたちが見える「空想地図帳」(仮)、学芸出版社より刊行予定です。
こちらは前投稿でたっぷり書いたので、今回の投稿では割愛します。


2. 地理人と全国300都市を回ったら(光文社新書)

タイトルの話は一切しておらず、いま仮題をつけたばかりで明日には忘れるやつですが、企画は進んでいて、既に2万字ほど書き進めています。
こちらはアウトプット手段の新規拡張です。なんと、エッセイ調。書籍刊行そのものも「え?私?」てな感じでしたが、エッセイはさらに…です。新人編集者さんからの依頼でしたが、すんなり企画が通ってしまったとのこと。なぜに…?なんせ、私自身がエッセイをほとんど読まぬのです。読まないし書いたことないしニガテでしかないだろ…と思ったんですが、一回深呼吸し、深く唾液を飲み込んで考えました(誇張が含まれています)。

地図、地理の分野、界隈の中では、私は知識や情報を発信する記事執筆に長けたほうではないが(より優れた人がたくさんいる)、特に前提知識や関心がない人に対して、しゃべって伝えることは比較的長けていると思います。なるほど、そのような感じで、前提知識や関心がな人に語る感じで…主観を交えて私の人間味みたいなものがにじみ出る感じで文章を絞り出すという筋トレをするか、ということで、この企画をOKし、書き進めています。この他にも1〜2冊の本が進み始めると大変なので、こちらは先行して書き始めています。



 2006年9月、大学3年生の頃、私は両親と同居していた。大学生の夏休みは長く、旅にはうってつけの時期だ。東北と北海道を1週間ほどで回る予定を、両親に1ヶ月前に伝えると、母親は「なんでまたそんなところに行くのか」と言う。なんでと言われても…そのときは回答に困った。成人したし、財源は自分のバイト代の収入だし、行くことには変わりなかったのだが、1ヶ月前に報告すると「事前の相談」みたいになってしまい、なぜ行くかの説明が求められるような気がした。名案を思いついた。行く直前に言えばいいのだ。相談ではなく「出かけます」という宣言に近い報告にすればいい。そうやってそれ以降は乗り切った。
 あとで母から聞いた話なのだが、行くのを止めようと思った訳ではなく、ただ単に、なんで行くのか気になっただけだと言う。ねぶたや雪まつりを見たいとか、本場の芋煮やジンギスカンを食べたいとか、東北や北海道に行く人が目的にしそうなことを一切言わないので、その動機が何のかが単純に気になったのだと言っていた。確かに、言われてみればそうだ。私はむしろ混みそうなイベントの時期は避け、回りたい観光地がある訳でもなかった。目的地は各地方都市そのものと、各都市を結ぶ移動手段である普通列車だった。目的地が地方都市と普通列車だ、ということは当時、伝わる気がしなかったどころか、私もそれが主目的地であるということに自信がなかった。この本をもって、当時の質問の回答としたい。
 今でこそ「地方が良い」とか、地方都市の魅力は語られるようになったが、私が全国を回り始めた2000年代は、観光地以外の地域は、特に注目されてもいなかった。京都や金沢等、都市自体が観光地になるような都市を除いては、地方都市に行くと言うと「なんで行くの?」と言われるようなことだった。ただ、地方都市に行くと第二、第三の故郷かつ第二、第三の新生活がみつかる気がして、ただただ追いかけるように回っていたのだ。



こんな書き出しで始まり、やがて北海道から九州、沖縄まで、全国を普通列車と路線バス、フェリーで回る話です。
おもしろい本になるんですかね〜。なるといいんですが。

うまくいかないかもしれませんが、うまくいけば文章表現力の拡張、となります。

3. 歩くだけで世界が見える 東アジア編(未定)

最後に…またまた別のアウトプット手段の拡張です。なんとイラスト
誰からもイラストを描いてほしいと頼まれたことも、期待されたこともありません。そりゃそうだ。でも空想地図も、全国回ることも、もともとそうだった訳です。むしろ誰からも期待されないほうが、新しそうだし縛られず自由にできるという側面もあります。

そして届けるターゲットを広げるとしたら…これまで人文書の版元が続いています(白水社・晶文社)。アカデミックな文系の知的好奇心旺盛な層、およびそのフォロワー(人文書の層)に、地理人の動きは届いてきたような気がします。ではまだ届いていなくて、届きそうな層はどこか。実用書…昨年の方向オンチ本はそうでしたが、希少価値の追求を目指すなら一旦は先送りします。一般書…となると県民性の雑学とか、既にある需要にリーチしていくことが多いと思うので、類書の山の中で埋もれることになります。

そこで目をつけたのがビジネス書や経済誌の版元さん。この層はまだ届いてないけども、届いたらおもしろいだろう、と思っています。例えば日本経済新聞はいかにも社会、経済、会社…の動きを伝える専門紙の面が強いですが、同社の日経MJは、すぐ役に立つことに限らず、新しいカルチャーやトレンドも紹介していて、ライトな心持ちで読んでおもしろい雑誌のような感じです。東洋経済、プレジデント等、他のビジネス書、経済誌関連の出版社も同様です。人文系、カルチャー系に比べると、要点をまとめてスパッと伝えていく…読み手も同様に、要点をまとめてスパッと吸収する…人文系が深くじっくり吸収するのと対照的ですが、広い範囲の知的好奇心が旺盛なため、そしてこうした層の人々に色々な話をしても大抵おもしろがってくれるので、何かここの層にリーチする新しいものを書ければ、と思っています。

そこでとある出版社さんに自発的に提案しました(初)。まだ審議中ということで、決まっていませんが、決まったら進めます。
ところで何の本だ、って話ですよね。

空想ながらその国、その地域らしい典型的な街の一面をイラストで描き、深読みする都市図解本です。



このようなイラストと切り口です。
改札やホームに向かう階段の位置が同じ、日中韓台の架空の駅をイラストで描き、各国、各地方の習慣や考え方の違いを読み解く本です。
駅だけでなく街や店舗、住宅〜等、見過ごしそうだけどよく目に入るものをいくつか挙げるつもりです。ちなみに158という数字は適当で、実際にはこれともうひとつくらいしかできていません。

そして!もうひとつ…共著者、三文字昌也氏を巻きみました。

単著を出したい方が多い中で言うのは躊躇するんですが、私はずっと単著が続き孤独でした。単著沼を抜け出したい…!しかし抜け出す方法はあります。誘えばいいのです。誘うの、何より苦手なんですが…しかし見つけました、都市のスペシャリスト。まだまだ若くして、都市計画という都市のマクロ研究者であり、屋台研究やゲストハウス運営という都市ミクロプレイヤーである、このマクロとミクロの両者を揃えた逸材はなかなかいないのですが、デキる人は大物になる前につかまえないとつかまらない…今しかないのか…ということで誘うに至りました。彼はもともと建築の出なので、イラストは描けます。いろいろ教えて〜〜

(つづく)

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「お前の未来はない」空想地図作家の終わりとはじまり/地理人振り返り2020 (3)

2020年12月30日 | 振り返りと展望

ワタクシ、9月末に「お前の未来はない」と言われ、未来の行き詰まりを突きつけられました。誰が言ったって?・・・私です。

今年は、凄腕の空想地図作者が増えています。そのプレイヤーは大学生や高校生。コロナで遠くに行けない代わりに多くの時間が生まれたためこの勢いは進展した…と考えればコロナ影響ですが、関係ないかもしれません。それでは実際に見てみましょう。

手書きにして、今や幻となってしまった(※新規製作・刊行しなくなっただけで、残部は書店等にまだ多数あり、購入可能)1万分の1地形図です。よく見ないと見えないのですが、等高線は1メートル単位で描いてあります。その他、道路の車道と歩道が描き分けてあったり、何より全ての建物が描かれています。ひとつひとつ小さな建物が…戸建住宅や農家の納屋も…。芸が細かいというか、途方も無い作業量。さらに…

なんとこの方、架空の古地図をも作っています。この都市の旧版地形図です。右から読む旧字体であるだけでなく、この当時の地図記号(今は田を || で表現しますが、以前は水田、乾田、沼田がそれぞれ別の地図記号で、ここで描かれている || は水田)を再現。海岸線の線描グラデーションや、市街地の建物密集地の塗り方等、これまた芸が細かいのですが、自動車社会ではなかったこの時代特有の道路の広がり方や、河川改修されていない屈曲した川の様子、農村の様子が再現されています。

このツワモノはナニモノぞ、と思いますよね。ちょっと前まで高校生だったホヤホヤ大学生なのです。なんということだ…。

他にもいらっしゃいます。


こちらも新旧の古地図です。
旧城下町の城址が官有地や軍用地になって、戦後になると鉄道や道路が人やモノを集め、都市が広がっていく様子が描かれています。そして彼はさらに若かったはず…。

そして手描き勢に負けず、恐るべき知識とセンスと技術で空想地図を描くのが町田勢です。町田勢…と私が勝手に呼んでいるのですが、町田あたりにいる大学生2人です。ある時代の西洋画家を「印象派」と呼ぶ潮流があるように、あとで空想地図界の潮流を振り返るなら「町田派」とか言われているかも知れません。言われてるっていうか、私が言ってるのか…。

まさにこれは…昭文社街の達人シリーズの1万分の1道路地図そのものなのですが、全て架空です。彼はニュータウン開発、都市計画道路についてはかなり詳しく、宅地や道路の変化については、変わりゆく現地や、公示情報を追っています。情報収集力だけでなく、地図そのものも、いかにももともと農村だったところが都市化して郊外住宅地になった…その様子をありありと描いています。私の中で巨匠扱いになっており、気安く声をかけられない状態にありますが、用件ができたのでこれから声をかけることになります(ハラハラ…)。詳しくは彼のサイトをご覧ください。

最後に、もう一人の町田勢です。


彼もデザインは昭文社の都市地図そのものなのですが、近世から現代に至るまでの都市発展を追って、空想地図を作っています。城下町や主要寺社の形成、それらを結ぶ街道の形成を追い、それがそれ以降の時代の変化でどう都市化していったか、地名から道路や集落、その後の施設の作られ方、描き方は見事で、溜め息が出ます。私の語彙力と説明力が崩壊しています


というわけで、空想地図界は恐るべきレベルアップで大変なことになっています。見て楽しいだけでなく学ぶべきものがありすぎる、空想地図の見どきです。気づいている人は気づいていて言わないだけだと思いますが、私は既に彼らにその知識や技術、センスを越されています

そうなれば、私が空想地図作家を名乗って私ばかりがメディアに露出することへの不自然さが、そろそろ問題視されても良いのではないでしょうか。うちは歴史だけはあるけどおいしくない有名店、みたいなものです。

それゆえに、9月末に「お前の未来はない」と(私に)言われた訳ですが、そんな私に残された選択肢はふたつあろうかと思います。

私がレベルアップする
一人の描き手ではない、別の価値や機能、役割を見出す

結論から言うとどちらもやるんですが、私のレベルアップって限界があると思っています。なんたって彼らがすごい。とんでもない。それでもどうにか追いつこうと思っているわけです。

先日、こんなツイートをしたのですが、まだ構想段階で正式には決まっていません。オンライン「空想地図塾」。これは私が講師になって色々教えてやろう、というものではなく、私が学びたいのです。ただ、彼らに先生になってもらうのもアレなので(一流の職人が、それを教えるのに長けているとは限らない…というかたぶん彼らも職人肌)、空想地図の独習メソッドを模索し、技能向上の方法を編みだす試行錯誤の始まりです。私だけでなく他の描き手にも有益ではないか、と思っています。いつやるか、そろそろ決めなきゃ…。

続いて、別の価値や機能を見出すという話。前回の振り返りで「作家として生きる」話をしていたものの、それをひっくり返すような話ですが、空想地図"作家"のままではいかんなと。

彼らが技術と知識、センスに長けた職人であり、太刀打ちできないのなら、私に残されたアクション、アウトプットは何なのか。上記の独習メソッドもそうですが、空想地図を作ること、鑑賞することのプラットフォームづくりかと思っています。Twitterで空想地図を追っている人は、彼らの存在に気づいていますが、多くの人は私の空想地図にしか気づいていないかと思います。まず最初に、多くの人がこうした空想地図を見て、この記事で書いたような空想地図界の現状を知ってもらうのが先決だな、と思っています。

そのために…

来年内に学芸出版社より「空想地図帳」を刊行予定です。さきほどは今年の空想地図の進展を紹介しましたが、これまでにもRanoさんをはじめ、凄腕空想地図作者はいます。今回紹介していない今年の空想地図もあります。古地図から現代の地図、街の様子が見える詳しい地図から、地域全体を見渡す地図帳まで、さまざまな地図があり、それぞれの地図から都市や地域の成り立ちを読み解くことができるのです。

ここまで来ると、空想地図は誰にも頼まれずに作られた、一人趣味のありもしない地図…ではなく、まちづくり関連の研究者、実務者にとって有益だ、と言うことです。作者としては一人前でなくとも、その中でなぜか商業出版の企画が通りやすい私ができることは、著述、刊行によってその道筋を作ることなのではないかと。

そう、そのために、これから私は各作者に掲載の許諾を取る連絡をするのです。掲載料…的にもそうおいしい話ではないし、りーべ君以外は会ったことがないし、多少の緊張を催すのですが、OKしてくれる作者が多ければ多いほど、内容は濃いものとなります。

それと同時に、さきほど「私の語彙力と説明力が崩壊しています」と書きましたが、問題は私の紹介力です。私にとって当たり前であえて紹介、説明することを省こうとする無意識…を言語化しなければなりませんし、私の知識や観点にも偏りがあるので、どこかで必ず知識不足が出てきます。これらをどうカバーし、良い本にしていくか…が、まず短期的な目標ではあります。

空想地図は私一人の一芸である…という誤解があるとすれば、この本でそれを解き、空想地図を見る人を育て、私だけでなく空想地図界の現状をしっかり把握する人が増えることを狙いたいと思っています。このままだと私は、私一人でこの件について悩む孤独状態で死にそうでしたが、やっと人とこの悩みを共有し、解決策を探っていく一助になるのではないか、って自分本位の話ですか…!??

スミマセン。ではまた。(つづく)

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「企業案件がほしい」を戒める。しかし、作家として生きる…え…?/地理人振り返り2020 (2)

2020年12月28日 | 振り返りと展望
昨年の振り返りの振り返り

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昨年の振り返りでは「企業案件がほしい」「ワンオペを脱してコラボしたい」「展示とは何か」「ほどほどヒットを狙う」「誰かと海外に行く」なんてことを書いてました。今年は「ワンオペを脱してコラボ」した「展示」があり、珍しくことを進められました。ただ、もちろん海外には行けないし、一番違うのは「企業案件がほしい」を改めようと思ったことです。いや、長期的にはほしいんですが、お前、まだ早いぞ、と戒めた年でした。

というのも、以前から少々企業案件はありました。2016〜17年頃、そのピークは来ました。自治体や企業のまちづくり地域活性化関連や、地図会社の新商品開発、新たな地域の区切り方、分類の提案等。よぉーしこうして企業さんに地理情報の独特の切り口を提供する価値提供をするぞ、と思って法人にしてみた、という経緯もあります。

しかしこうした仕事は単発で終わるか、長く続いて2年でした。こうした仕事はあまり表に出ることがなく、その仕事が次の仕事を呼びにくい、というのもあるでしょう。しかし大きいのは、私が外から見られる印象は、あくまで空想地図や著述を中心としたアウトプットが主軸で、そこからの話題提供や新たな道筋作りへの期待があった、と見て良いと思います。

「若かりし頃の暇な時期に作った空想地図の蓄積」の「副産物の活用方法と活用先」(≒企業案件)ばかりを考えていましたが、これは空想地図作家として新たなものを生み出すほうが先なのではないか…と、後述するとあるきっかけで思うに至ります。



薄紫色のB1が、ほぼ企業案件です。2016〜18年にピークを迎え、それ以降その割合は下がっています。その代わり上がっているのが、C1とC2、つまりはアートや著述、物販等、皆さんから見える、作家っぽい側面です。もともとこちらは単価が低く収入源にならなそう、と思っていたのですが、数を重ねれば大きくなり、著述や展示だと企業の1回限りのお仕事よりは(金銭的に)良かったりします。お金の話っすか…?いやいや、実は1回の単価の額はさほど重要ではありません。

大事なのは、その仕事が次の仕事を呼んだり、その仕事そのものがその後も続くかどうかです。企業案件はさきほど書いた通り、単発か、長くて2年でした。著述や展示、物販こそ一発屋で終わるのでは、と思っていたのですが、こちらは案外2年以上続いているのです。そうか、こちらのほうが引きが強いのか…。

さらに衝撃を与えたのが、今年秋の日本能率協会マネジメントセンター(略称JMAM)での出来事です。通称JMAMショック。テストに出るので覚えておきましょう。

JMAMが主催する成長志向のビジネスマン向けのプログラムの一貫で、空想地図ワークショップをテスト実施してみたのですが、なにせお相手は研修やワークショップのプロ。これまでワンオペ試行錯誤の孤独が続いてたので、プロとともにプログラムをブラッシュアップできる!よっしゃ、という心持ちでした。どこでどんなワークを入れるか、その導入や順番、長さ、伝え方…等どう改良していこうか、そしてそこから何か学んで吸収しよう、と思っていたのですが…

プログラムのフィードバックコメントをいただきます。要約すると…

「基本、参加者が20分間話を聞き続けることはないんですが、MAX20分、最初に地理人さんの怒涛の話をシャワーのように浴びるのが、その後の参加者のやる気を出すのに重要だと思います。冷静に考えれば役に立たないようなことをやり続ける話なのだが、ここまでだと圧倒されるし、参加者も一肌脱ぐきっかけになるので大事だ」と。

あれ?私って、どう価値にしていくか…その試行錯誤が求められているのではなく、価値のなさそうなことを突き詰めるところに価値を感じられている? そう言う人、そう思う人は周囲にいたと思いますが、価値を生み出す堅いプログラムの担当者さんにそれを言われちゃ〜びっくりです。価値を目指さないのがいいでしょう(価値からの逃避)、という話ではなく、価値を目指さないのが価値だ、と言われたようなものなので。

そうか、求められているのは価値提供ではなく、作家なのか。アートだったり著述だったり、そういう不安定なやつか。そしてその不安定なほうが、世間から見ると価値だったりするわけか…。

30歳を越えたら、価値にならなそうなトライアンドエラーの蓄積の活用、展開を考えるフェーズ、と思っていたのですが、そうではなく、価値にならなそうなトライアンドエラーそのものが求められているのか。価値を考えない自分本位の暴走が価値である、という、価値とは何なんだかわからない倒錯状態に、少なくとも混乱しました。



より詳しい内訳です。記事の取材や初対面のとき、仕事や本業を聞かれたとき、一発で答えられず困るのが地理人の収入源。実際はこんな具合に分散しています。
2012〜13年は勤め労働が8割、自営業が2割の試行段階なので全体の額が小さめです。基本的にはDTPデザイン、1冊の本(みんなの空想地図)、1回大きな空想地図製作案件が来たという内訳でしたが、徐々にデザインから手を引き、プロジェクトメンバー関与(≒企業案件)やワークショップに注力していきます。この方向で行くか…と思いきや、そうはいかず、2019年以降に増えるのは、展示、グッズ、著述でした。来年にも美術館での展示が1件、新刊も2〜4冊、出るはずなので、この傾向は強まる見込みです。

企業案件は作家、著述の価値を上げてからついてくるのではないか。
そのためには、食うことを考えず作家としてのアウトプット、というよりトライアンドエラーを増やすことが先決だと思うに至りました。(つづく)

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コロナには感染してませんが、Webが何かに感染しています/地理人振り返り2020 (1)

2020年12月28日 | 振り返りと展望
年末恒例、近年の私は自身の振り返りマニアにになっていますが、今年もやります振り返り。(振り返りたがり)

弊サイト大破壊トラブル

例年は「地理人ノート」なるブログサイトでやるのですが、サイトは見られるのですが、アレッ?編集画面に入れない…

12月24日にうちの全サイトが変なエラーで見られなくなり、キャッシュとログを消して見られるようになった!と思いきや、25日に、外部からの侵入を受けて書き換えられていた、ということが判明。
大量にできた不審なファイルを消すと、再びすぐに新しく不審なファイルができる、なかなか悪質な攻撃で。Wordpressの脆弱性を突いた攻撃のようでした。



こんなの初めて!と思いきや、実は2015年9月にも似たようなことがあったのです。
そのときは借りているサーバーを引っ越して、Wordpressを常に最新版にする等、くらいにしたのですが、
それくらいじゃダメだぜ、ということですね;;;;(このときより状態は深刻です)
今回はWordpressにすらログインできず、自力で対応できないので、約8万円をはたいて対応してもらうことに。
年始に復旧するといいんですが、しばらくは片付かない事故現場…になっております。汗

その件の解決はおいおい。

コロナ影響について

今年の話題といえば、コロナですよね…。
気軽に出かけられない、人と会えない、とりわけ遠くに行けない…いいことないのが正直なところです。
とりわけ、私はネットを通じたコミュニケーションが苦手です。リアルよりネットで饒舌になる人が集う空気感が苦手で、ネットコミュニティ・コミュニケーションをこれまで避けがちだったのですが、オンライン時代になり、積極的になるか…と少し意気込むも、不発に終わりました。特にTwitterが苦手ですが、Twitterにいる人々に心を閉ざしているわけではないので、臆せずコミュニケーションできる方法があるといいなとは思うのですが〜;;;;;

追ってまた、コロナ影響で大きな変化をもたらした、歩数や交通費…という誰からの需要もなさそうな情報を、大晦日あたりにお届けします。

コロナ影響で話題になりそうなのがお仕事です。確かに多少の影響はありましたが、お仕事は2018年が今年より壊滅的に酷かったので、そのときよりはまだマシで、普通に生きております。イベント・メディア関連の推移を見てみましょう。



こうして見ると、公開イベント(一般参加可能なイベント)は2019年→2020年で3分の1くらいになっています。その他も昨年に比べると漸減、という感じもしますが、しかし2018年以前の水準に戻った、とも言えます。(ちなみにこの数と仕事、収入は比例しません。これらは合わせて全収入の5〜10%程度です。)

コロナがなくても昨年の勢いが続いたか…というと、そうではないでしょう。50〜60くらいに着地したはずが、コロナ影響で38になったくらいではないか、と思っています。

それでは、実際の仕事の変化はどうだったのでしょうか。
コロナとは関係なく、私は仕事の大きな変わり目に来ている、と感じています。(つづく)