竹林亭白房

小柳「鰻屋」★落語

□本日落語一席。
◆春風亭小柳「鰻屋」(寄席チャンネル『夢 寄席』)。
池袋演芸場、令和3(2021)年4月20日(池袋演芸場2021年4月中席)。
所謂「素人鰻」だが、これは武士が始めた鰻屋という設定の出てこないほうである。武士の噺が出てくるほうには、酒癖の悪い料理人の金が出てきて、店の主人が鰻をあつかえないという理由が噺のなかに組み込まれているが、今回聴いた型は、たんに鰻をあつかえない主人が鰻屋をやっているという筋になっている。そして、しばしば料理人が店に現れない理由も語られない。つまり、噺の全体像が不完全なのである。

こういったところは、聴いていて少しストレスになる。そして、こちらの型の場合、酒が飲みたくて酒にありつけない男が、それにかこつけて過去に知人にいいように弄ばれた噺が前半につくのだが、これも鰻屋の本筋とあまり関係ないのではないかと思われて、どうも噺に没入できない。
なんとか聴けるようにうまくくふうできないものだろうか。

楽しみかたの一つとして噺の内容はいっさい気にせず、鰻屋の主人が鰻をつかめずにおたおたするところの所作をリアルに見せるところに着目するというのもある。これは五代目三升家小勝の考案によるものらしいが、かならずしも現在の落語家がみなこれを忠実に演っているというわけでもない。今回の小柳も。
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