竹林亭白房

べ瓶「真田小僧」★落語

□本日落語一席。
◆笑福亭べ瓶「真田小僧」(寄席チャンネル『楽器cafe火曜亭』)。
東京神保町楽器cafe、平成27(2015)年2月10日(「氣になるふたり会~すずらん亭~」#11)。
「真田小僧」は東京落語とのイメージが強いかもしれないが、もとは上方落語で演目を「六文銭」と言うらしい。「らしい」と言うのは、自分としてはまだこの「六文銭」という落語を聞いたことがないからだ。例によって、この「六文銭」を東京に移植したのは三代目柳家小さんとのこと。

もともとの「六文銭」では、亭主の留守に訪ねてくるのが、隣の吉兵衛という設定のようだ。そして、伜はいかにも吉兵衛が間男しにきたかのように話すが、吉兵衛が尻をあげたというところで放屁して帰ったという展開にしている。こちらのほうが破礼噺っぽくておもしろいかもしれない。

昔の速記本によると、三代目柳家小さんも、東京に移したときはこの型で演っている。今は誰もが亭主の留守に訪ねてくるのを按摩として演っているが、これは三代目小さんの弟子だった初代柳家小せんが始めたと思われる。それは、この初代小せんが盲人であったことによるのではないか。

この噺で、金銭の単位を銭としているので、やはり明治時代だろうか(通貨を表す言葉としては江戸時代以前にもあったようだが)。
一つ興味深い話があるのだが、按摩について江戸時代の風俗百科『守貞謾稿』巻六に「按摩」の項があり、そのなかに「京阪ふり按摩は夜陰のみ巡り、江戸は昼夜とも巡る」とある。「ふり按摩」とは、時代劇などによく見るような、路上で笛を吹き流して客をとる形式の商売らしい。

明治時代にもこの風習は生きていただろうか。いずれにしても、「真田小僧」に出てくる按摩は、女房を得意先としていたようだから、「ふり按摩」ではなさそうだ。
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