竹林亭白房

鯉昇「馬のす」@瀧川鯉昇独演会(2021/3)★落語

□本日落語一席。
◆瀧川鯉昇「馬のす」(寄席チャンネル『粋 らくご』)。
三鷹市芸術文化センター星のホール、令和3(2021)年3月28日(「瀧川鯉昇独演会」)。
鯉昇の「馬のす」は何度か聞いている。とぼけた感じで酒と枝豆を飲み食いし続けて、相手を焦らすという登場人物のキャラが、鯉昇の人柄によくあっている。上方落語の世界で「ニンがあう」と言うが、いつだったか東京の落語家もこの言葉を使っているのを聞いたような気がする。記憶ちがいだろうか。または、「ニンがあう」は東西ともに使っている慣用句だろうか。

この高座で、鯉昇は、しきりに自分の高齢ゆえのものおぼえの危うさを語っていた。晩年の八代目桂文楽のように、絶句する、または噺が堂々めぐりするといったことがあると言うのだ。
なんだか、冗談のようにも聞こえたり、また、本当にそのような経験が始まり出しているのだと訴えているようにも聞こえたり。さて、どうなのだろう。

この落語会で、「馬のす」を語り終えた鯉昇は、緞帳をおろさずに、そのまま語り続けた。次は「持参金」ということになっているが、高座をおりずにたぶん「持参金」に入るのだろう。

考えてみると、「馬のす」は、登場人物が男二人で、その二人にはとくに呼称がない。つまり、あるのは役割分担だけだから、名前を言いまちがえるという可能性がないのである。ということは、鯉昇にとって「馬のす」はウォーミングアップだったのだろうか。
まず、呼称のない人物を演じる落語で脳を活性化させておいて、次の落語につなぐという。「持参金」は、登場人物が倍の四人となる。ものおぼえが頼りなくなっている人だったら、ちょっと不安を感じるレベルだろうか。

ちなみに、「持参金」の次は「宿屋の富」。こちらはもっと登場人物が増え、さらに富籤の「子の千三百六十五番」「辰の八百五十一番」などという数字が出てくる。さすがに、「持参金」が終ると、一度高座をおりるだろうとは思うけれど。
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