竹林亭白房

七代目松喬「子盗人」@NHK上方落語の会(415)★落語

□本日落語一席。
◆七代目笑福亭松喬「子盗人」(NHK-Eテレ『日本の話芸』)。
NHK大阪ホール、令和3(2021)年5月6日(第415回「NHK上方落語の会」※無観客)。
七代目松喬の「子盗人」を初めて聞いたのは、2008年の柳家喬太郎との二人会(「東西笑いの喬演」)でだった。まだ三喬を名のっていた時分である。その後、三喬から七代目松喬にわたって、たぶん五六席は聞いていると思う。泥棒の松喬(かつては三喬)と称し称されるようになって以後、泥棒ネタのなかでも、とりわけこの「子盗人」はお気に入りのようである。

そして、自分としては、この「子盗人」を、上方落語として七代目松喬でしか聞いたことがない。これは東京落語「穴泥」だが、東京の「穴泥」はさまざまな落語家で何度も聞いている。つい一昨日も故九代目入船亭扇橋で聞いたばかりだった。

落語ネタの多くは上方種で、それが東京に移植されたとするものは数知れない。「へっつい盗人」が「へっつい泥棒」になったり、「おごろもち盗人」が「もぐら泥」になったりといった類である。そして、それらは、東西の落語家で聞く機会が何度もある。
けれど、上方落語「子盗人」だけは、七代目松喬だけでしか聞かないのである。ということは、もしかして、この落語は東京から上方にきたものだろうかという思いを強くしているのだが、どうだろう。そうしたのはもちろん三喬時代の七代目松喬。泥棒の三喬というカラーを出すにあたって、より多くの泥棒ネタをものにしようということでそうしたとか。ちょっと調べて確かめてみたいものである。

ちなみに、演目だけということなら、狂言に「子盗人」という話がある。泥棒が盗みに入ったさきの家で赤子をあやしていると、乳母に見つかってしまうという展開だが、全体的な内容としては、「穴泥」とは異なるものである。
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