今日は新橋演舞場に片岡愛之助主演の「もとの黙阿弥」を観てきた。
今回は桟敷席にしてみようということで、左側前方の桟敷席にしてみたのですが、
花道を通るときのスポットライトのまぶしいこと。
サングラスが必要かもと思うくらいのまぶしさでした。
それ以外は、好きな恰好してみれるので楽でした。
あと、受付で食事を注文すれば、席まで届けてくれるサービスもあり。
今回は、どうせならリッチにいこう!ということで、うな重を頼みました。
うまかったです。
お茶はあらかじめ、席に用意されていて、これはサービスとなっています。
お茶もおいしかったなぁ。
さて、ここらからネタバレ有りで。
~ちらしより~
井上ひさし作 栗山民也演出
「もとの黙阿弥ー浅草7軒町界隈ー」
井上ひさしの傑作、豪華キャストを得て、ここに復活!
ちょっとした思い付きが、たちまち大きな騒動に!?
明治の浅草芝居小屋に笑いと涙が入り乱れる?
時は文明開化の明治。処は浅草。黙阿弥の新作まがいの芝居を上演して興行停止の処分を受けてしまった芝居小屋・大和座の座頭 坂東飛鶴(波乃久里子)と番頭格の坂東飛太郎(大沢健)は、しかたなく「よろず稽古指南所」をひらく日々。今日も野菜売りの安吉(浜中文一)たちが「かっぽれ」を習いに来ている。
そこへ男爵家の跡取りの河辺隆次(片岡愛之助)と書生・久松菊雄(早乙女太一)が訪れる。隆次は姉の賀津子(床嶋佳子)が勝手に決めた縁談の相手と舞踏会で踊らねばならず、久松のすすめで飛鶴に西洋舞踊を習うことにした。
二人と入れ違いに現れたのは尾崎屋新五郎(渡辺哲)。良縁が舞い込んだ娘のお琴に西洋舞踊を仕込んでほしいと頼む。翌日、やってきた長崎屋のお琴(貫地谷しほり)は女中のお繁(真飛聖)と入れ替わって相手に会い、その人の人柄を確かめたいと言う。
ところが当日、隆次と久松も同じように入れ替わって登場したからさぁ大変!お互いの入れ替わりを知らないままの出会いが、七軒町の住人たちを巻き込みながら、思いもよらない大騒動へと発展していく・・・。
いや~、ちらしの説明、さすがにうまい!
自分ならここまで端的に分かりやすくまとめれない。
勉強になります。
というように、お互いが入れ替わって会うわけですが、
書生と女中、隆次とお琴がそれぞれに好きになるんですよね。
それで、タイトルの「もとの黙阿弥」から想像したのは、
入れ替わってたのをお互いにそれを知り、書生は女中と、
隆次はお琴と結ばれて一件落着となるのかと思いきや、違いました。
隆次とお琴は相思相愛で結ばれるんです。
それも隆次は男爵後継者としての身分を捨ててお琴とふつうに暮らしたいと。
そして、書生ももとに戻るわけですが、女中のお繁は令嬢のつもりのまま、
声をかけてももう妄想の世界のままでした。
「それだけつらい生活だったから戻れないんだよ」
ってな台詞があり、
「そんなにつらいところなのに、それでも身分を捨てるのかい?」
ってなことを飛鶴に言われる隆次だが、決心は固く、捨ててお琴と暮らす覚悟だと。
その台詞のやりとりの間も舞台後ろでお繁は令嬢としてニコニコとふるまっているんですよね。
なんか、それがつらくて・・・主人公2人が結ばれてハッピーエンドなはずが、
なんだかお繁が不憫でなりませんでした。
これは、真飛さんの演技力の成せる技ゆえなのか、そういう役どころなのか?
いやはや、主役より目立つというか、気になってしまう存在だったので、
これこそ、ガラスの仮面でいうところの「舞台あらし」?!
真飛さん、とにかく演技がすごかったです。
女中として、そして不慣れな令嬢として。けど、だんだんと令嬢らしくなっていくところ、令嬢になりきっているところ。
劇中劇でのいきなりの美しさにも肝を抜かれました。
え?さっきの女中さん?ってな具合に。
一緒に行った友達が、「もと宝塚のトップだよ」と教えてくれました。
やはり、力がある人は違うなぁと。
愛之助さんも出てくるだけで舞台の空気がすっと変えてしまうあたり、
いや、今日の舞台、力ある役者さんが大勢だなあと。
そんな中でどんどん客の心をとらえていった真飛さんは本当にすごいなと。
客席をあとにする他のお客さんも「あれ、かわいそうよね」とお繁について話してました。
そう思わせるような台本なのかな・・・。
「もとの黙阿弥」・・・井上ひさしさんはどのことを「もとの黙阿弥」と
指してこの芝居を書いたのだろう。
他の方の感想を読んでいるとこのような感想が・・・。
「劇中劇のうち2つが黙阿弥の作品のパロディで、「三人吉三」と「都鳥廓白浪」を踏まえているそうだ。特に後者は、歌舞伎役者の孝夫が「おまんまの立回り」をわざと素人くさく演るからよかったのだ。」
ん?「もとの黙阿弥」ってことわざもあるけど、黙阿弥って人の作品?
黙阿弥って誰だ?ってことで調べました。
<河竹黙阿弥>
河竹 黙阿弥1月22日は、江戸時代幕末から明治にかけて活躍した歌舞伎狂言作者。本名は吉村 芳三郎。俳名に其水。別名に古河 黙阿弥。江戸日本橋生まれ。
なるほど。この作者も芝居にからめつつ、ことわざもからめつつ。
劇中で入れ替えがあり、劇中劇でも入れ替えがありと、結構、いろいろと複雑なのだなと。
知識があると、もっと楽しめたのかなぁと思いました。
でも、知識がなくとも十分楽しめる芝居でした。
面白かったです。