中国生活の基礎知識~中国史の入門講座~

中国で生活するための基礎知識として、中国の歴史・文化を、楽しみながら学んでいきましょう。

中国人の本来のマナー・儒学~第3回の講義から

2011年11月02日 | 中国史
第3回では、諸子百家のなかから
一番影響力のある「儒学」についてお話しした。

そもそも儒学とは
魯の国の巨人・孔子が周公旦、そして古代の聖王を
理想としての政治、そして人のあり方を示したものが始まり。

特に人の教養においては「仁」を尊び、
主君は主君として、臣下は臣下として
親は親として、子は子として
きちんと人格を磨くことを教え続けた、
いわば「ジェントルマン養成思想」だったのである。

しかし、この儒学、
特に近現代中国ではイメージが良くなかった。
近代文学を代表する作家・魯迅先生なんかも
人が人を食う
なんて、スゲー表現されてたくらいで、
特に新中国の「批林批孔運動」、さらには「文化大革命」で
徹底的に批判されてしまったのであった。

しかし、この批判、ちょっと「ヒドイ」と思う今日この頃、
内容は「儒教擁護」っぽく進みました。

孔子から孟子、荀子と続いたこの儒学の流れ、
宋代に入って、新たな進化を遂げる。

それは、誰あろう「朱熹」。
そしてこいつこそ、儒教への「いわれなき批判」の張本人なのである。

彼の唱えた儒学は「理学」、「朱子学」とも呼ばれるが
要するに、人本来の姿(善)を求めるためには
「古代の聖人の言うことをきちんと実行せねばならない」というものである。

すなわち
聖人の言(孔子の言葉)こそが絶対!
それに逆らうなど、ありえん!!

なのであり、その前には人の情を差し挟む余裕などないのである。

特に孔子ってのは、乱れた社会の建てなおしのため
ヒエラルキーや上下関係を、ガッチリ決めた人なんで、
それに沿って物事を進めていくと、
上が絶対的権力を持つ社会になる。
これが構成「人を食う」という、完全マニュアル社会の元凶だったのだ。

この儒学、宋代から清朝まで、
ずっと国の学問として保護される。
(統治者にしてみりゃ都合がいいので)

それにアンチテーゼを唱えたのが
明の「王守仁」。号を取って王陽明なんて呼ばれてるね。

彼は人のルールを、聖人の言ではなくて
人に備わっている「良心」だとした。
だから、聖人の言と違ってても、「好いと思うこと」ならば
やってよし
、という学説(陽明学)。

まぁ、朱子学が帝王学なら、
陽明学は反逆者の学問。
なので、真っ向から対立することになる。

ちなみに、講義では日本の代表として
朱子学⇒保科正之(会津藩初代藩主)⇒白虎隊
陽明学⇒大石内蔵助⇒赤穂浪士の討ち入り
としてみた。

この違い、考えてみるとけっこう楽しい。



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