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聴刻堂日乗

「幾夜の鈴」(高田郁)

「幾夜の鈴」(高田郁)を読んだ。

あきない世傳 金と銀 シリーズの
特別巻上下の二冊目だ。

特別巻の上と同じく、主人公以外
の登場人物たちの後日談。四つの
短編の物語。

中でも良かったのは第三話。
主人公の幸の妹、結の後日談。

美しくて賢くて何でも手に入れて
しまう姉の幸に対して、妹の結は
妬み、恨み、裏切った挙句、つい
には破滅して、消えてしまう。

基本的には良い人の多いシリーズ
の中で、最も黒い人物を主人公の
一番近い肉親とした作者。一体ど
のように決着させるのだろう?と
気になっていた。

気持の問題だけならば、如何様に
もできるかもしれないが、重ねて
きた行いは、無かったことにでき
はしない。

道を踏み外してしまった妹に救い
はあるのか。姉妹の間に和解は
訪れるのか。作者の描いた結末は、
さすが・・・と唸るものだった。

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