「木挽町のあだ討ち」を読んだ。
永井紗耶子の時代小説だ。
面白かった。良く出来た作品だ。
2023年の山本周五郎賞と直木賞
のW受賞作品。なるほどね。
芝居小屋のある木挽町。千秋楽の
夜、衆人環視の中で仇討ちが果た
される。目撃者たちが語る仇討ち
の様子、そして彼ら自身の人生。
終には仇討ちの真相が明かされる。
仇討ちを語る一人ひとりの物語が
いい。不遇や不幸や後悔を背負い、
それでも人の情けも受け、ここで
自分なりの人生を生きている。
文体は、語りの部分は口語体。ま
るで落語を聴いてるような流暢さ。
遊里や芝居小屋などの時代風俗も
詳しい。その部分だけでも面白い。
と、こんな風に面白さを因数分解
できてしまいそう。ひょっとして
理詰めの創作スタイルか?
いやいや、いずれにせよ大したも
のだ。著者の本は初めてだったが、
他の著作も読んでみようか。