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聴刻堂日乗

「方舟を燃やす」(角田光代)

「方舟を燃やす」(角田光代)を
読んだ。

1967年から2022年までの55年。
柳原飛馬という男と、望月不三子
という女の、その55年間の人生を
綴った小説だ。

著者は何を書きたかったのだろう。
二人の人生は、基本的には交わる
ことはない。だから二人の関係性
を書きたかったわけではあるまい。

おそらく昭和、平成、令和と続く
この半世紀の日本の歴史を書き留
めておきたかったのではないか。

日航機墜落、バブルとその崩壊、
関西淡路や東日本の震災、オウム
真理教事件、新型コロナ感染症、
等々。そうした出来事を背景に
日本人はどう生きたのか。それを
男性の視点、女性の視点の両方で
書き留めておきたかったのでは、
と思ったりする。

もう一つのテーマは、何を信じる
か、ということだろう。ノストラ
ダムスの大予言、コックリさん、
口裂け女、添加物を含まない自然
食、各種の予防ワクチン、等々。
他人の言う事に右往左往するのは
馬鹿馬鹿しい。しかし自分自身で
判断しても正しいとは限らない。
あぁ、悩ましい。

でもね、何を信じたらいいか判ら
ないなんて、現代に限ったことで
はないよね。失敗しないように、
と汲々としてるのが現代のしんど
さじゃないのかな。たとえ失敗し
ても、その先にも幸せはありうる。
それでいいんじゃないかなぁ。

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