「魂の沃野」という小説を読んだ。
久しぶりの北方健三。
戦国初期、加賀の国の一向一揆。
それにまつわる、ある地侍の物語。
面白かった。
戦国ものだが、有名な武将でない。
戦の場面も多いが、それ以外の話が
良かった。
武家の事情も、真宗の内部も、
百姓だけでなく山、川、海の民も。
その時代が簡潔に描かれる。
主人公の父。
とても魅力的なのは著者の熟練か。
自分も相応に年齢を重ねたせいか。
宗教とはな何か。
領主としてどう向き合うべきか。
主人公は考える。
真理や、正解を求めるのではない。
自分なりの答が得られればいい。
自分の生き方を決めるための答。
いわゆる娯楽小説ではあるけど。
気付かされるものも多かった。