校庭の桜の樹の前に三脚が置かれていた。
入学式の記念写真を撮るのだろう。
体育館から音楽が聞こえてくる。
やがてそれらしい親子連れが次々と。
暖かく晴れた空。
桜の花びらがちらちらと舞い降りる。
いかにも、という状況設定。
思わず微笑みが浮かんでしまう。
自分の時はどうだったろう。
実は小学校の入学式には行ったことがない。
親の仕事の関係でその頃日本にいなかった。
帰国したのは1年生の途中だったろうか。
以来、学校にはアウェイ感。
自分の子供らの時にも行ってない。
上の子の時も、下の子の時も。
仕事人間だった、と今にして思う。
過ぎた時間は戻らない。
それは私をほっとさせる。
どこの誰かは知らない子供たち。
立派な大人に育っておくれよ。