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映画レビュー『ブルージャスミン』

2018-12-03 13:19:56 | Review
ー虚栄心の強い者は抜きん出たいと思うよりも、自己が秀でていると思ったがゆえに、自己欺瞞や自己謀略のいかなる手段も嫌うことがないー

フリードリヒ・ニーチェ



2013年 アメリカ映画
監督 ウディ・アレン
出演 ケイト・ブランシェット アレック・ボールドウィン 他



前回の「それでも恋するバルセロナ」に引き続いてウディ・アレン監督作品・・なのだが、題名に惹かれ、更に「聖杯たちの騎士」でファンになったケイト・ブランシェット主演なのでチョイスしたら、たまたま再びアレンさんの作品だっただけ。

オープニングでウディ・アレンの名前が表示されるまで彼の作品だとは知らず、あちゃー失敗した別の映画にすれば良かったと後悔した。しかし一時停止ボタンを押して改めて他の人のレビューを読むと好意的な内容のものが多く気を取り直してポーズ解除。

うーん。

またコメディ。また笑えないコメディ仕立てのストーリー。しかも前回の「それでも~バルセロナ」と違ってイタイ感じ。笑えないし楽しくない。

決して退屈な映画ではないし人物描写は見事である。ケイト・ブランシェットの演技は確かに素晴らしくて主演女優賞を取ったのも理解できる。でもこの映画を観てどうしたらいいのか分からなかった。主人公や周囲の人々に同情すべきなのか嫌悪すべきなのか?

映画は投資家の夫と豪華でセレブな生活を送っていたジャスミン(ケイト・ブランシェット)が、全財産を失い落ちぶれて、シカゴに住む妹の家にやって来るシーンから始まる。落ちぶれた理由は、成功した投資家だと信じていた夫は実は詐欺師で、FBIに逮捕されて全財産を没収されてしまったから。でもジャスミンは華やかなセレブの生活が忘れられず、今現在の自分が置かれた一文無し(泊まる家もない)の状況に馴染めないで精神にも不調をきたしている。頼ってお世話になる妹とは育ての親が一緒という血が繋がっていない姉妹。だから容姿も性格も似ていない。スーパーのレジ係として生活している庶民の妹。そんな生活を毛嫌いしていつかセレブに戻ることを夢見ている姉のジャスミン・・・


ジャスミンのつらさは分かる。偽りだったとはいえ、贅沢な生活が自分一部になってしまったように離れられない忘れられない感覚もよく分かる。

でもねえ。詐欺で人から巻き上げたお金でいい生活をしてきたんだから、どうなっても仕方ないんじゃないのと思ってしまう。見栄を張りたくてすぐにバレるような嘘をつくし、同情なんてこれっぽっちも湧かない。まあアレンさんだから観客のそんな思いも分かった上でストーリーを構成されていらっしゃるのだろう。

エンディングは・・ネタバレになるので書けないが、ウディ・アレンだからハッピーエンドになるはずがない。わたしは非常にモヤモヤ感が強く残った。

やっぱりウディ・アレンはわたしには向いていないようだ。と思いつつ、性懲りも無くきっといつか別のアレン作品を見てしまうんだろうなあと思う。

分かっているのにやめられない、ダメダメな恋のように、性懲りも無く。