澱(おり)とは、底に沈んだカス。
ワインでよく言われますが、人間の心の中の澱はといいますと
すっきりと吐き出されないで、かすのようにして積もりたまるもの。
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ええ、毎日少しずつつもりたまる澱の自覚はあります。
ふとした瞬間に、あ、今積もった、と思ったり・・。
澱の重さに心も折れそうになることもあります。
そんな時に見つけた一冊の文庫本。
それがこれ「カカノムモノ」
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「神様の御用人」の作者浅葉なつさんの新作。
ええ、最初は作者のお名前で買いました。
でも、御用人とはまったく違うダークな世界観のおはなし。
ヒトが抱える負の感情が凝り固まってできた濁り「大禍津日神」。
それを喰らい、浄化するのが「加加呑ム者(カカノムモノ)」という存在。
海の女神が、人間に憧れた魚に与えた呪いの成れの果てです。
主人公の碧が当代のカカノムモノ。
ほっこりとした御用人とは反対の雰囲気ですが、とにかく引き込めれるように読んだ一冊。
明るい読後感ではなかったけど、次の巻が気になる展開。
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でもねぇ。
「大禍津日神」、まちがいなく、私の心のなかに育っているとおもう今日この頃。
気を付けなくっちゃ、ね。