少なくとも三月前にはだいたいの構想を練ってもいた。
なのに、着手していなかった。
娘の浴衣が入ったのが誤算の始まり。
やはり、自分のことよりゃ優先だよね。
で、くたびれて見通し立てる気力が失せ。
しかし、かねてよりドタンバの逆転一発には自信があり(こういう人生ばかり送ってきた)
<木曜日>(四日前) 発奮。
<金曜日>(三日前) 生地入手。お洗濯。
<土曜日>(前々日) 解体と、再度お洗濯。アイロン。
夫と娘は横目で見て不吉なものを感じたらしく本番には急用が生じるかもと言い出す。
<日曜日>(前日) 柄合わせをし、手探りでいきなり縫い始める。が、ミシンをあけてみたらまずは掃除が必要な状態であった。年に一度は使えといわれたことを十年ぶりに思い出す。止まったらどうしよう。
夕方近く、ようやく形が見えてくる。ここまでくりゃこっちのもんさ。帰宅した夫は心配そうに尋ねる。「ね、まさか舞台衣装縫ってんじゃないよね」 のーあんさー。
<月曜日>(当日) なんとか手持ちの服を組み合わせて出発。
というわけで、三日前にはれっきとしたお着物であったものを着て、ぶじ舞台にたてました。
・・・てなことを繰り返しているから、いけないんだよね。
胸に着けた鳥のブローチ(ただし、よだかではない)だけは、早々とゲットしておいたんだけど。
資材調達にお力添えいただきましたさま、ほんとうにありがとうございました。
しかし、とんぼさまとははるかにランクが違いまして・・・。
貫頭衣でいい、とひるむ心を叱咤しつつトライしました。
いつのまにか胴は紗袷。
袖をそのまま使ったらなんだか狩衣になってしまい、泣く泣くほどいて衽を付け替えました。
ジミに見えるはずが、舞台ではハレーション起こすほど はでーなブルー、あえかなはずのつゆくさは鮮やかな紅い花へと変化。
きぬの力、織のふしぎさに感じ入ったことです。
正絹にミシンかけるなんて大それたことをしでかしましたが、しなやかに耐えてくれ、…すっかり味をしめた第一作となりました。
でも、も一度ほどいて、チュニックにするのもいいかな。