柳刃のようにスリムになってしまいましたが、菜切り包丁です。
ちょうど次男坊と同い年。
もともとはそのお礼に夫が実家に持参したものです。
が、強固なステンレス派だったため、出戻ってきました。
以来30年にわたって夫が研ぎ続けてきました。
そう、この、研ぎ手を確保できたことが、
長年にわたって鋼を使い続けてこられた決めてでしたね。
職場の同期で結婚の先陣を切ったのは、
学生時代の縁が切れなかった二組で(うちは二番手)
新生活についてもおしゃべりしました。
包丁についても然り。
先行の彼女は鋼にしたそうなので、錆について質問しましたっけ。
まよっているうち、
初めての包丁セットは姑からプレゼントされました。
いまでも、出刃と柳刃は現役です。
さて、彼女と同じく、鋼を使うからにはわたしも研ぎを覚える覚悟がありました。
ところがですね。
研ぎは、夫がすると申し出たのです。
知人に、夫婦喧嘩をすると、夜、奥さんが泣きながら包丁を研ぐ方がいるのだそうで。
それって、かなりびびると実感を込めて受けとめたのでしょう、
新所帯での包丁メンテは一切引き受けてくれることになったのです。
否やのあろうはずはございません。
初代菜切りは約四年、あとを襲って、墨流しがキッチンの主役についたのは1983年ごろでしょうか。
すがすがしい切れ味は、感動モノでした、
が、寄る年波には勝てず。
もう、刃がすっかり減ってしまったのでしょう。
いくら研いでもすぐ切れなくなるし、
なにより刃よりさきにまな板に手がぶつかってしまいます。
高島屋からセールのご案内がきたので買いに行きました。
ありました、ありました。
おや、西型と書いてある。なんのことだろう。
木屋の店員さんにお聞きすると、
刃元がとんがっているのが西型、まーるくこたつぶとんのようなのが東型だそうです。
「修理」という看板も目につきましたが、刃がなければ無理だろうな。
聞いてみると、だいたい二、三年で柄がだめになって交換するのだそうです。
えっ、買った時のまんまだよ。
お値段は、夫からきいていたのより約6割がたのアップ。
ま、仕方がないですかね。
さいごのご奉公に、夫がきれいに研ぎあげました。
が、ついつい二代目をつかっちゃって。
包丁の輝ける一生
研ぎ師、夫の記事はこちら。
長年使われるのは、作り手だけじゃなく
使い手にもよるという事ですね。
柄も変えずに30年使われたとは、使用後の
手入れをきちっとされていたからですね。
製作者も包丁も嬉しい事だと思います。
夫が研いでくれたことはべつにして、ふだんのお手入れはなんてことないんです。
ただ、使ったらすぐ洗って布巾でふくだけ。
ふだん使わない出刃と柳刃は手拭いをまいてしまうだけ。
たったこれだけでサビ知らずです。
じつはもうひとふり、菊一文字の牛刀があります。
これも、研ぎこんで同じ状態なんですが、いちどに買い替えはできず、続投です。