刺身がこわい

大漁のマグロが新米と共に我が家に来た。

仙台は港に近いためか刺身が食卓に乗ることが多い。

先週末、近所のスーパーでマグロの解体ショーをやっていた。

家内の両親がマグロを求めて飛び込んでいったのである。

もうそこは戦場さながら、おばちゃん達が群がるバーゲンセールと同じだったらしい。

そこそこ旨いところを超安く、それも大量に購入することができた。

おかげさまで、その夜はマグロ尽くしの晩餐を楽しんだ。

お刺身、唐揚げ、あら汁、テーブルはいっぱいである。

特にお刺身は１人ずつ大皿盛りである。

始めのうちはガツガツ食べていたが、だんだん飽きてきた。

お腹がいっぱいもあるが、もう結構というくらい食べた。

しばらくはお刺身は見たくない気分である。

（こんな贅沢な気持ちは、なかなか経験できない）

次の日、ご近所さんがうちに来た。

「昨日お魚一本丸ごともらっちゃってサー自分じゃさばけないから
魚屋に持って行ったのよそしたらだたで下ろしてくれてサーラッキー
って思ったけど意外と量があるのようちだけでは食べきれないから
お刺身もらってくんない？」

と、お刺身置いてった。またかよ。

顔は引きつりつつもありがたく頂戴した。

当然その晩もお刺身である。

せめてもの慰めは貰った刺身がカツオだったこと。