宮澤賢治は的確だなぁと思ったのは、ある童話の序文。
「ところどころ、わけがわからぬところがありますが、そこはわたしも、わけがわからないのであります」と、書いてあった。
さりげなく書いているが、作者自身にもわからないわけのわからなさ。というのは余り弄くり回さずに浮かんだままをストレートに書いてます、ということだから、これはイマジネーションの世界に対する非常にわかりやすい一言を自序に入れたのだと思う。
作者にはわかっているが他人にはわからない、というのでは単なるヘタクソなのだろうが、作者自身にもわからない、ということになると、これは、向こう側から飛んできた鳥や隕石を夢中になって捕獲してそのままの姿を、ということだから、つまらぬ辻褄合わせや都合理屈のない生々しいものそのままということなのにちがいあるまい。なんて。
それは踊りも同じというか、もっとであります。
いまのはなんだ、なんなのだこれは、と一生懸命考えたくなるけれども、アタマもコトバも決して追いつかないゾーンがあります。だから面白いのでしょう。全部わかるものって、本当に、つまらないものなぁ。スピーディーかつストレートに、ということでしょうか。
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STAGE INFO. 櫻井郁也ダンス新作公演10月29〜30
櫻井郁也ダンスクラス