goo blog サービス終了のお知らせ 

櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

5月GW公演・作品ノート《その血にきけ》page1

2014-04-06 | 公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)
世界はどうしてこんなに何回も、壊れるんだろう。そして何が、壊れた世界をこんなに何回も蘇生、させてきたんだろう。

いま新しいソロ作品を作業しながら、そう思う。
それから、ある言葉を思い出している。市川雅さん、という舞踊評論家がいらして修行時代に天使館に何度も講義に来て下さったその人の著作の冒頭なのだけど。

「宇宙はときどき振られねばならない」

あっ。ってことです。

振る、とはそう、振付の振る。踊りの動きを振りと呼ぶ、その言霊。

身ごと揺すり揺すられ振り振られる行為は、大きく見たら「宇宙を振る」行為に相似い。人が身と呼ぶそれは西洋ではミクロコスモスわが東洋では胎蔵界とも呼ぶのだから。

壊れては蘇生する世界、その想と、硬くなれば振り揺すられて流動を息吹き直す大小宇宙、の幻が重なる。

ま、妄想癖もそこそこにねと呆れながら、手足バタつかせる日々。その渦中、クラスでも素敵な言葉をもらう。

「あのねセンセイ、20世紀の絶望と21世紀の絶望は、違う。って思うんだけど、どう?」

いま創作中のイメージとも不思議と重なる、腑に落ちる言葉だった。
わっ、と踊って直後の姫。このコ、きちんとつまづくようになってきたな、振りが大きくなってきたな、と思ってたら体内の言葉も大きくなって。
うん、僕も、違う、と思う、絶望と闘う力よりも、絶望を新しい始まりにする力が、欲しいな。希望っていうの?それ。うん、かもしれない、たぶん、そう。


あとひと月で上演となる『その血にきけ』
この新しいダンスは、血液をイマジネーションの出発としているが、同時に背景には、心の廃墟とその蘇生についての思い巡りがある。

僕らの内にせせらぐ赤い暖流、血液。そこに溶けている命の起源をまさぐりながら息吹きを呼び起こし直す肉体。時軸としての肉体。血というバトンを渡され、また次に渡してゆく、生命流のファクター。そんな肉体像をダンスする試み。

祖母から第二次世界大戦の廃墟についての話を繰り返し、聴いた。彼らは大阪大空襲の火中を逃げた。仏の町は焼かれまいと奈良に疎開し住み、そこで僕は生まれた。

大人になった僕自身と子どもたちには、3.11の廃墟が広がり、放射能が降った。天の怒りと人の罪を見た。

あのあと、正確には、あの年の夏の公演から、創作ペースが早くなっていった。なぜか。そう問う時間はまだ来ない。衝動、スピード、行為、ただ走るように創れるだけ創る踊れるだけ踊る。その現況としての一作。(つづく)


info.
チケット予約受付中
櫻井郁也ダンスソロ新作
『その血にきけ』
5 2日(金)20:00、 5月 3日(土・祝) 19:00
東京・中野 plan-B
櫻井郁也・公演サイト

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 上演報告:中房総国際芸術祭... | トップ | フィールドメディテーション »
最新の画像もっと見る

公演写真&記録(国内) dance works in JP(photo etc)」カテゴリの最新記事