photo=新作公演・現場リハーサルより
組織ではなく個の肉体を見つめようとする「独舞」を活動軸として20年を超えました。
舞台上の肉体を一つにする、という状態を最初から最後まで持続することで、意識の状態は独特の集中に向かっていきます。そして精神と肉体の関係が鮮明に表出されます。
そのような状況でのダンスを通じて、僕は、人間と人間以外のものの関係性について、あるいは、存在と存在しないものとの関係性について、想像力を広げてみたいと考えたのです。
そして、いつしか、死者のことや未誕生者のこと、喪失と未出現について、ということも、視野に入ってくるようになりました。
肉体には過去と未来が常に宿っているということでしょうか。
いまこの一瞬が最も創造的な地点あるいは現場性ではないかと僕の場合は思っているのですが、踊りの場で、現在この一瞬ということに強く集中すればするほど、不思議なことに、肉体なるものが遠い過去や未来と連なっていることが意識されてならないという経験が出てきたのです。
そのようなことを、今回の作品ではあらためて意識し直しています。
この春に出演した「天使館・ポスト舞踏公演(世田谷パブリックシアター3月)」ではソロシーンとアンサンブルシーンを踊り、本番は4回もやったのですが、その一回一回の変化が非常に大きく、踊りが変容する芸術であるという、ごく基本的なことを再認識しました。
天使館というのは、僕の師である笠井叡が設立し、舞踏の草創期から現在まで続いてきた場なのですが、そこで学んだ人が世代を超えて集まった舞台でした。思えば、この天使館での修行時代を経て、コラボレーションの継続からカンパニー活動への準備に向かっていた時期が何年かありましたが、方向を変えて、独舞に集中的に向き合いたいという考えが急激に強くなったのが2001年のことでした。
春は色んな方々と踊りましたし大きな劇場で観客席と舞台は明確に区別されていましたが、今回の新作公演の会場はアートギャラリーですから演者との境目が曖昧で、限られた方々の前で一人一人のお姿がハッキリと見える中で独りで踊りますので、対照的とも言えます。
一人一人が見えるなかで独り踊る。これは僕の中ではかなり大事なことで、演者と観客の接近、個人と個人の対峙としての場づくり、これは僕の公演活動のなかでは、独舞に集中し始めた時からスタートしたテーマでもあります。
独舞=ソロダンスの特徴は、肉体の微細な変化をも見つめることができること、同時に、1回1回がその場で消えてゆくこと、それゆえ再現が困難であることだと思います。そのような特徴を、なるべく演者と観客が接近した状況で味わってもらいたいと思って続けてきました。
生きている時間と共に、生きている生身の身体が踊る、すべては現在進行形。
本番まで1ヶ月を切りました。
どのような出来事が生まれるか、ドキドキしながら稽古を進めたく思っております。
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開催日=2022年 7月30(土)〜31(日)
席数限定。ご予約はお早めにお願いします。
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