物質が好き。命と物質は、どのように絡んでいるのだろうか。
そんな気持を藤井の彫刻は、誘う。このダンス は藤井健仁の彫刻から受けた力や交わした沢山の会話からはじまっている。サウンドにも藤井の作業場の音やそ こから得られたリズムやヴァイブレーションが含まれている。
彫刻も踊りも、ともに物質に関わる。思えば、身 も骨も物質、地も物質、血もまた物質。生きるかぎり共にあるのが物質。
悪魔メフィストと賢者ファウストの契約は、なぜ血液に関わったのかという好奇心が僕にはある。世界の秘密 を知りたければお前の血を差し出せ、、、。
藤井の作業には血と鉄がせめぎあっている、と勝手に解釈してき た。そもそも、なぜ僕らの血には鉄が溶け込んでいるのだろうか、そんなことさえ思う。藤井の少女と猫と風を 見つめつつ、人間と物質のカンケイを思う。
僕らは「物」という何かを、いかに引き受けてゆくのだろうか。
この地上に生きるかぎり僕らは物質とともにある。
人は霊・魂・体の三層より成る、というのは独逸の碩学ル ドルフ・シュタイナーの言説だが、体(タイ)とは物質のことだ。
物質に入魂し霊性の火を時間空間に繋ごうと する行為、という点で、僕はダンスと彫刻の作業を心に重ねることがある。 (櫻井郁也)
文章は、京都で行なったパフォーマンス『絶句スル物質』の当日パンフから引用。
写真は公演前夜の準備風景から。
ダンスのために日本刀が用意され、その背後に彫刻の影を出した。
彫刻家・藤井健仁とは、久しぶりのコラボレーションになった。
▶櫻井郁也ダンス『絶句スル物質』----藤井健仁の彫刻とともに
(第十三弾 京都場アート講座:美術と身体)
2018年11月4日(日)京都場(〒604-8412 京都府京都市中京区西ノ京南聖町6-5)
上演データ
_____________________________________________________________
NEXT
【ダンス公演情報】
次回公演=2019年4月6〜7日:東京(櫻井郁也ダンスソロ新作)