蕎麦職人になる。

57才おやじの蕎麦屋開業までの軌跡。

麦藁手のそば猪口

2019-04-29 19:04:46 | 日記
今からおよそ20年ぐらい前の話になりますが、私が焼きものや骨董好きになるきっかけになったエピソードをご紹介します。

今はないと思いますが麻布十番に当時50前後ぐらいのご夫婦が骨董店を営んでおられました。
とてもお洒落なご夫婦で奥様はいつも和服を着ていらっしゃいました。

ふと立ち寄ると5客の洒落た縞模様の深向付が飾られてました。
すごく気にいってしまい値段を尋ねると25000円とのこと、なにやらいわくありげな感じなので
尋ねるとじつは奥さまの持ち物でお気に入りだそう、しぶしぶ売りに出されるそうです。

江戸時代の赤津焼で瀬戸の焼き物だそうです。
元々は量産品で宿場とかでよく使われた雑器なのですが壊れやすいのと100年位まえに柳宗悦が用の美というものを打ち出し、民芸復興運動といっていましたが名もなき職人の熟練の技が美しい的な取り上げ方をしたので人気があったそうです。

奥様曰く縞の似合う女は江戸の粋だそうで、もっとも着物の話ですが、だからこの縞が大好きなのとおっしゃっていました。
とても素敵で粋な方でした。



それ以来麦藁手が好きで探しているのですが、この焼き物は磁器ではなく陶器なので割れやすく、なかなか良いものがありません!
戸部焼きや京焼きではあるのですがみんな磁器で、あの暖かみがあり、さりげないのにどこか洒落ている、あの感じが出ません。

ところが5年ほど前あるサイトで見つけ買ってみるとなんとも江戸時代のものと間違う程の出来ばえ!

そのご飯茶碗を大切に使っていましたが、今回お蕎麦屋さんをやるということで作ってもらえないだろうかとお願いしたところ快諾していただきました。

そして今回ご挨拶と注文をかねて窯に行ってきました。

瀬戸市にある子春花窯さんです。
本家の春花窯は江戸時代からあるそうで私の向付も先祖が作ったものかもしれないとおっしゃっていました。

なんという巡り合わせでしょうか、運命を感じますね。

そこであ私の好みに合うように多少デザインも変更してオリジナルの蕎麦猪口やどんぶり、小皿などもお願いすることになりました。
2、3ヶ月かかるそうです。
今から出来上がりが待ち遠しい!

きっとお蕎麦も素敵な衣装をまとい良い絵になると思います。









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