「勇者よ。世界を救えるのはお前しかいない」
眼前の男の言う世界とは何だろう。
勇者と呼ばれた男は考えた。
彼の国か。彼の娘と妻の戻った彼の日常か。
大陸規模の安全保障 / あるいはこの惑星の恒久的な武力解決の消滅
世界の尺度は個人により異なる
同時にそこに求める平和、救世の概念も。
自分でやればいいのに。
嫌味や皮肉ではなく心の底からそう思う。
それとも。
自身の「世界」を救うという大儀を他人任せ出来るとうのは
王の度量というものなのだろうか。
三回目の賛辞と激励。
頷き、頭を下げ、俺は世界を救いにいく
王様の世界を。