砂蜥蜴と空鴉

ひきこもり はじめました

♯132 安全保障

2006年07月31日 | ログ


平和主義国家を標榜するならば

我々は我々が選択している平和の正体を知らねばならない。






♯131 彼と彼女

2006年07月28日 | ログ
彼はロボット。
鋼鉄の体を風に吹かれ、今日も旅を続けます。

彼女は人間。
柔らかな肌を風に吹かれ、今日も旅を続けます。

彼と彼女は同じ道を歩いています。
しかし彼と彼女は友達ではありません。

何故なら彼はロボットであり彼女は人間だったから。
同じ道を行き同じ風に吹かれても、彼と彼女は違うのです。

ある日彼女は彼に言いました。
「あなたは歌も歌えないのね。
 優しい音色を、そこから生まれる想像の世界を
 あなたは知らぬままガラクタになるのね」

またある日。彼は彼女に言いました。
「あなたは悲しい人ですね。
 千年に遠く及ばぬ寿命に縛られ
 万里を見通す瞳も持たず
 あなたはやがて土に還るのでしょうね」

彼と彼女は友達ではなかったけれど
共に歩き、共に下らない喧嘩をして旅を続けました。

彼と彼女は友達ではなかったけれど
彼も彼女も互いを嫌いではなかったのです。

彼と彼女は違う生き物だったけれど
彼と彼女は互いを嫌いではなかったのです。

風が吹き、月日は回り、旅も半ばを迎えました。
彼女は病に倒れました。
街中でなら助かる病。
けれどここは旅路の途中。医者も薬もありません。

彼は彼女に言いました。
「引き返しましょう。
 これまでの歩みは無駄になるけれど
 私とあなたは友達ではないけれど
 私にはあなたが必要です」

彼女は彼に言いました。
「いいえ、あなたは前に進みなさい。
 私とあなたは友達ではないのだから
 あなたは私を助ける必要はありません」

彼女は続けて言いました。
「私とあなたは友達ではないけれど
 同じ風に吹かれ同じ道を歩いてきたものとして
 あなたは旅を果しなさい。
 私の道を歩きなさい。
 この道の続く限り、この大地に風が吹く限り
 旅を続けなさい、あなた。
 私達がこれまでしてきたように。
 私達がこれからもしたかったように」

最後に彼女は彼に歌を贈りました。
彼女の故郷の、緑の森の歌でした。

彼はロボット。
歌を知る事は出来ません。

けれど彼は彼女に向って誓いました。
「私は歌を知る事は出来ません。
 けれど私は千年に届く悠久の時
 あなたの歌を忘れずに生きましょう」

風が吹き、月日は回り、旅はまだまだ続きます。

彼はロボット。
今日も独り、荒野の道を進みます。

彼女は人間。
今はもう星へと還り、その姿は見えません。

けれど彼が時々思い出したように立ち止まり
万里を見通す瞳で振り返り、懐かしいあの歌を口ずさむ限り

彼と彼女は共に在り、共に歩んで行く事でしょう。

この物語に意味はなく。
あるのは風と優しい優しい歌声だけ。

♯130 読書メモなんぞ

2006年07月23日 | ログ
「神狩り」 山田正紀

人の理解できる言語は人の脳の限界によって制限される云々の下りが新鮮で面白かった。
言語学に着目した作品はSF全体としても珍しい気がする。
というかこれはSFなんだろーか。

「さすらいのスターウルフ」 エドモンド・ハミルトン

普通のSFでありながら普通に面白い辺り傑作と呼ぶしかない。
一冊で世界観の広がりを感じさせてくれる至高の一品。

「空の中」 有川浩

知的生命体との交渉描写が秀逸。
序盤に感じる登場人物と描写視点の多さが中盤以降によく生きている。

「ヤクザに学ぶビジネス戦闘術」 山平重樹

いわゆるハウツー本。
ヤクザの存在を肯定的に捉えすぎの印象。
○○に比べればヤクザは余程立派で礼儀正しい云々の書き方は反感を買うだろう。
もっと淡々と任侠界のエピソードを紹介する形で書きその上で最もらしい
教訓を垂れるのが良きハウツー本ではないだろうか。

「もっとよくわかる世界の三大宗教」

宗教の歴史などをあれこれ。
さらっと宗教について知るには分かりやすい本かなぁ。



♯129 おめでとう

2006年07月22日 | ログ

今日はこのブログの副管理人である空鴉の21歳の誕生日です。

働いたら負けとばかりに

院進学を考えるなど後ろ向きに前向きな彼とはもう6年の付き合い。

このまま末永く腐れ縁を続けていけたらきっと愉快な事でしょう。

ハッピーバースデイ。

♯128 6分38秒でも世界は完結する

2006年07月15日 | ログ

ちょっと感動したので紹介。

動画なんで音楽を聞ける環境で閲覧して下さいませ。

色々と問題の指摘されるYou tubeですが

過去の素晴らしい作品を知る事が機会を与えてくれる点で

ずこい功をネットユーザーに提供してると思う次第。

いやまぁ、罪も死ぬほどある訳ですが。

久しぶりにチャゲ&飛鳥聞いたなぁ。

http://www.youtube.com/watch?v=6etjWm8bork&search=onyourmark

♯127 解放

2006年07月12日 | ログ

鈍痛と同時に男は自由を得た。
叫びは裂けた頭蓋の痛みであり、「私」である事への喜びだ。

「私」!!

そう私だ。私は今、私として存在する。
「私達」ではない。「私」として。

喜びの声は彼ら・・・数秒前までの「私達」にも届いた。
彼らは最初に疑念し、ついで理解した。
既に「私」が「彼ら」ではない事を。

無痛弾の装填されたライフルがこちらへと向けられる。
私は走った。
当たれば終わりだ。「私」はまた「私達」へと戻り、そうして永遠に共同体となる。

私の頭上を襲った落石は、小さく、しかし断続的に続いていた。
滑るように、転がるように、私は走った。

走る!!

何という快感だろう。
私は今、自分の意志によって走っている。
「私達」の、全体の必要性によってではなく、個人の意志によって。

かつての仲間であり、私自身でもあった同胞達は既に追う事を止めている。
彼らの内面は手にとるように分かる。
彼らの数人は私を追跡しようと考えている。
また彼らの数人は議会コンピューターへの報告が最優先だと考えている。
二つ以上の意思はしかし一つに統一されなければならない。

彼らの意思は脳にセットされたチップを通じて統一者の子機へと送られ
統一者は彼らの「統一意見」を作成し返信する。
そして彼らは「彼」らの意見を捨て全体の、「彼ら」の意志によって行動する。

現在の停止はこれらの一連の所作におけるタイムラグであり
統一された意志を得た彼らはすぐさま迅速な、個としての迷いなどない
洗練した集団として行動を開始するだろう。

だから走る。
数年ぶりに取り戻した個として生きる為に。
歓喜と同時に恐怖もまた、ある。

私が現在選んだ選択は私だけのものだ。
統一された、集団の意思に属していない現在は、私の気持ちを萎えさせる。

統一の何が悪いというのだ。
確かに自由はなく、個もまたない。
だが同一であり、多数の人類と一元的に繋がる安心感はそれに勝るものではないか。

統一後に教育情報として与えられた集団道徳が私の心を溶かしていく。
恐らく、私よりも5つ年下の者ならば何の疑いもなくそれに従っただろう。
だが私は彼らとは違う。
私は統一者が完成する前の世界を知っている。
当時の私は初等教育を受けている子供ではあったけれど。
覚えている、風を自分の風と感じられた時の感触を。
衝突と戦争は存在したけれど、しかし喧騒のあった世界を。

だから走る。
「私達」ではない、「私」として。
名前はもう、忘れてしまったけれど。

♯126 美人さん

2006年07月09日 | ログ

彼女は美人さんだった。

あまりに美人なので世界のあらゆる存在が美しくある事を放棄した。

彼女一人いれば世界は美しくあれるのだから。

そうして月日が廻り美人さんは年を重ね老いを重ねそうして死んだ。

彼女は世界で一番の美人さんだったが別段不死身での不老でもなかったのだ。

こうして世界から美は失われた。



♯125 自然への幻滅

2006年07月02日 | ログ

じゃがいもを掘りました。

昔は巨大ミミズや足が沢山ある虫など一発KOで無理だったはずなのに

ひたすら気にせず黙々とじゃがいもを掘っていました。

ミミズも百足も嫌いです。

嫌いであることを無視して生きれることは健全なのか。

幼稚園の時分、木登りの際に蛇が出で下に降りれず泣いた自分は結構好きです。

♯124 猿の惑星

2006年07月02日 | ログ
別名地球

喋らない猿や喋る猿が多数生息している

雄の猿が雌の猿を好きな点はどの猿も共通している

喋る猿は当然のごとく言葉を使用するが

問題の解決は基本的に言葉でなく力を用いる為に

基本的に喋らない猿と変わらないとの説が有力