タイ国経済概況(2023年10月)
1.景気動向
(1)タイ工業経済事務局(OIE)によると、2023年8月の付加価値ベースの鉱工業生産指数(MPI)は91.85で、11ヵ月連続の前年同月比マイナスとなった。20生産品目のうち18生産品目が前年同月比でマイナスとなり、「化学・化学製品(前年同月比+4.4%」と「コークス、石油製品(同+1.5%)」のみプラスだった。下落率が大きいものは、上から「家具(同▲26.6%)」、「皮革および関連製品(同▲25.1%)」、「機械・機器(同▲21.5%)」「衣服(同▲21.2%)」「金属製品(同▲19.3%)」だった。
(1)タイ工業経済事務局(OIE)によると、2023年8月の付加価値ベースの鉱工業生産指数(MPI)は91.85で、11ヵ月連続の前年同月比マイナスとなった。20生産品目のうち18生産品目が前年同月比でマイナスとなり、「化学・化学製品(前年同月比+4.4%」と「コークス、石油製品(同+1.5%)」のみプラスだった。下落率が大きいものは、上から「家具(同▲26.6%)」、「皮革および関連製品(同▲25.1%)」、「機械・機器(同▲21.5%)」「衣服(同▲21.2%)」「金属製品(同▲19.3%)」だった。
(2)タイ商務省の発表によれば、2023年8月の輸出額は前年同月比+2.6%の242.8億米ドルで、11ヵ月ぶりに前年同月比を上回った。輸入額は同▲12.8%の239.2億米ドルで、貿易収支は3.6億米ドルの黒字。品目別の輸出額は、自動車・同部品が同+24.2%(40.2億米ドル)、電子製品・同部品が同+9.3%(40.5億米ドル)、農産物・加工品は同▲1.5%(40.3億米ドル)、天然ゴムは同▲32.9%(30.2億米ドル)だった。
(3)タイ工業連盟(FTI)が9月21日に発表した8月の自動車生産台数は、前年同月比▲12.3%の15.1万台だった。内訳は国内向けが同▲26.2%の6.2万台、輸出向けが同+1.1%の8.9万台。新型コロナ前の2019年8月の生産台数16.6万台を下回った。また、8月の国内新車販売台数は同▲11.7%の6.0万台で、輸出台数は同+19.4%の8.8万台。新型コロナ前の2019年8月の販売台数が8.1万台、輸出台数が8.2万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。
(4)FTIが9月21日に発表した8月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲23.7%の18.7万台で、2ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年8月の生産台数は19.9万台であり、新型コロナ前の水準を下回った。内訳は完成車(CBU)が同▲9.7%の17.1万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲71.7%の1.6万台。また、8月の国内販売台数は同▲6.8%の16.0万台、輸出台数は同+5.3%の3.2万台だった。2019年8月の国内販売台数が14.9万台、輸出台数が2.7万台であり、販売台数、輸出台数ともに新型コロナ前の水準を上回った。
2. 投資動向
(1)9月は中国EVメーカーのタイでの事業展開に関する発表が相次いだ。まず奇瑞汽車(チェリー)が、タイでのEV生産事業を申請する予定と発表。タイではEVの「OMODA」と「JAECOO」を生産する計画で、2024~25年は年産能力1万8,000台を目指すが、生産はタイ国営石油PTT傘下のアルン・プラスに委託する方針だ。次いで、広州汽車集団(GAC)傘下のEVメーカーであるAIONは、同社初の海外進出先としてタイを選択。9月9日に、中国で最も売れているEV・SUVである「Y Plus」を発売開始した。完成車の輸入販売からはじめ、タイ工場の完成後は国内での生産品に切り替え、ASEAN各国や右ハンドル市場に輸出していく。さらに、比亜迪(BYD)は、現在建設中のラヨーン県のEV工場で、2024年6月からの小型EV「Dolphin」の生産開始を目指す。生産車はASEANや欧州に輸出予定だ。
(2)2023年8月23日、セター氏の首相就任を受けてタイ株式市場は1.29%上昇、新政権による景気改善について投資家の見方は楽観的だった。セター新首相は、1万バーツのデジタル通貨配布、2027年までに日額最低賃金600バーツ、大学新卒者の初任給2万5,000バーツ等を含む政策を提案している。フィッチによると、観光客数は依然として新型コロナ前の水準を下回り、輸出額は縮小、さらに前述の景気刺激策がタイの大幅な債務増加につながるとしている。そうした背景から、SET指数の9月22日時点での1ヵ月リターンは▲1.49%だった。
3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2023年の8月末時点で金融機関預金残高は24兆4,692億バーツ(前年同月比+1.4%)、貸金残高は30兆3,922億バーツ(同+2.0%)といずれも増加。また、9月26日にBOTは政策金利を2.25%から2.50%に引き上げた。
4. 政治動向、その他
(1)9月11日に新内閣のセター首相は、所心表明演説を行った。主な政策案として、「全国の最低賃金を日額600バーツ、新卒の最低月給を25,000バーツ」「全国民に1万バーツを電子通貨付与」「バンコク都内の電車賃を一律20バーツ」「ガソリン代、ガス代、電気代の値下げ」等が発表された。最低賃金に関する質問に対して、セター首相は早期にまず400Bまで引き上げると回答。2024年1月1日から実施見込みとの報道があった。バンコク都市線の一律運賃は、タイ国鉄(SRT)が試験的にパープルラインとレッドラインの一律上限20バーツ運賃を、年内に実施する方向だ。また、観光収入増額を狙い、2023年9月25日~2024年2月29日の期間で、中国とカザフスタンからの観光客に対する一時滞在ビザ(査証)免除を実施。両国民は、最大30日間、滞在することが可能となる。また、セター首相は外交も積極的に行っており、9月には第78回国連総会のために米国を訪問し、米テスラやマイクロソフト、グーグル等にタイへの積極的な投資をアピール。数年以内に50億米ドルの投資を受ける見込みだと話した。
(2)歳入局は9月15日、歳入法第41条第2項に基づき、タイに年間180日以上滞在する居住者の海外所得に対して、所得を得た時期にかかわらずタイ国内に持ち込んだ際に個人所得税を賦課するとの通達を出した。タイ居住者の海外での労働収入、資産収入が対象となり、2024年1月1日付で施行する。セター内閣の目玉政策、1人当たり1万バーツのデジタル通貨配給だけでも5,600億バーツの予算が必要と見込まれており、税収増を目的にした政策だという指摘もある。
(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
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情報提供:三井住友銀行バンコック支店 SBCS CO., LTD.
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