タイ国経済概況(2023年10月)

1.景気動向
(1)タイ工業経済事務局(OIE)によると、2023年8月の付加価値ベースの鉱工業生産指数(MPI)は91.85で、11ヵ月連続の前年同月比マイナスとなった。20生産品目のうち18生産品目が前年同月比でマイナスとなり、「化学・化学製品(前年同月比+4.4%」と「コークス、石油製品(同+1.5%)」のみプラスだった。下落率が大きいものは、上から「家具(同▲26.6%)」、「皮革および関連製品(同▲25.1%)」、「機械・機器(同▲21.5%)」「衣服(同▲21.2%)」「金属製品(同▲19.3%)」だった。

(2)タイ商務省の発表によれば、2023年8月の輸出額は前年同月比+2.6%の242.8億米ドルで、11ヵ月ぶりに前年同月比を上回った。輸入額は同▲12.8%の239.2億米ドルで、貿易収支は3.6億米ドルの黒字。品目別の輸出額は、自動車・同部品が同+24.2%(40.2億米ドル)、電子製品・同部品が同+9.3%(40.5億米ドル)、農産物・加工品は同▲1.5%(40.3億米ドル)、天然ゴムは同▲32.9%(30.2億米ドル)だった。

(3)タイ工業連盟(FTI)が9月21日に発表した8月の自動車生産台数は、前年同月比▲12.3%の15.1万台だった。内訳は国内向けが同▲26.2%の6.2万台、輸出向けが同+1.1%の8.9万台。新型コロナ前の2019年8月の生産台数16.6万台を下回った。また、8月の国内新車販売台数は同▲11.7%の6.0万台で、輸出台数は同+19.4%の8.8万台。新型コロナ前の2019年8月の販売台数が8.1万台、輸出台数が8.2万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)FTIが9月21日に発表した8月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲23.7%の18.7万台で、2ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年8月の生産台数は19.9万台であり、新型コロナ前の水準を下回った。内訳は完成車(CBU)が同▲9.7%の17.1万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲71.7%の1.6万台。また、8月の国内販売台数は同▲6.8%の16.0万台、輸出台数は同+5.3%の3.2万台だった。2019年8月の国内販売台数が14.9万台、輸出台数が2.7万台であり、販売台数、輸出台数ともに新型コロナ前の水準を上回った。


2. 投資動向
(1)9月は中国EVメーカーのタイでの事業展開に関する発表が相次いだ。まず奇瑞汽車(チェリー)が、タイでのEV生産事業を申請する予定と発表。タイではEVの「OMODA」と「JAECOO」を生産する計画で、2024~25年は年産能力1万8,000台を目指すが、生産はタイ国営石油PTT傘下のアルン・プラスに委託する方針だ。次いで、広州汽車集団(GAC)傘下のEVメーカーであるAIONは、同社初の海外進出先としてタイを選択。9月9日に、中国で最も売れているEV・SUVである「Y Plus」を発売開始した。完成車の輸入販売からはじめ、タイ工場の完成後は国内での生産品に切り替え、ASEAN各国や右ハンドル市場に輸出していく。さらに、比亜迪(BYD)は、現在建設中のラヨーン県のEV工場で、2024年6月からの小型EV「Dolphin」の生産開始を目指す。生産車はASEANや欧州に輸出予定だ。

(2)2023年8月23日、セター氏の首相就任を受けてタイ株式市場は1.29%上昇、新政権による景気改善について投資家の見方は楽観的だった。セター新首相は、1万バーツのデジタル通貨配布、2027年までに日額最低賃金600バーツ、大学新卒者の初任給2万5,000バーツ等を含む政策を提案している。フィッチによると、観光客数は依然として新型コロナ前の水準を下回り、輸出額は縮小、さらに前述の景気刺激策がタイの大幅な債務増加につながるとしている。そうした背景から、SET指数の9月22日時点での1ヵ月リターンは▲1.49%だった。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2023年の8月末時点で金融機関預金残高は24兆4,692億バーツ(前年同月比+1.4%)、貸金残高は30兆3,922億バーツ(同+2.0%)といずれも増加。また、9月26日にBOTは政策金利を2.25%から2.50%に引き上げた。


4. 政治動向、その他
(1)9月11日に新内閣のセター首相は、所心表明演説を行った。主な政策案として、「全国の最低賃金を日額600バーツ、新卒の最低月給を25,000バーツ」「全国民に1万バーツを電子通貨付与」「バンコク都内の電車賃を一律20バーツ」「ガソリン代、ガス代、電気代の値下げ」等が発表された。最低賃金に関する質問に対して、セター首相は早期にまず400Bまで引き上げると回答。2024年1月1日から実施見込みとの報道があった。バンコク都市線の一律運賃は、タイ国鉄(SRT)が試験的にパープルラインとレッドラインの一律上限20バーツ運賃を、年内に実施する方向だ。また、観光収入増額を狙い、2023年9月25日~2024年2月29日の期間で、中国とカザフスタンからの観光客に対する一時滞在ビザ(査証)免除を実施。両国民は、最大30日間、滞在することが可能となる。また、セター首相は外交も積極的に行っており、9月には第78回国連総会のために米国を訪問し、米テスラやマイクロソフト、グーグル等にタイへの積極的な投資をアピール。数年以内に50億米ドルの投資を受ける見込みだと話した。

(2)歳入局は9月15日、歳入法第41条第2項に基づき、タイに年間180日以上滞在する居住者の海外所得に対して、所得を得た時期にかかわらずタイ国内に持ち込んだ際に個人所得税を賦課するとの通達を出した。タイ居住者の海外での労働収入、資産収入が対象となり、2024年1月1日付で施行する。セター内閣の目玉政策、1人当たり1万バーツのデジタル通貨配給だけでも5,600億バーツの予算が必要と見込まれており、税収増を目的にした政策だという指摘もある。


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タイ国経済概況(2023年9月)

1.景気動向
(1)タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)の8月21日発表によると、2023年第2四半期の経済成長率は前年同期比+1.8%で、今年第1四半期の同+2.6%から大きく減速した。第2四半期の伸び率は東南アジア主要6ヵ国の5番目(伸び率の高い順からインドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシア、タイ、シンガポール)だった。部門別では農業が同期比+0.5%、非農業が同+1.9%で、非農業のうちサービス業が同+4.1%(うち宿泊・飲食は同+15.0%)、工業が同▲2.1%だった。NESDCは、サービス業の伸び率低下と、輸出不振を今回のGDP伸び率低下の理由にあげた。2023年通年の成長率については、今年5月に発表した同+2.7~3.7%から、+2.5~3.0%に下方修正した。

(2)タイ工業連盟(FTI)の発表によると、2023年7月の産業景況感指数(TISI)は前月比▲1.8ポイントの92.3で、過去10ヵ月での最低水準を記録した。FTIは政治的空白の長期化や輸出額の大きな減少、家計債務の増加等が消費者心理を冷やしていると指摘。また、業種別では45業種中21業種が上昇。企業規模別では、小規模企業が前月比+1.2ポイントの95.9、中堅企業が同▲2.0ポイントの97.3、大企業が同▲4.4ポイントの84.3だった。小規模企業は、14ヵ月連続の上昇となった。

(3)FTIが8月24日に発表した7月の自動車生産台数は、前年同月比+4.7%の15.0万台だった。内訳は国内向けが同▲1.2%の6.3万台、輸出向けが同+9.5%の8.7万台。新型コロナ前の2019年7月の生産台数17.1万台を下回った。また、7月の国内新車販売台数は同▲8.8%の5.8万台で、輸出台数は同+30.0%の10.8万台。新型コロナ前の2019年7月の販売台数が8.1万台、輸出台数が8.2万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)FTIが8月24日に発表した7月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲7.8%の19.5万台で、3ヵ月ぶりのマイナスを記録した。2019年7月の生産台数は19.7万台であり、新型コロナ前と同水準だった。内訳は完成車(CBU)が同+11.1%の17.0万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲57.6%の2.5万台。また、7月の国内販売台数は同+12.7%の15.1万台、輸出台数は同+91.5%の3.8万台だった。2019年7月の販売台数が14.9万台、輸出台数が2.3万台であり、販売台数、輸出台数ともに新型コロナ前の水準を上回った。


2. 投資動向
(1)タイ商務省事業開発局によると、年初7ヵ月における高齢者介護分野における新規事業登録件数は、前年同期の57件から+17.5%の67件だった。一方で、事業規模が比較的小さかったことから、同期間の登録資本総額は昨年同期から2,870万バーツ減少(▲23.4%)の9,370万バーツとなった。また、同局によると海外投資家も高齢者介護事業に関心を示しており、同分野への投資総額の5.9%を占める。7月だけで海外からの投資額は2,460万バーツ増加し、前年同月比+15.6%の2,844万バーツだった。7月時点での国別の年初来累積投資額では、1位がシンガポールの8,980万バーツ(49.2%)、2位がスイスの3,610万バーツ(19.7%)、3位が台湾の1,800万バーツ(9.9%)、4位が中国の1,780万バーツ(9.8%)、5位が日本の635万バーツ(3.5%)だった。また、内資からの投資が29億2,000万バーツ、外資が1億8,200万バーツだった。事業運営者は研修や試験を受ける必要があり、保健サービス支援部門の免許を取得する必要がある。2021年1月27日発効の同規制は、施設、建物、トイレ、スロープ、ベッドの間隔、専門スタッフ雇用に関する法律の順守を義務付けている。

(2)新首相が選出され政治と経済の方向性が明らかになったことで、タイの株式市場は回復の兆しを見せている。8月23日の議会投票でセター氏が過半数を獲得し首相に選出されたことを受け、SET指数は2.22%上昇した。7月から8月にかけては、新政権樹立とFRBの利上げにおける不確実性により、タイ株式市場は動きの少ない横ばいに推移した。政治の方向性が明確になるにつれ、国内外の投資家の信頼は徐々に回復すると予想される。8月25日時点のSET時価総額は19.12兆バーツに相当し、前月から僅かに減少した。サービス分野が時価総額5.01兆バーツで依然としてSET最大分野であり、資源分野が3.94兆バーツで2番目の規模。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2023年の7月末時点で金融機関預金残高は24兆4,827億バーツ(前年同月比+1.7%)、貸金残高は30兆3,186億バーツ(同+1.9%)といずれも増加。また、8月2日にBOTは政策金利を2.00%から2.25%に引き上げた。


4. 政治動向、その他
8月7日に第二党のタイ貢献党が前進党による連立協議から離脱し、タイ誇り党や国民国家の力党等の計11党での連立に移行。8月22日にタイ貢献党のセター・タウィシン氏が首相立候補として推薦された。首相選出投票の結果、両院の賛成票が過半数を超え、セター氏が第30代の首相に正式任命された。新首相は61歳で、不動産会社Sansiriの創業オーナーである(2022年11月に同社を退職し、既存13社の全株を娘に譲渡済)。その後9月2日に、国王に提出した閣僚名簿が承認された。9月5日には新閣僚が国王への忠誠を宣誓し、正式に新内閣が発足した。(9月7日時点)

(2)タイ政府観光庁(TAT)は、2023年7月の訪タイ外国人数は前年同月比2.2倍の249万人で、中国人が前年同月比16.1倍の410万人で1位になったと発表した。前月までは13ヵ月連続でマレーシアが1位だった。2位はマレーシアの37万人、3位は韓国の15万人だった。今年7月までの累積では、前年同期比4.8倍の1,540万5,334人となった。また、TATチェンマイ事務所は8月22日、今年7月までのタイ国内観光客数が、新型コロナ流行前の2019年同期比93%に達したと明かした。今年通年の国内観光客数は1億6,000万人を見込んでおり、観光収入は19年比+75%の8,082億バーツまで拡大すると予測している。


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タイ国経済概況(2023年3月)

1.景気動向
(1)国家経済社会開発委員会(NESDC)が2月19日に発表した速報値によると、2022年通年の経済成長率は前年比+2.6%で2021年の同+1.6%から加速。しかし、2022年第4四半期の成長率は前年同期比+1.4%で、前期(同年第3四半期)の+4.5%から大幅に鈍化した。観光客数の回復がプラス要因だったが、主に欧米向け輸出が振るわなかった。NESDCは2023年について前年比+3.0~+4.0%と予測していたが、今発表で+2.7~3.7%に下方修正した。2022年第4四半期の失業率は1.15%で、前期の1.23%からさらに改善し、新型コロナ前の水準に近づいた(2019年第4四半期は0.98%)。

(2)タイ工業連盟(FTI)の発表によると、2023年1月の産業景況感指数(TISI)は前月比+1.3ポイントの93.9で、新型コロナ前以来43ヵ月ぶりの高水準を記録した。FTIは内需拡大、消費財の好調、観光セクターの大幅回復、中国の水際対策緩和による対中輸出の増加等が景気回復に良い影響を与えていると指摘した。一方で、マイナスの影響として輸出量の減少、エネルギー価格の高騰、世界各国でのインフレによる景気減速等をあげた。また、業種別では45業種中27業種が上昇。企業規模別では、小規模企業が前月比+4.4ポイントの80.0、中堅企業が同+2.0ポイントの99.8、大企業が同▲0.8ポイントの100.8だった。

(3)FTIが2月21日に発表した1月の自動車生産台数は、前年同月比+4.0%の15.8万台だった。8ヵ月連続でプラスを記録した。内訳は国内向けが同▲0.4%の6.6万台、輸出向けが同+7.4%の9.2万台。新型コロナ前の2019年1月の生産台数18.0万台を下回った。また、1月の国内新車販売台数は同▲5.6%の6.6万台で、輸出台数は同+24.3%の8.7万台。新型コロナ前の2019年1月の販売台数が7.8万台、輸出台数が8.2万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)FTIが2月21日に発表した1月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+12.5%の23.8万台で、7ヵ月連続のプラスを記録した。2019年1月の生産台数は21.8万台であり、新型コロナ前と同水準だった。内訳は完成車(CBU)が同+14.6%の19.4万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+4.0%の4.4万台。また、1月の国内販売台数は同+9.8%の15.9万台、輸出台数は同▲0.1%の4.2万台だった。2019年1月の販売台数が14.9万台、輸出台数が2.6万台であり、販売台数、輸出台数ともに新型コロナ前の水準を上回った。


2.投資動向
タイ投資委員会(BOI)は2022年の投資申請統計を発表し、新規申請額は6,646億バーツで前年比+38.8%となった。申請件数は同+41.4%の2,119件。産業別申請額では、サービス・インフラが最も多く2,013億バーツ、電子・電気機器が1,333億バーツ、機械・金属加工が1,322億バーツと続いた。このうち、タイ政府が重点産業とする「Sカーブ産業」に対する新規申請額は、前年比+40.0%の4,687億バーツだった。また、国・地域別の海外直接投資額では、中国が同+107.9%の774億バーツで首位、日本が同▲36.6%の508億バーツで二位、米国が同+72.5%の503億バーツと続いた。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2023年の1月末時点で金融機関預金残高は24兆5,122億バーツ(前年同月比+4.2%)、貸金残高は28兆5,698億バーツ(同+3.9%)といずれも増加。また、1月25日にBOTは政策金利を1.25%から1.50%に引き上げた。

〈2月の回顧〉
(1)(為替動向)
2月のドルバーツは堅調に推移。月初、ドルバーツは32.80台前半でスタート。注目のFOMCでは市場予想通り政策金利の25bp利上げが全会一致で決定され、パウエル議長のディスインフレーションに関する発言を受けてリスクオフムードが改善し、32.60台半ばまで下落した。しかし、その後は米雇用統計やISM非製造業景況指数の強い結果を受けドル買いが加速し、33.70台後半まで上昇した。途中、日本政府が日銀総裁に元日銀審議委員の植田和男氏を起用との報道が流れると円高となり、連れる形でドルが下落する場面が見られるも、米消費者物価指数(CPI)やその他米経済指標が軒並み市場予想を上振れ、タイの2022年第4四半期GDP成長率が前年比+1.4%と市場予想を大きく下回ったこともありドル買いバーツ売りが継続。中旬にかけて34の大台に乗せる展開となった。下旬にかけても、タカ派なFOMC議事要旨や連日の強い米経済指標結果を受け、米金利上昇とともにドル買いが継続。月末に発表されたタイ経常収支は、20億ドルの赤字だったこともあり、ドルバーツはストップロスを巻き込みながら一時35.30台後半まで上昇し、結局35.30近辺で越月となった。

(2)(金利動向)
2月のバーツ金利は、全年限で上昇する展開となった。月初、注目のFOMCにてインフレ鈍化に関する指摘がハト派と受け止められ、世界的にに金利が低下。しかし、その後の米雇用統計やISM非製造業指数の強い結果を受け、米金利の上昇とともにバーツ金利も長期ゾーンを中心に上昇。発表された1月のタイ消費者物価指数(CPI)は前年比+5.02%と市場予想を小幅に下振れ、伸び率は9ヵ月ぶりの低水準となったものの、強い米経済指標に引っ張られる形でバーツ金利の上昇圧力は継続する展開となった。中旬、米消費者物価指数(CPI)の強い結果や、FED高官のタカ派な発言も金利上昇を後押しし、グローバルな金利上昇圧力は継続。途中、タイ中銀のマティー副総裁は、インフレ率が今年減速する可能性が高いとし金利上昇圧力が弱まる場面が見られるも、月末にかけて発表された強い米経済指標の結果を受け、インフレ再加速への懸念によるFEDの更なる引き締めへの思惑が意識される中、世界的に金利が上昇し、月末のタイ10年物国債利回りは2.58%台、同5年物利回りは2.19%台、同2年物利回りは1.89%台と、それぞれ前月末より+0.06%、+0.11%、+0.10%の値動きとなった。

(3)〈今後のイベント・見通し〉
先月は、連日の強い米経済指標の結果を受けソフトランディングあるいはノーランディングの可能性が台頭し、米金利の上昇とともにドルバーツは年初来高値を更新する展開となった。米国の利上げ長期化はある程度織り込まれてきている中、年始からの下げを全て戻したこともあり、今後ドルバーツは足許の上昇がどの水準で落ち着くかを探る展開となるだろう。なお、今月はFOMCおよびMPCの開催が予定されている。FOMCに関しては、25bpの利上げがマーケットコンセンサスであるものの、一部では50bp利上げの可能性も指摘されている。MPCにおいては25bpの利上げがコンセンサスであるものの、輸出額の減少が予測される中、政策金利を据え置く可能性も出てきている。かかる環境下、ドルバーツは下落しにくい地合いであり、引き続き下値の堅い値動きが継続するものと予想。ただし、中国経済の想定以上の回復によりバーツ買いが先行する可能性もあり要注意。


4.政治動向、その他
プラユット首相は、2月21日の閣議で3月初旬の下院解散の方針を伝えた。選挙は下院解散から45~60日の実施が憲法103条で定められており、先に選挙管理委員会が示していた5月7日が投票日となる見通し。ウィサヌ副首相が示した選挙日程によると、5月7日に総選挙、7月初旬に選挙結果公表、7月下旬に新首相指名、8月上旬に新政権発足となる。また、下院解散後は、新政権発足まで現在の内閣が選挙管理内閣として政権を担う。しかし新たに予算措置が必要となる事業の閣議承認等はできず、次期政権に委ねられる。



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タイ国経済概況(2023年2月)

1.景気動向
(1)タイ商務省の発表によれば、2022年の輸出額が前年比+5.5%の2,870.7億米ドル、輸入額は同+13.6%の3,031.9億米ドルで、いずれも過去最高を記録した。一方で、貿易収支は▲161.2億米ドルと大幅なマイナスとなった。2022年12月単月では、輸出額が前年同月比▲14.6%の217.2億米ドル、輸入額が同▲12.0%の227.5億ドルでどちらも3ヵ月連続前年同月比で減少した。また、タイ工業連盟は2023年上半期の輸出見通しを、世界的な景気後退が予想されることを理由に減速するだろうと指摘した。

(2)盤谷日本人商工会議所(JCC)は1月31日、2022年下期日系企業景気動向調査の結果を発表した。2022年11月29日~12月23日にかけて会員企業1,627社を対象に調査を行い、508社(回答率31.9%)から回答を得た。同調査によれば、2022年下期の業況感(DI値:業況が「上向いた」と回答した数から「悪化した」と回答した数を差し引いた値)見通しは21で、プラスは維持したものの2022年上期の27からプラス幅は縮小した。また2023年上期の見通しについては、インバウンドの増加による経済への好影響や原材料不足解消等の期待から28へと伸長した。

(3)タイ工業連盟(FTI)が1月24日に発表した2022年12月の自動車生産台数は、前年同月比+2.7%の15.9万台だった。7ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は国内向けが前年同月比▲5.1%の7.3万台、輸出向けが同+10.5%の8.6万台。新型コロナ前の2019年12月の生産台数13.4万台を上回った。また、2022年12月の国内新車販売台数は前年同月比▲9.0%の8.3万台で、輸出台数は同+10.2%の11.2万台だった。2019年12月の販売台数は8.9万台、輸出台数は7.2万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を大きく上回った。

(4)FTIが1月24日に発表した2022年12月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+1.4%の22.0万台で、6ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同+7.5%の18.0万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲19.6%の4.0万台。2019年12月の生産台数は21.9万台であり、新型コロナ前とほぼ同水準だった。また、2022年12月の国内販売台数は前年同月比+4.4%の14.4万台、輸出台数は同+45.1%の5.1万台だった。2019年12月の販売台数は11.4万台、輸出台数は3.6万台であり、ともに新型コロナ前の水準を大きく上回った。


2.投資動向
1月23日、タイ投資委員会(BOI)は2022年の投資奨励申請が合計2,119件の6,646億バーツ(約200億米ドル、前年比+39%)に達したと発表した。産業別の申請額では、首位が電子および電気機器の1,295億バーツだった。2位は自動車の1,054億バーツで、うち540億バーツはEV、PHEV、HEV等電気自動車およびバッテリーを含むEVサプライチェーン関連だった。なお、データセンターへの投資も425億バーツあった。投資申請のうちFDIは前年比+36%の4,339億7,100万バーツだった。国別申請額では、首位が中国の774億バーツ(158件)、日本の508億バーツ(293件)、米国の503億バーツ(33件)、台湾の452億バーツ(68件)、シンガポールの443億バーツ(178件)が続いた。EEC(東西経済回廊)への申請額は前年比+84%の3,588億バーツだった。また、BOI理事会はHQBizPortalと呼ばれるワンストップサービスの設置を承認した。地域本部の設立を検討する企業に対するコンサルテーションおよび円滑化サービスのリストを提供する予定。企業が地域本部設立に係るライセンス取得のための時間を短縮し、タイの国際ビジネスセンターと地域貿易ゲートウェイとしての地位を強化することが狙い。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2022年の12月末時点で金融機関預金残高は24兆5,735億バーツ(前年同月比+4.6%)、貸金残高は28兆6,195億バーツ(同+4.1%)といずれも増加。また、1月25日にBOTは政策金利を1.00%から1.50%に引き上げた。

〈1月の回顧〉
(1)(為替動向)
1月のドルバーツは上値重く推移。月初、ドルバーツは34台半ば近辺でオープンし、中国のゼロコロナ政策撤回で観光産業が活性化するとの見方からバーツ買いが進行。米消費者物価指数(CPI)が前月比▲0.1%、コアは前月比+0.3%とインフレがやや落ち着いてきている結果となったことに加えて、Fedのハーカー氏より「今後は25bp利上げが適切になるだろう」との発言が伝わるとマーケットは再度金利低下、ドル売りに拍車がかかる展開となり、ドルバーツは33を割り込んだ。その後の日銀金融政策決定会合では、金融政策の現状維持が決定され、日銀が大規模な景気刺激策を段階的に縮小するのではないかという織り込みが剥がれ、ドル円は2%近く急騰。ドルバーツも一時的に33台を回復する場面が見られるも、米経済指標のさえない結果や、中国経済回復期待による根強いバーツ買い圧力が続き、下旬にかけてドルバーツは一時32台半ば付近まで下落した。月末にかけて、タイ中銀金融政策委員会(MPC)を通過後もドルバーツは方向感が定まらず概ね32台後半で上値重く推移し、結局33ちょうど近辺で越月となった。

(2)(金利動向)
1月のバーツ金利は、短中期ゾーンは前月末対比上昇、長期ゾーンは下落する展開となった。上旬、グローバルに金利低下圧力がかかる中、バーツ金利に関しても全年限で下落。さらに、米ISM非製造業指数や米CPIの弱い結果により、金利低下圧力は継続し、タイ10年債利回りは一時2.38%台まで低下した。ただ、2022年中国GDPの伸び率が通年で+3.0%と新型コロナ禍当初の2020年に記録した+2.2%を除けば1976年以降で最低となったこともあり、リスクオフムードから新興国アセットは下落。加えて、タイ中銀金融政策委員会(MPC)では政策金利を0.25%引き上げ1.50%とすることを決定し、短中期ゾーンを中心にバーツ金利は上昇する流れとなった。月末にかけても、米国の10~12月期GDPが市場予想を上回り、他の経済指標も概ね良好だったことから米金利の上昇につれてバーツ金利も上昇し、結局タイ10年物国債利回りは2.52%台、同5年物利回りは2.08%台、同2年物利回りは1.79%台と、それぞれ前月末より▲0.12%、+0.12%、+0.16%の値動きとなった。

(3)〈今後のイベント・見通し〉
先月は、中国のゼロコロナ政策撤回に加えて、米経済指標の悪化によりドル売りバーツ買いが優勢となるも、月後半にかけてドルバーツは32台後半での狭いレンジ内で推移する展開となった。なお、今月に入り発表された注目のFOMCでは、利上げ幅を0.25%に縮小したものの、一部で期待されていた声明文中での金利政策の変更を示唆するような変更はなく、まだ利上げが続く余地があることを強調した。さらに、米雇用統計では労働市場の堅調さが再確認され、ISM非製造業景況感指数では2020年6月以来の大幅な伸びとなり、ドルバーツは33台後半まで上昇した。今月は米国やタイの中銀イベントの予定はないものの、経済指標の結果や要人発言によってドルバーツは上下に振れる可能性もあり、引き続き方向感のない展開を予想。ただし雇用・所得環境やインフレの落ち着きがFRBの想定よりも遅れていれば、もう一度インフレ警戒への姿勢を強める可能性もあり、その場合ドルバーツはまだまだ下値の堅い値動きが継続しそうだ。


4.政治動向、その他
観光・スポーツ省は1月23日、2022年の訪タイ外国人旅行者が前年比26倍の1,115万3,026人だったと発表した(新型コロナ前の2019年は3,980万人)。国別ではマレーシアからが最多で、2位がインド、3位がシンガポールだった。日本は13位。また、2022年12月の訪タイ外国人旅行者は224万1,195人だった。今年1月に中国がゼロコロナ政策による制限を撤廃したことにより、2023年はさらなる外国人旅行者の増加が見込まれる。


(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。ンコック支店 SBCS CO., LTD.



 
 
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タイ国経済概況(2023年1月)

1.景気動向
(1)国際協力銀行は、第34回目となる「2022年度わが国製造企業の海外事業展開に関する調査報告」を12月16日に発表した。本調査は同年7月から9月にかけて行われ、531社から回答を得た。中期的な有望事業展開先国・地域(今後3年程度)では、タイはインド、中国、米国、ベトナムに次ぐ5位で、昨年と同順位だった。「現地マーケットの今後の成長性」や「産業集積がある」点が引続き評価されたほか、「第三国輸出拠点」としても有望との評価だった。一方、回答企業の50%近くが、課題として「労働コストの上昇」を挙げたほか、多くの企業が「他社との厳しい競争」も課題として挙げた。

(2)世界銀行は12月14日、2023年のタイの経済成長率見通しを3.6%と発表した。また、タイ中央銀行(BOT)は同日、同じく3.7%との見通しを発表した。BOTは、この回復を支えるのは外国人観光客の増加に伴い観光セクターが牽引することだと述べ、航空座席数の増加や海外旅行規制の緩和を期待。また、外国人観光客は2023年は2,200万人、2024年には3,150万人に増加する見込みだと発表した。またサービス業を中心とした経済活動の改善により、労働市場が改善しつつあることを指摘した。新規失業給付申請者の割合が新型コロナ前の水準を下回る等、所得の増加も期待される。

(3)タイ工業連盟(FTI)が12月20日に発表した2022年11月の自動車生産台数は、前年同月比+15.0%の19.0万台だった。6ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は国内向けが前年同月比+10.1%の8.3万台、輸出向けが同+19.1%の10.7万台。新型コロナ前の2019年11月の生産台数15.4万台を上回った。また、2022年11月の国内新車販売台数は前年同月比▲4.8%の6.8万台で、輸出台数は同▲11.0%の8.8万台。2019年11月の販売台数は7.9万台、輸出台数は7.5万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)FTIが12月20日に発表した2022年11月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+2.8%の23.8万台で、5ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同+0.3%の18.9万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+13.6%の4.9万台。2019年11月の生産台数は20.3万台であり、新型コロナ前を上回った。また、2022年11月の国内販売台数は前年同月比+4.4%の15.1万台、輸出台数は同+5.0%の3.9万台だった。2019年11月の販売台数は13.5万台、輸出台数は3.0万台であり、ともに新型コロナ前の水準を上回った。


2.投資動向
12月26日付のタイ商務省の発表によると、2022年11月の新規企業登録件数は前年同月比+2.33%の5,773社だった。また、登録資本金総額は同+18.17%の200億6,948万バーツだった。業種別では不動産が492社(全体の8.52%)、建設が486社(同8.42%)、飲食が252社(同4.37%)の順で多かった。年初11ヵ月では、前年同期比+4.66%の72,480社だった。一方で2022年11月の企業登録抹消件数は、前年同月比▲7.19%の2,684社で、年初11ヵ月では前年同期比+18.21%の16,096社だった。


3.金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2022年の11月末時点で金融機関預金残高は24兆5,605億バーツ(前年同月比+5.4%)、貸金残高は28兆5,489億バーツ(同+4.7%)といずれも増加。また、11月30日にBOTは政策金利を1.00%から1.25%に引き上げた。

<12月の回顧>
(1)(為替動向)
12月のドルバーツは34台後半を中心に狭いレンジ内で推移。月初、ドルバーツは前月末夜間のパウエル議長講演を受け、過度な金融引き締めへの懸念が後退し35.10近辺でギャップダウンしてオープン。上旬、11月米非製造業景況指数が市場予想を大幅に上回りドル買いが進行する場面が見られるも、中旬以降は中国でコロナ規制緩和期待や11月米CPIの弱い結果を受けドルバーツは34台半ば近辺まで下落した。しかし、14日のFOMCでは全会一致で政策金利の50bp利上げを決定し、ドット中央値を上方修正する中、ドル買いが進行。ドルバーツは再び35台に乗せる場面があるも、その後の日銀の金融政策決定会合で従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.50%に拡大すると発表したことを受けドル売りが再開。下旬にかけては、米経済指標の強い結果によりドル買いに振れる場面があるも、中国で新型コロナ対策の規制緩和が進んでいることがバーツの支援材料となり、バーツ買いが進行。ドルバーツは上下を繰り返しながらも上値を切り下げる展開となり、結局ドルバーツは34.50台後半近辺で越月となった。

(2)(金利動向)
12月のバーツ金利は短中期ゾーンを中心に全年限で前月末対比低下する展開となった。上旬、11月米ISM製造業景況指数が市場予想を下振れる結果となったことに加えて、11月タイ消費者物価指数(CPI)は前年同月比+5.55%の上昇と、3ヵ月連続で前月を下回る結果となりバーツ金利は中長期ゾーンを中心に低下。更に中旬に発表された注目の11月米CPIは10月に引続きインフレの鈍化が示唆される内容となると、債券買いが進行し、バーツ金利は全年限で大幅に低下した。その後、FOMCのタカ派な結果や日銀のイールドカーブコントロールの運営を一部修正するサプライズを受けて、バーツ金利は長期ゾーンを中心に上昇に転じるも上昇幅は限定的にとどまり、下旬にかけてはクリスマス休暇に向けてマーケットは閑散。バーツ金利は動意に欠ける展開となり、結局タイ10年物国債利回りは2.64%台、同5年物利回りは1.96%台、同2年物利回りは1.63%台と、それぞれ前月末より▲0.08%、▲0.28%、▲0.13%の値動きとなった。

(3)〈今後のイベント・見通し〉
先月は、米CPIに加えてFOMCや日銀政策決定会合等注目のイベントをこなし、ドルバーツは上下に振れる場面があったものの、中国でのゼロコロナ政策緩和発表が相次いでいたこともあり徐々に上値を切り下げる展開となった。また、発表された日銀政策決定会合では、政策金利の変更はなかったものの10年国債の許容変動幅を従来の±0.25%から±0.50%程度にすること、日本国債の各年限で更なる買い入れ額の増額や指値オペをする等、イールドカーブコントロールの運営を一部修正することが公表され、日本金利に連れて米金利やバーツ金利も上昇。為替はドル売りの流れに沿ってドルバーツも下落した。今月は25日にMPC、31日にFOMCの発表が予定されており、FOMCでは次回の利上げペースを減速させる可能性はデータ次第とし、引続き各経済指標には要注目となる。また、ドルバーツは引続き落ち着きどころを探る展開が予想され、レンジブレイクした際の値動きには要警戒。


4.政治動向、その他
2022年11月30日から12月11日にかけて開催された第39回MotorExpoでの購入予約台数は自動車が36,679台、バイクが6,089台だった。車種別の割合ではSUVが53.9%、セダンが30.3%、ピックアップトラックが11.8%、その他が4.0%だった。イベントで予約された自動車の平均価格は135.0万バーツで、バイクは25.4万バーツだった。また、イベントでの売上高は約510億バーツで、来場者数は133.6万人だった。



(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
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タイ国経済概況(2021年6月)

1.景気動向
(1)タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は5月17日、2021年第1四半期の経済成長率が前年同期比▲2.6%であったと発表。新型コロナウイルス感染症の影響から民間消費支出とサービス輸出がマイナスであった一方、物品輸出および民間投資はプラスに回復、さらに公共投資の拡大が寄与し、前期(2020年第4四半期)の同▲4.2%から下げ幅は縮小した。また、同期の失業者数はおよそ76万人で失業率は2.0%、前期の1.9%からわずかに、前年同期比の1.0%からは大幅な上昇となった。なお、2021年通年の経済成長率に関しては、2月時点の予測値である前年比+2.5~+3.5%から、同+1.5~+2.5%へと下方修正した。ただし、輸出および政府支出の拡大に加え、前年の成長率が低水準であった反動でプラス成長は維持となる見込み。

(2)タイ工業連盟(FTI)が5月20日に発表した4月の自動車生産台数は、前年同月比+322.3%の10.4万台だった。前年同月の生産台数が新型コロナウイルス感染拡大による打撃のため低調だったことから大幅に増加した。内訳は国内向けが同+306.2%の4.5万台、輸出向けが同+335.2%の6.0万台だった。一方で、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年4月の生産台数は15.0万台であり、コロナ前の水準までは回復していない。1~4月の累計生産台数は、前年同期比+19.2%の57.0万台となった。また、4月の国内新車販売台数は前年同月比+93.1%の5.8万台、輸出台数は同+160.2%の5.3万台。2019年4月の販売台数は8.6万台、輸出台数が6.7万台だったことから、こちらもコロナ前の水準までは回復していない。1~4月の累計国内新車販売台数は前年同期比+9.6%の25.2万台、累計輸出台数は同+14.9%の31.1 万台だった。

(3)FTIが5月20日に発表した4月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+93.0%の16.0万台となり、4ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同+106.9%の13.1万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+47.8%の2.9万台。2019年4月の生産台数は16.9万台であり、こちらはコロナ前の水準まで戻りつつある。1~4月の累計生産台数は、前年同期比+17.8%の83.5万台となった。また、4月の国内販売台数は前年同月比+69.8%の13.4万台、輸出台数は同+77.8%の6.0万台だった。2019年4月の販売台数が12.0万台、輸出台数が5.9万台であったことから、こちらはコロナ前の水準まで回復しつつある。


2.投資動向
5月5日付のタイ国投資委員会(BOI)の発表によると、2021年第1四半期(1~3月)の投資申請額は前年同期比+80%の1,233.6億バーツで、件数は同+14%の401件だった。このうち、海外直接投資(FDI)の新規申請額は同+143%の619.8億バーツで、件数は同▲17%の191件だった。国別申請額では、1位が韓国の104.8億バーツで、中国(103.6億バーツ)、シンガポール(102.8億バーツ)、ノルウェー(100.0億バーツ)が続いた。韓国企業とノルウェー企業による医療用ゴム手袋の大型共同出資事業が大きく結果に影響した。国別申請件数では、1位が中国の37件で、日本(33件)、シンガポール(28件)、香港(16件)の順となった。重点産業への新規申請額は748億バーツで、そのうち医療分野への投資が184億バーツ(29件)で前年同期比100倍以上と大幅に拡大して首位であり、2位は電気・電子分野の174億バーツ(34件)だった。 東部経済回廊(EEC)への新規申請額は前年同期比+39%の644億バーツだった。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2021年の4月末時点で金融機関預金残高は22兆796億バーツ(前年同月比+3.9%)、貸金残高は26兆5,188億バーツ
(同+3.7%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈5月の回顧〉
(1)(金利動向)
5月のバーツ金利はすべての年限において小動きに留まったが、短期および長期金利が小幅上昇となった一方で中期金利は幾分か低下。タイ国内でのコロナ感染拡大第3波が収束の気配を見せず、抑制措置が継続していることや観光業再開が遅れていること等からタイ経済の回復への懸念がバーツ金利の重しとなったが、一方で国債増発懸念が特に長期金利を押し上げる要因となった。政府による5,000億バーツの追加景気パッケージの発表後にはバーツ長期金利が顕著に上昇となった。そのため、多くの市場参加者がバーツ国債の平均残存年限を短縮。5日に開催されたタイ中銀金融政策委員会(MPC)は大方の予想通り政策金利は全会一致で現行の0.50%に据え置かれた。声明文では、コロナワクチンの適切かつタイムリーな調達および供給がタイ経済にとっても最も重要な問題であると指摘したほか、十分に低い水準にある政策金利を引き下げるよりも信用政策(信用緩和)や債務再編の方が現状の経済に対してより適切な手法であると強調。また従来通り、最適かつ最大限に効果が出るタイミングで利下げカードを切るために政策余地は温存するとした。タイ10年物国債利回りは1.84%台、同5年物利回りは1.07%台、とそれぞれ0.02%、0.01%金利上昇、同2年物利回りは0.52%台と0.01%金利低下となった。

(2)(為替動向)
5月のドルバーツ相場はおおむね31台前半を中心としたレンジ内での推移に留まった。米国の金融政策がマーケット参加者の最大の注目となっている。そういった中で発表された米4月雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)の伸びが市場予想を大幅に下回る伸びに留まったが、失業率、時間当たり賃金ともに改善。NFPに関しては、手厚い失業保険やコロナ禍で育児のために在宅を強いられているケース等さまざまな原因が指摘されている。米4月消費者物価指数(CPI)は予想を大きく上回ったが、米金融当局者からは供給サイドの問題によるもので一時的との見方が多く示された。米金融当局者の発言からはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長を中心に、インフレ上昇は一時的なものに留まり景気回復がまだら模様である中では緩和的な金融政策を維持とのスタンスが示されていたが、一部の当局者からは今後の会合において債券購入プログラム縮小の議論開始が可能になってくるとの見方が示され、米金融当局内で意見は分かれていそうだ。タイ国内では、5日にタイ中銀が金融政策委員会(MPC)を開催し、政策金利を現行の0.50%に据え置きと決定。声明文では、コロナワクチンの調達と供給をいかに適切にタイムリーに行えるかがタイ経済にとって最も重要な問題だと指摘。また、十分に低い政策金利の引き下げよりも信用緩和の方が有効であることを強調した。米国のインフレ期待、それに伴う米長期金利の上昇、米金融政策変更への期待は引続き根強いものの、経済データがまだら模様であることがドルバーツの重しとなっている。一方でタイ国内でのコロナ感染拡大第3波が、内需や観光業に与える影響への懸念がドルバーツのサポート材料となっており、両方の要因からレンジ内での推移となった。

〈今後のイベント・見通し〉
6月は15~16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、23日にタイ中銀MPCが予定されているほか、欧州中央銀行(ECB)、日銀、英中銀と主要国の金融政策会合が多く予定されている。米FOMCでは金融政策の現状維持がコンセンサスながら、債券購入プログラム縮小開始に関しての議論の有無や四半期ごとに示される景気・金利見通しが注目されている。タイ中銀MPCは国際通貨基金(IMF)が利下げを推奨したものの、現段階でのコンセンサスは依然現状維持。


5.政治動向、その他
(1)タイ政府は5月8日付の官報にて、個人情報保護法の複数の条項について適用時期の再延長を告示した。本法は2019年5月に一部条文が施行され、2020年5月27日より完全施行が予定されていたが、政府は新型コロナウイルス感染症の流行ならびに政府機関および民間企業への準備期間への配慮を理由に、同年5月19日の閣議において延長を決定。完全施行は2021年5月31日より後になるとされていた。しかし、タイの経済・社会は引続き新型コロナの影響を受けており、適用準備が十分に整っていない状況にある等の理由から、再延長が決定された。これにより、罰則規定等を含む本法の完全施行は2022年5月31日より後となる。

(2)タイ政府は5月27日付の官報にて、タイ全土を対象とした非常事態宣言の適用を2021年7月31日まで延長する旨を決定した。非常事態宣言の延長は12度目となる。



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タイ国経済概況(2021年5月)

1.景気動向
(1)タイ商務省が4月23日に発表した貿易統計によれば、3月の輸出額は前年同月比+8.5%の242.2億米ドルだった。2ヵ月連続で200億米ドルを上回り、単月の輸出額としては過去最高を記録した。変動の激しい金・石油・武器を除いた輸出額も同+12.0%であった。輸出品目別では電気製品・部品、電子製品・部品、自動車・部品がいずれも前年同月比2桁増。国・地域別では経済回復が続く中国向け輸出(同+35.4%、31.1億米ドル)が全体の伸びをけん引した。

(2)アジア開発銀行は4月28日、「アジア経済見通し2021年版」を発表。タイの経済成長率について、2021年は3.0%、2021年は4.5%のプラス成長になるとの予測を示した。同報告によれば、世界的な新型コロナウイルスの流行による貿易および海外旅行への打撃はまだしばらく続くことが予測されるため、2021年は緩やかな回復にとどまり、経済の復調が本格化するのは2022年になる。タイの物品貿易についてはすでに回復基調にあり、日本や中国、米国といった輸出相手国の需要増を受け、自動車や電子製品、農産品等の主要品目を中心に今後も伸びが期待できるとした。一方、観光産業を主とするサービス貿易が復調し始めるのは2022年になる見通し。

(3)タイ工業連盟(FTI)が4月27日に発表した3月の自動車生産台数は、前年同月比+10.7%の16.3万台だった。2ヵ月続いて前年同月比プラスを記録した。内訳は国内向けが同+7.3%の6.6万台、輸出向けが同+13.1%の9.7万台で、国内向けは3ヵ月ぶりにプラスに転じた。1~3月の累計生産台数は、前年同期比+2.7%の46.6万台となった。また、3月の国内新車販売台数は前年同月比+25.6%の8.0万台、輸出台数は同+16.4%の10.5万台。国内新車販売台数は、3月24日から開催されたバンコク国際モーターショーに伴う販売促進が貢献し、3ヵ月ぶりのプラスを記録した。

(4)FTIが4月27日に発表した3月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+21.4%の23.6万台となり、3ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同+1.3%の18.2万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+21.9%の5.4万台。1~3月の累計生産台数は、前年同期比+8.9%の67.5万台となった。また、3月の国内販売台数は前年同月比+15.6% の17.0万台、輸出台数は同+24.2%の10.2万台だった。


2.投資動向
タイ電子取引開発機構(ETDA)が発表した「THAILAND INTERNET USER BEHAVIOR 2020」によれば、2020年のタイ人のインターネット平均利用時間は1日あたり11時間25分だった。前年と比較すると、1時間3分の増加となった。新型コロナウイルスの影響により、オンラインを通じた活動が増えたことが要因として考えられる。世代別の利用時間では、Y世代(20~39歳)が最長で1日平均12時間26分であった。また、利用目的の一位はソーシャルメディア(SNS)で、動画・音楽等の視聴、情報検索がそれに続いた。また、インターネット接続の利便性の向上やオンラインのコンテンツ拡充等を背景とし、同調査が開始された2014年から2020年にかけて、タイ人のインターネット使用時間は約3倍に伸びたことが明らかになった。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2021年の3月末時点で金融機関預金残高は22兆5,431億バーツ(前年同月比+4.3%)、貸金残高は26兆4,104億バーツ(同+4.3%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(4月の回顧)
4月のバーツ金利は長期金利が低下した一方で5年以下の金利はまちまちとなったが、長短金利差は縮小。米長期金利の低下およびタイ中銀の国債入替プログラムの終了等で、バーツ長期金利が低下。タイにおけるコロナ感染第3波による経済への影響が懸念され、タイ財務省が今年のタイ経済成長率を従来の2.7%から2.3%に下方修正したことも、投資家のタイ国債への需要を増加させた。一方で、5月初のタイ中銀金融政策委員会(MPC)では政策金利の維持がコンセンサスであったことから、2~3年もののタイ国債はむしろ金利上昇となった。タイ10年物国債利回りは1.82%台、同5年物利回りは1.06%台となり、それぞれ0.13%、0.02%金利低下、同2年物利回りは0.53%台となり、0.03%の金利上昇となった。

(2)(5月の展望)
長期金利を中心に、米国の景気回復とそれに伴うインフレ上昇期待を背景とした米金利動向に加え、タイ国内でのコロナ動向も注目される。コロナリスクは依然不透明であり、金融当局者のスタンスは依然景気フレンドリーで引き締めを急いでおらず、マーケット参加者のインフレ懸念との温度差があることには注意を要する。また、今月初に開催されたタイ中銀MPCでは大方の予想通り政策金利は現行維持が決定されたが、利下げの前に信用緩和等がより現状の経済には有効と強調されていた。

〈為替動向〉
(1)(4月の回顧)
4月のドルバーツ相場はいったん上昇も月末にかけて失速し、前月比では小幅下落となった。月前半はバイデン米大統領が発表したインフラ投資計画や米国でのコロナワクチン接種進展による景気回復期待に加えて良好な米経済統計から、ドルバーツも節目とされた31.5を超えて上昇。一方で、前月ドルバーツ上昇をけん引した米長期金利が伸び悩んだことが、ドルバーツの重しとなりいったん反落。ただし、タイ国内でのコロナ感染者数はソンクラン以降急速に拡大、抑制措置が導入されたことがドルバーツをサポートしたが、月前半に付けた高値には届かず。月末近くに実施された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、足元の景気認識は一段階引き上げられたものの、緩和的政策の継続が示されたことを受けてドルバーツは下落し、31.1台で越月。

(2)(5月の展望)
米国の景気回復と、それに伴うインフレ上昇期待を背景とした米金利動向をテーマとした展開が継続されるが、マーケットの期待と米金融当局者のスタンスには隔たりがある。引続き、経済データおよび金融当局者の発言のほか、コロナ動向が注目される。


5.政治動向、その他
(1)4月24日、インドネシアの首都ジャカルタで東南アジア諸国連合(ASEAN)臨時首脳会議が開催され、2月のクーデター以降、国際的に注目を集めるミャンマー問題について協議が行われた。ミャンマーから軍政トップのミン・アウン・フライン国軍司令官、タイからはドン副首相兼外務相が出席した。会議後、1)暴力の即時停止、2)平和的解決に向けた建設的対話の開始、3)ASEAN特使による対話仲介、4)ASEANによる人道支援の提供、5)ASEAN特使のミャンマー訪問、からなる「5項目合意」が発表された。
(2)タイ政府は4月29日、非常事態令第9条に基づく決定事項(第22号)を発令し、バンコク都を含む6都県を「最高度厳格管理地域」に決定した。5月1日以降、同地域において20名以上の活動は原則禁止となっており、飲食店での店内飲食も認められない。翌30日にはタイへの入国者に対する防疫措置および隔離に関する方針が変更され、一部の入国者を対象に7~10日間以上に短縮されていた隔離期間が14日間以上に戻った。この方針は5月1日から別途変更の指令があるまで適用される。



(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。


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新型コロナウイルスに関するお知らせ(バンコク都告示(第25号)の発表)

・ 4月25日、バンコク都は、4月26日から5月9日までの措置として、バンコク都内における施設の一時的閉鎖に関する「バンコク都告示第25号」を発出しました。
・バンコク都は同日、外出時の常時マスク着用を義務付けるバンコク都告示を別途発出しています。本告示には罰則規定も含まれ、4月26日から別途の告示があるまで適用されます。

○バンコク都告示第25号
1.以下の施設を閉鎖せしめる。
・学校、補習校および全ての種類の教育機関の建物及び場所について、授業、試験、研修、諸活動を実施するための使用を禁ずる。(ただし、感染症法によって認められた活動、遠隔式の授業及び試験のため、支援、援助、養護のため、当局による公共の活動のための使用については、これを認める。)
・娯楽施設、パブ、バー、カラオケ及び類似施設
・個室付浴場
・入浴施設、サウナ施設
・闘鶏場、闘牛場、闘魚場等
・映画館、劇場
・ウォーターパーク、遊園地、動物園
・子どもの遊戯場、子ども用遊具
・スケート・ローラーブレード場及び類似施設
・スヌーカー場、ビリヤード場
・ボーリング場、ボードゲーム場
・ゲーム店、インターネット店
・公共プール及び類似施設
・フィットネス場
・展示場、会議場
・博物館、美術館、各種学習センター・文化センター、史跡関連施設、及び類似施設
・公共図書館、民間図書館
・託児所、就学前児童施設(ただし病院内託児所及び通常宿泊を伴う施設は除く)
・介護施設(ただし通常宿泊を伴う施設は営業可能)
・ムエタイ場、ムエタイジムを含む格闘技ジム
・刺青店、ネイル店
・ダンス場、ダンス教室
・体重管理・美容増進施設、美容医療クリニック
・健康増進施設(スパ、マッサージ店、美容マッサージ店)
・各種競技場
・演劇場、遊技場
・貸会議室・宴会場、及び類似施設
・美容室・理髪店は洗髪・カット・セットのみ可能で、店内で待機客を待たせてはならない。
・公園、植物園
・屋内・屋外のスポーツ施設、ゴルフ場、ゴルフ練習場、ウォータースポーツ・レジャー施設(ただし、感染症法によって認められた活動、遠隔式の授業及び試験のため、支援、援助、養護のため、当局による公共の活動のための使用については、これを認める。)

2.施設の管理に関する措置
・飲食店、コンビニエンスストア、屋台、フードコート、学食等は、(第2項(3)に該当する施設(注:コンビニエンスストア、スーパーマーケット、市場等)を除き、)午後9時まで店内飲食が可能とし、午後11時まで持ち帰り形態での飲食物の販売を可能とする。酒類の店内消費を禁ずる。
・百貨店、ショッピングセンター等は、午後9時までの営業を認める。ただし、ゲームコーナーや遊具は閉鎖する。
・コンビニエンスストア、スーパーマーケット、市場等は、午後10時まで営業を認める。ただし、従来24時間営業を行っている施設については、営業開始時間を午前5時とする。
・集会、セミナー、宴会、食料配布といった感染拡大の恐れがある活動は、20名未満であれば実施を認める。20名以上1,000名未満の活動については、活動計画を提出の上で事前に現地保健当局の許可を得るものとする。1,000名を超える活動については、活動計画を提出の上で事前にバンコク都の許可を得るものとする。

3.施設の閉鎖に関する規制に関し、例外的に営業が認められている施設では、関係者に別表が定める防疫措置を遵守せしめる。また、一時的閉鎖の対象となっていない施設や活動においても、体温測定、マスク着用、最低1メートルのソーシャルディスタンスの確保、石鹸による手洗い・アルコール消毒、清掃、個別の配膳、施設利用者の登録といった各種防疫措置を厳格に行わなければならない。

4.本件に違反する者に対しては、感染症法に基づき、1年以下の禁錮ないし10万バーツ以下の罰金、もしくはその何れについても科される場合があり、また非常事態令に基づき、2年以下の禁錮ないし4万バーツ以下の罰金、もしくはその何れについても科される場合がある。

5.以上の措置は、4月26日から5月9日まで適用される。

(タイ語原文)
http://www.prbangkok.com/th/post/view/MDY1cDBzNnM0NHIyb3Ezc3E2NnEyNDk0cDRyOTQzcjQzMTQzMg==

○外出時の常時マスク着用に関するバンコク都告示
1. バンコク都内においては、外出する際は毎回、衛生マスクまたは布マスクを正しい方法で着用せしめる。

2. 本件に違反する者は、感染症法に基づき、2万バーツ以下の罰金が科される。

3. 以上の措置は、4月26日から、別途の告示があるまで適用される。

(タイ語原文)
http://www.prbangkok.com/th/post/view/MDY1cDBzNnM0NHIyb3Ezc3E2NnEyNDk0cDRyOTQzcjQyMTQzMg==


(問い合わせ先)
○在タイ日本国大使館領事部
電話:(66-2)207-8500、696-3000
FAX:(66-2)207-8511
所在地: 177 Witthayu Road, Lumphini, Pathum Wan, Bangkok 10330
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タイ国経済概況(2021年4月)

1.景気動向
(1)世界銀行は3月26日に発表した東アジア太平洋地域経済見通し報告の最新版にて、タイの2021年の経済成長率を3.4%、2022年と2023年の経済成長率をそれぞれ4.7%、3.9%と予測した。タイ経済は徐々に回復基調にあるが、タイ政府が厳重なロックダウンを実施した場合、経済の回復は停滞するとしている。また、ASEAN8ヵ国(シンガポール、ブルネイを除く)の2021年の経済成長率予測は、ベトナムが6.6%で首位、マレーシア(6.0%)、フィリピン(5.5%)、インドネシア(4.4%)と続く。同報告のASEAN9ヵ国(ブルネイを除く)のワクチン接種状況では、もっとも接種が進んでいるシンガポールが接種率13.54%。次いでインドネシア(2.41%)、マレーシア(1.13%)、カンボジア(1.02%)となった。タイの接種率は0.08%であり、最下位のベトナム(0.02%)に次いで低い数値となっている。国際通貨基金(IMF)も4月6日に、最新の世界経済見通しを発表。タイの2021年と2022年の経済成長率をそれぞれ2.6%、5.6%と予測した。

(2)タイ工業連盟(FTI)が3月18日に発表した2月の自動車生産台数は、前年同月比+3.1%の15.5万台だった。2ヵ月ぶりに前年同月比プラスを記録した。内訳は国内向けが同▲0.5%の6.7万台、輸出向けが同+5.9%の8.8万台で、国内向けは2ヵ月連続のマイナス。1~2月の累計生産台数は、前年同期比▲1.2%の30.3万台となった。また、2月の国内新車販売台数は前年同月比▲10.9%の5.9万台、輸出台数は同▲16.5%の7.9万台。1~2月の累計国内販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲16.3%の11.4万台、同▲4.3%の15.4万台だった。国内新車販売台数は、昨年12月に新型コロナウイルス感染の第2波が発生した影響で新車需要が落ち、国内向け生産同様2ヵ月連続のマイナスとなった。1月にアジア向けを大きく伸ばしたことで1年7ヵ月ぶりのプラスを記録した輸出台数も、中東向けが前年同月比▲45.8%、欧州向けが同▲58.1%と大きく落ち込み、2月は再びマイナスとなった。

(3)FTIが3月18日に発表した2月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+1.3%の21.9万台となり、2ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同+4.0%の16.8万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲6.8%の5.0万台。また、2月の国内販売台数は前年同月比▲6.4%の13.0万台、輸出台数は同▲1.8%の8.8万台だった。


2.投資動向
日本貿易振興機構(JETRO)バンコク事務所は3月29日、「タイ日系企業進出動向調査2020年」を発表。同調査はタイに進出する日系企業の進出状況を調査するもので、2020年10月5日から2021年3月12日の間に、7,318社を対象に行われた。これによれば、個別のヒアリング等により実際の活動が確認された日系企業は5,856社あり、前回(2017年)の調査から412社増加。業種別では製造業(2,344社)が最多で、卸売業・小売業(1,486社)、サービス業(1,017社)がこれに続いた。サービス業は前回の896社から121社増加し、調査開始以来初めて1,000社を超えた。また、前回に引続き、中小企業および個人が出資する企業数の割合が、大企業が出資する企業数を上回る結果であった。なお、本調査における「日系企業」とは、日本法人もしくは日本人が10%以上出資している企業を指す。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2021年の2月末時点で金融機関預金残高は22兆5,658億バーツ(前年同月比+9.7%)、貸金残高は26兆3,042億バーツ(同+4.9%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(3月の回顧)
3月のバーツ金利は5年を起点に長期金利が上昇となった一方で短中期金利は低下。コロナワクチン接種進展や追加経済対策等で米景気回復が期待される中、インフレ懸念から米長期金利が上昇した一方で、タイ中銀が4月に実施の債券入替プログラムが意識されバーツ長期金利は上昇。債券入替プログラムで既存短期国債が長期国債に置き換えられることによる、長期国債の需給悪化が懸念された。短中期金利も月央までは長期金利と同様に上昇を続けたが、一部投資家による保有債券の年限短期化等から低下に転じた。16~17日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2023年末時点での利上げを示唆したメンバーは前回から1名増加したものの依然コンセンサスは据え置きであったことから米中期金利が低下したが、米長期金利は依然上昇継続となった。これを受けてバーツ中期金利も低下。その後、タイ中銀金融政策委員会(MPC)が意識され、コロナ感染第2波の影響で経済見通しが下方修正されるとの見方や、米国が2023年まで政策金利据え置きとなる見込みの中でタイ中銀が先んじて利上げをする可能性は極めて低いこともバーツ短中期金利の押し下げ要因となった。24日に開催されたタイ中銀MPCでは大方の予想通り政策金利は現行の0.50%に据え置かれ、経済見通しも下方修正された。タイ10年物国債利回りは1.95%台、同5年物利回りは1.08%台とそれぞれ0.18%、0.01%金利上昇、同2年物利回りは0.50%台と0.14%金利低下となった。

(2)(4月の展望)
長期金利を中心に米国の景気回復と、それに伴うインフレ期待を背景とした米金利動向に振らされる展開継続。コロナリスクは依然不透明であり金融当局者のスタンスは依然景気フレンドリーで引き締めを急いでおらず、マーケット参加者のインフレ懸念との温度差があることには注意を要する。

〈為替動向〉
(1)(3月の回顧)
3月のドルバーツ相場は上昇。昨年11月以来となる31台を回復。コロナワクチン接種進展や追加経済対策等で米景気が回復していく中でのインフレ高進が懸念され、米長期金利が上昇したことが主な背景。市場参加者がインフレを懸念する一方で、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとする金融当局者は現状の金融政策は適切であり、長期金利上昇に対するけん制発言は出てこずであった。上旬に発表されたタイ2月消費者物価指数(CPI)が政府による電気・水道料金引き下げ等から前年比落ち込み幅を拡大させたことや、米3月雇用統計が予想対比堅調で米長期金利が上昇したこと等を手掛かりにドルバーツ上昇。16~17日に開催された米FOMCでは全会一致で政策金利は据え置かれ、経済および物価見通しは上方修正された一方で、政策金利見通しを示すドットチャートでは2023年までの政策金利据え置きとのコンセンサスが維持された。24日のタイ中銀MPCでも全会一致で政策金利は現行の0.50%維持が決定された。声明文では、経済見通しがコロナ感染第2波の影響が勘案され、2021年は従来の前年比3.2%増から3.0%増に、2022年は同4.8%増から4.7%増に下方修正された。タイ経済は貿易相手国の経済回復に即した物品回復や景気刺激策に支えられる見込みであるとしたが、回復はセクターごとにばらつきがあるとした。また、タイ中銀MPCと同日に発表されたタイ2月貿易統計において、原油高を主要因として輸入が急増し貿易黒字額が減少したこともドルバーツ上昇を加速させた。月末にかけてもワクチン接種進展や米インフラ投資計画への期待からドルバーツは上昇継続し、31.0台を回復してクローズ。

(2)(4月の展望)
米国の景気回復とそれに伴うインフレ期待を背景とした米金利動向をテーマとした展開が継続されるが、マーケットの期待と米金融当局者のスタンスとには隔たりがある。引続き、経済データおよび金融当局者の発言に注目。


5.政治動向、その他
(1)タイ政府は3月31日、タイへの入国者に対する防疫措置および隔離に関する基本方針の変更を発表。4月1日からの適用で、搭乗可能健康証明書(Fit to Fly Health Certification)の提示が不要となったほか、日本を含む、アフリカ11ヵ国以外からの入国者は隔離期間が14日間以上から10日間以上に短縮された。また、渡航14日前までにワクチン接種を終えた入国者については、隔離期間が7日間以上となった。

(2)タイ政府は3月30日付で、タイ全土を対象とした非常事態宣言の適用を2021年5月31日まで延長する旨を官報に掲載。非常事態宣言の延長は11度目となる。



(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。


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タイ国経済概況(2021年3月)

1.景気動向
(1)国家経済社会開発委員会(NESDC)が2月15日に発表した速報値によれば、2020年第4四半期の経済成長率は前年同期比▲4.2%で、第3四半期の同▲6.4%からマイナス幅が縮小。2020年通年は前年比▲6.1%であった。2021年については、世界経済・貿易量・内需の回復、政府刺激策等により前年からの反動でプラス転換し、前年比+2.5~+3.5%と予測している。ただし、新型コロナウイルスの感染状況の改善、政治情勢の安定、観光やサービス産業の回復に加え、輸出や民間投資の促進等が前提条件となる。また、2020年通年のインフレ率は前年比▲0.8%だった。2021年は同+1.0~+2.0%が予測されている。

(2)盤谷日本人商工会議所(JCC)は2月17日、新年景気討論会をオンラインにて開催した。金融保険部会からは、タイとASEANの景気動向、タイの家計債務、為替・金利動向等を説明。2021年以降のASEAN各国の経済は、アジア通貨危機やリーマンショックの時のようなV字回復ではなく、緩やかな復調が続くとみられ、企業はこのような状況に腰を据えて付き合っていく必要があるとした。

(3)タイ工業連盟(FTI)が2月18日に発表した1月の自動車生産台数は、前年同月比▲5.2%の14.8万台だった。前年同月比マイナスは昨年10月以来、3ヵ月ぶり。内訳は国内向けが同▲12.4%の6.2万台、輸出向けが同+0.8%の8.6万台で、国内向けは5ヵ月ぶりにマイナスに転じた。また、1月の国内新車販売台数は前年同月比▲21.3%の5.5万台、輸出台数は同+13.5%の7.4万台。国内新車販売台数は昨年12月に新型コロナウイルス感染の第2波が発生した影響で新車需要が落ち、3ヵ月ぶりにマイナスとなった。一方で輸出台数は、主要仕向け地のひとつであるアジア向けが同+39.4%と大きく伸び、1年7ヵ月ぶりにプラスを記録した。

(4)FTIが2月18日に発表した1月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+4.9%の22.0万台だった。前年同月比プラスは2019年12月以来、13ヵ月ぶり。内訳は完成車(CBU)が同+1.7%の16.6万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+16.5%の5.4万台。また、1月の国内販売台数は前年同月比▲6.6%の13.6万台、輸出台数は同+2.3%の8.0万台だった。


2.投資動向
タイ投資委員会(BOI)のドゥアンジャイ長官は2月10日、2020年の投資申請統計を発表した。新規申請額は4,812億バーツで、前年比30%減少となった。申請件数は同13%増の1,717件だった。産業別では電気・電子が最も多く503億バーツ、農産品・食品加工が411億バーツ、自動車・自動車部品が378億バーツと続いた。また新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要の増加を受け、BOIが昨年4月に医療機器等の生産投資を促進する奨励策を打ち出したことで、医療産業への申請額が同2.6倍の223億バーツに拡大した。国・地域別の海外直接投資額では、日本が759億バーツ、211件で、2017年以来首位に立った。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2021年の1月末時点で金融機関預金残高は22兆4,884億バーツ(前年同月比+9.7%)、貸金残高は26兆1,950億バーツ(同+4.7%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(2月の回顧)
2月のバーツ金利はすべての年限で大幅上昇。昨年後半に一部で強まったタイ中銀の利下げ期待が後退したことに加えて、ワクチン接種進展への期待、米国の1.9兆ドル規模の追加経済対策法案も3月中旬に成立見通しとなっていることから米国景気に対しても楽観的な見方となり、インフレ期待が高まって米金利上昇。バーツ金利も米金利上昇につれて上昇した。昨年末にタイでも新型コロナウイルス感染第2波が確認されロックダウン措置が導入されたが、緩やかかつ短期間となったことから、経済への影響は前回対比限定的とみられていることもバーツ金利上昇要因となった。なお、3日に開催されたタイ中銀金融政策委員会(MPC)では、大方の予想通り全会一致で政策金利は現行の0.50%維持が決定された。タイ中銀MPCでは緩和的な金融政策が引き続き必要であり、必要に応じて適切な追加政策を実施する準備はあるが、限られた政策余地を最大限に適切かつ有効に使えるよう温存するため、現状維持を決定したとのこと。タイ経済の先行きは不透明でリスクは下方にあるとしながらも、政府の景気刺激策と輸出の回復のおかげで順調に回復途上にあるとの認識を示した。一方で、今年のタイ経済成長率見通しを引き下げる可能性が指摘された。タイ10年物国債利回りは1.77%台、同5年物利回りは1.07%台、同2年物利回りは0.64%台とそれぞれ0.47%、0.36%、0.20%の金利上昇となった。

(2)(3月の展望)
米国の景気回復とそれに伴うインフレ上昇期待を背景とした米金利動向をテーマとした展開が継続。今月発表された米2月雇用統計が事前予想以上に良好な結果であったことや、米金融当局者が金利上昇に対して牽制しなかったこと等から、米金利は一段と上昇している。今後発表される米経済指標のほか、16~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)も注目される。なお、24日にタイ中銀MPCも開催が予定されているが、政策金利は据え置かれるとの見方が現状のコンセンサス。

〈為替動向〉
(1)(2月の回顧)
2月のドルバーツ相場は、一段と膠着し30を巡っての攻防が継続したが30を超えて越月となった。3日に開催されたタイ中銀MPCでは、大方の予想通り全会一致で政策金利は現行の0.50%維持が決定された。依然不確実性が高くリスクは下方にあるが、政府の経済刺激策や輸出の回復により景気回復は継続との見方が示された一方で、今年の経済成長率はこれまでの見通しを下回る可能性が指摘された。為替相場に関しては前月も大きな方向感なく揉み合っていたこともあり、必要に応じて対策は打つとしながらもあまり懸念は示されなかった。また、コロナ感染第2波の発生で抑制措置が部分的であり昨年の抑制措置導入時に比べて緩やかなものであったことや、人民元高等を手掛かりとしてバーツが買い進まれる局面もあったが、タイGDPの1割以上を占めていた国際観光収入がすぐに回復する道筋は依然遠いことや、年初来サポートラインとなっていた29.8台で跳ね返さるといったテクニカルな要因等もあり、下値も攻めきれず30を中心とした狭いレンジ内での推移が継続。月末にかけては、米景気回復によるインフレ高進への期待から米金利が上昇したことや、タイ経常収支が3ヵ月連続で赤字となったことからドルバーツは30.1台まで上昇してクローズ。

(2)(3月の展望)
米国の景気回復とそれに伴うインフレ上昇期待を背景とした米金利動向をテーマとした展開が継続されるものと思われる。今月発表された米2月雇用統計が事前予想以上に良好な結果であったことや、米金融当局者が金利上昇に対して牽制しなかったこと等から米金利は一段と上昇している。今後発表される米経済指標のほか、16~17日の米FOMCも注目される。なお、24日にタイ中銀MPCも開催が予定されているが、政策金利は据え置かれるとの見方が現状のコンセンサス。


5.政治動向、その他
(1)タイ政府は、核兵器の開発、保有、使用を全面禁止する初の国際法規である核兵器禁止条約に関する国連事務総長宛ての通知書を閣議承認した。同条約は2020年10月に発効に必要な50ヵ国・地域(タイを含む)が批准したことを受け、1月22日に発効。条約参加国は発効から30日以内に国連に通知書を提出することになっている。なお、日本は同条約には参加していない。

(2)タイ政府は2月25日付で、タイ全土を対象とした非常事態宣言の適用を2021年3月31日まで延長する旨を官報に掲載。非常事態宣言の延長は10度目で、昨年3月26日に発令されてから1年以上の延長が確定した。



(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
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タイ国経済概況(2021年2月)

1.景気動向
(1)タイ商務省は1月22日、12月の輸出額が前年同月比+4.7%の200.8億米ドルで、8ヵ月ぶりにプラス成長となったと発表。農産品・加工品(同+2.1%)および主要工業製品(同+6.7%)ともに増加、中でも電子製品・部品(同+15.9%)および電気製品・部品(同+13.2%)が輸出額の押し上げに貢献した。2020年通年では、輸出額は前年比▲6.0%の2,314.7億米ドル、輸入額は同▲12.4%の2,069.9億米ドルとなり、貿易黒字額は前年比拡大となった。同省は2021年の輸出額を前年比+4%と予想。国際貿易の回復、各国の景気刺激策、2021年中の発効が見込まれるRCEP(地域的な包括的経済連携)および米国の保護主義的な政策転換が追い風となるとした。

(2)タイ工業連盟(FTI)が1月20日に発表した2020年の自動車生産台数は、前年比▲29.1%の142.7万台だった。内訳は国内向けが同▲26.0%の72.2万台、輸出向けが同▲32.1%の70.5万台。2020年12月単月の生産台数は前年同月比+6.5%の14.3万台で、内訳は国内向けが同+30.5%の8.8万台、輸出向けが同▲17.8%の5.5万台と、前月に引続き国内向けが好調だった。また、2020年の国内販売台数は前年比▲21.4%の79.2万台、輸出台数は同▲30.2%の73.6万台。12月単月の国内販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同月比+11.3%の10.4万台、同▲5.2%の6.8万台だった。FTIは2021年通年の生産台数について、150万台(2020年実績比+5.1%)との見通しを発表。内訳は国内向け、輸出向けがそれぞれ75万台とした。

(3)FTIが1月20日に発表した2020年の自動二輪車生産台数は、前年比▲20.1%の202.3万台だった。内訳は完成車(CBU)が同▲17.1%の161.5万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲30.2%の40.8万台。2020年12月単月の生産台数は、前年同月比▲6.5%の20.4万台で、内訳はCBUが同+0.2%の15.9万台、CKDが同▲24.2%の4.5万台だった。また、2020年の国内販売台数は前年比▲11.8%の151.6万台、輸出台数は同▲23.4%の72.7万台。12月単月の国内販売台数と輸出台数は、それぞれ前年同月比+9.0%の12.4万台、同▲19.3%の7.8万台だった。FTIは2021年通年の生産台数について、CBUが186万台(2020年実績比+15.1%)になるとの見通しを発表した。


2.投資動向
(1)国際協力銀行(JBIC)は、第32回目となる「2020年度わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」を1月15日に発表した。本調査は2020年8月から11月にかけて行われ、530社から回答を得た。中期的な有望事業展開先国・地域(今後3年程度)では、タイは中国、インド、ベトナムに続いて昨年と同順位の4位だった。当調査において、「タイは技術系人材の確保が課題として挙げられている点が、この国の産業基盤に対する期待値の高さをうかがわせる」と評されている。またベトナムとタイを対比し、ベトナムでは安価な労働力に期待が集まる一方、タイは産業集積が評価された。

(2)JCC(盤谷日本人商工会議所)は1月26日、2020年下期日系企業景気動向調査の結果を発表。2020年11月16日から12月18日にかけて会員企業1,702社を対象に調査を行い、607社(回答率35.7%)から回答を得た。当調査によれば、2020年下期の業況感(DI値:業況が「上向いた」と回答した数から「悪化した」と回答した数を差し引いた値)見通しは、同年上半期対比で大幅に改善(▲64→6)となった。さらに2021年上半期にかけても業況感は改善(6→14)する見通し。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2020年の12月末時点で金融機関預金残高は22兆4,920億バーツ(前年同月比+10.0%)、貸金残高は26兆1,789億バーツ(同+4.8%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(1月の回顧)
1月のバーツ金利は短中期金利を中心に上昇。一部にあった利下げ期待が後退してきたことが主な背景。前月後半にタイでも新型コロナウイルス感染第2波が発生し、部分的ながらロックダウン措置が再び導入されたが、コロナ感染第1波の時と比べて緩やかな措置であることから経済への影響も限定的との見方となっている。米上院のジョージア州での決選投票が行われ、事前予想に反して2議席とも民主党候補が勝利したことで、いわゆる「ブルーウェーブ」が実現し、大型財政出動への期待が強まり米長期金利が上昇。20日にはバイデン氏が第46代米大統領に就任。バイデン氏の大統領就任に先立って行われたイエレン次期米財務長官の指名承認公聴会では、追加景気対策に関して債務拡大につながっても恩恵は代償を上回るとの考えが示された。また月末付近に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、現行の金融政策の維持が決定された。その後の会見でパウエル議長は経済活動の再開に伴ってインフレが上昇してもすぐの利上げはないこと、および資産買い入れ縮小の議論は時期尚早と緩和的なスタンスが示された。タイ10年物国債利回りは1.29%台、同5年物利回りは0.70%台、同2年物利回りは0.44%台とそれぞれ0.01%、0.10%、0.05%の金利上昇となった。

(2)(2月の展望)
今月は3日に行われたタイ中銀金融政策委員会(MPC)で、政策金利を現行の0.50%で維持することが決定された。声明文では、今回のコロナ抑制措置による経済への影響は前回対比それほど深刻ではないとの見方が示された一方で、今年の経済成長率に関してはこれまでの見通しを下回る可能性が指摘された。今後のタイ経済およびグローバル経済はコロナ動向に強く依存していることから不透明ではあるが、当面政策金利は現状維持されると考える。

〈為替動向〉
(1)(1月の回顧)
1月のドルバーツ相場は狭いレンジ内での推移となり、月を通して30を巡っての攻防が続いた。前月後半にタイでもコロナ感染第2波が発生、部分的ながらロックダウン措置が再び導入された。しかし、経済への影響は前回のロックダウン導入時よりも限定的とみられている。また、米上院議員選挙のジョージア州における決選投票では予想に反して2議席とも民主党候補が勝利したことで、いわゆる「ブルーウェーブ」が実現し、バイデン氏が第46代米大統領に就任。バイデン氏の大統領就任式に先立って行われたイエレン次期米財務長官の指名承認公聴会では、為替政策について市場主義であることが示された。また月末付近に開催された米FOMCでは、現行の金融政策の維持が決定された。その後の会見でパウエル議長は、経済活動の再開に伴ってインフレが上昇してもすぐの利上げはないこと、および資産買い入れ縮小の議論は時期尚早と緩和的なスタンスを示した。月初、ドルバーツは昨年末の水準をさらに下回る29.8台まで下落。前月にタイでもコロナ感染第2波が発生し、正月休暇中に部分的ロックダウン措置の導入が発表されたことで警戒感はあったものの、その後発表されたバンコク都の追加ロックダウン措置も比較的緩やかなものに留まり安心感が広がったこと等が背景。しかし、初旬にタイ商工会議所大学(UTCC)が発表したタイ12月消費者信頼感指数がコロナ感染第2波の影響で5ヵ月ぶりに悪化を示したことや、UTCC以外の民間団体等も今年のタイ経済成長率見通しを下方修正したことから、ドルバーツは再び30台を回復。また米国で「ブルーウェーブ」が実現したことで大型財政出動への期待が高まったと同時に、米長期金利も上昇。ドルバーツはこれを手掛かりとして一段と上昇したが30.2台定着はできず、米長期金利の上昇一服とともに反落。その後は一貫して30を挟んでの膠着相場となり、29.9台でクローズ。

(2)(2月の展望)
今月3日に開催されたタイ中銀MPCでは、政策金利は現行の0.50%で据え置かれた。声明文では、今回のコロナ抑制措置による経済への影響は前回対比それほど深刻ではないとの見方が示されたが、一方で今年の経済成長率に関してはこれまでの見通しを下回る可能性が指摘された。コロナワクチン接種の進展、米追加経済対策、主要国景気動向等が注目される。


5.政治動向、その他
(1)タイ観光・スポーツ省の発表(速報値)によれば、2020年の訪タイ外国人旅行者数は前年比▲83.2%の670.2万人であり、観光収入は同▲86.6%の3,320億バーツだった。新型コロナウイルス感染対策のための入国規制の影響を受け、4月から9月の間は旅行者数がゼロに落ち込み、大幅な減少となった。国別の旅行者数では中国が125.0万人と最多で、全体の19%を占めた。なお、日本からの旅行客数は32.0万人。

(2)2022年に開催予定のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議において議長国を務めるにあたり、タイ政府は1月18日にビデオ会議を実施した。協議の上、首脳会議においてタイは「自由で開かれた貿易および投資の促進」、「デジタル社会」、「健康と幸福」、「食料安全保障」、「包括的かつ持続的成長」について提言する予定。タイがAPEC首脳会議の議長国を務めるのは2003年以来19年ぶり。



(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。

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タイ国経済概況(2021年1月)

1.景気動向
(1)タイ中央銀行(BOT)は2020年12月30日に11月の経済報告書を発表。タイ経済は民間消費・投資等の指数が上向く等、回復が続いているものの、観光業といった依然低調なセクターもあり回復の足並みは揃っていないとした。11月の輸出額は前年同月比▲3.1%の189億米ドルで、依然としてマイナスではあるが徐々に復調しつつある。要因としては貿易相手国の需要が徐々に回復していることが挙げられ、特に自動車・自動車部品、農業製品、石油関連製品の輸出が上向いている。また、11月輸入額は同▲3.3%の170億米ドルで、10月の▲13.9%から大幅に改善。ほぼすべての品目分類でマイナス幅は縮小した。

(2)タイ工業連盟(FTI)が12月17日に発表した11月の自動車生産台数は、前年同月比+11.9%の17.2万台だった。前年同月比プラスは2019年4月以来で、19ヵ月ぶりとなる。内訳は、国内向けが同+18.6%の9.7万台、輸出向けが同+4.2%の7.5万台。1~11月の累計生産台数は、前年同期比▲31.7%の128.4万台となった。また、11月の国内販売台数は前年同月比+2.7%の7.9万台、輸出台数は同▲0.9%の7.5万台。1~11月の累計国内販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲24.7%の68.8万台、同▲32.0%の66.7万台だった。国内販売は18ヵ月ぶりに前年同月比プラスを記録。輸出も主要仕向け先であるアジアとオセアニアがプラスとなり、前年並みにまで回復した。

(3)FTIが12月17日に発表した11月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲8.8%の21.4万台だった。20万台超えは3ヵ月連続。内訳は完成車(CBU)が同+2.2%の17.6万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲38.9%の3.8万台。1~11月の累計生産台数は、前年同期比▲21.4%の181.9万台となった。また、11月の国内販売台数は前年同月比▲11.4%の12.0万台、輸出台数は同▲28.6%の6.7万台。1~11月の累計国内販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲13.3%の139.2万台、同▲23.8%の64.9万台となっている。


2.投資動向
(1)タイ投資委員会(BOI)は、プラユット首相が委員長を務めた12月21日の本委員会において、政府が誘致しているターゲット産業への投資やデジタル技術の導入を促進する奨励策を承認した。ドゥアンジャイBOI長官によれば、投資金額が10億バーツ以上、かつ奨励証書の発行から12ヵ月以内に事業を開始したターゲット産業の大型投資案件には、5~8年間の法人税免税恩典に加え、追加恩典として5年間の法人税50%減免が付与される。またAIやビッグデータ分析といったデジタル技術を導入した既存事業には、3年間の法人税50%減免恩典が付与される。前者は2021年末まで、後者は2022年末までに申請を行う必要等がある。

(2)タイ国鉄(SRT)は、2021年6月にバンコクのバンスー新中央駅周辺開発事業(ゾーンA)の再入札実施を予定している。バンスー新中央駅は2021年中に開業する見込みで、周辺エリアにおいてオフィス、商業施設、住宅、ホテルのほかイベント関連施設の開発が計画されている。ゾーンA開発は2019年7月に入札を行ったものの応札者がなく、入札条件の再検討が行われていた。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2020年11月末の金融機関預金残高は22兆3,314億バーツ(前年同月比+9.7%)、貸金残高は25兆7,835億バーツ(同+4.0%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(12月の回顧)
12月のバーツ金利は低下。英国でファイザー社とビオンテック社が共同開発したコロナワクチンの使用認可が下りたことを皮切りに、コロナワクチン普及への期待が高まったほか、年末近くにトランプ米大統領が追加経済対策法案および21年度歳出法案に署名、英国と欧州連合(EU)が通商合意に至ったことでノーディールブレグジット回避と好材料はあったものの、足元のコロナ感染拡大に伴う経済への懸念が勝った。コロナ禍が一段と厳しくなっていった中、米連邦公開市場委員会(FOMC)に対して、米追加経済対策案がなかなか妥結しないこともあり一段の緩和の可能性が期待され、一部では資産購入ペースや平均期間の変更等が行われるのではとの観測が台頭。実際には、量的緩和政策の長期化を示唆する方向にフォワードガイダンスを強化したが、依然緩和的なスタンスを維持。23日に開催されたタイ中銀金融政策委員会(MPC)では大方の予想通り、政策金利は現行の0.50%に据え置かれた。一方で、タイ国内でも市中感染拡大およびそれによる景気への懸念から21年前半にも利下げを実施する可能性への警戒は継続。タイ10年物国債利回りは1.28%台、同5年物利回りは0.60%台、同2年物利回りは0.38%台と、それぞれ0.13%、0.23%、0.17%と金利低下となった。

(2)(1月の展望)
今月は5日に行われた米ジョージア州での上院議員選の決選投票で民主党候補が勝利し、上院も民主党が過半数を維持、いわゆるブルーウェーブが実現した。バイデン氏はすでに経済閣僚の中核となる財務長官にイエレン前連邦準備制度理事会(FRB)議長を指名していることもあり、大型財政出動が期待されている。大型財政出動による国債増発懸念で米金利は上昇となっていることから、バーツ金利も長期を中心に連れて上昇となりやすいが、一方で足元の新型コロナの感染状況から金融緩和への期待も根強く短期金利は低位で推移となるものと予想される。なお、今月26~27日には米FOMC開催が予定されている。

〈為替動向〉
(1)(12月の回顧)
12月のドルバーツ相場は続落。コロナワクチン普及への期待や米財務省がタイを為替操作監視対象国に指定したこと等がドルバーツの重しとなった一方、タイでもミャンマー人労働者の集団感染を皮切りに市中感染が急拡大となり今後の経済への影響が懸念されたが、結果的には昨年に続いてドルバーツは30割れで越年となった。月初、タイ中銀は9日にバーツ高に対する追加抑制策を検討する旨を発表。前月にタイ中銀が発表したバーツ高抑制策に新味なく大きな効果が見られなかったことが背景。一方で、英国でコロナワクチンが認可となったことでワクチン普及への期待が大きく高まり、リスク選好度が高まったことに加えて、15~16日開催の米FOMCで一段と緩和的スタンスを示すのではとの期待から、ドルバーツも圧迫され下値を切り下げる展開となった。さらに8日には、タイ中銀が追加バーツ高抑制策検討の会議の中止を発表したことでドルバーツは一段と下落し、一時30割れに。また、16日には米財務省がタイを為替操作監視対象国に指定したことで、ドルバーツは再び下落。一時29.7台と昨年の最安値に迫る水準まで下落した。その後、ミャンマーから不正入国したタイ人の新型コロナ感染、ミャンマー人労働者の集団感染が立て続けに発覚。さらにこれまで抑制に成功してきた市中感染も急増したことで、ドルバーツは押し上げられ30.2台まで回復。月末にかけては、英国と欧州連合(EU)が通商合意に達しノーディールブレグジットを回避できたことや、トランプ米大統領が米追加経済対策法案および21年度歳出法案に署名したことでリスク回避が弱まったこと、またタイでのロックダウン措置が一部に留まったほか、タイ政府がアストラゼネカ社のコロナワクチンの東南アジアでの製造と供給に関する提携協定に署名したことを受けてドルバーツは弱含み、29.9台で越年となった。なお、23日に開催されたタイ中銀MPCでは大方の予想通り政策金利は0.50%に据え置かれた。

(2)(1月の展望)
新型コロナに関してはワクチン実用化への期待の一方で、欧米を中心に国・地域によっては第3波による厳格なロックダウン措置が取られているほか、タイでも市中感染の拡大で経済への影響が懸念される。また米ジョージア州での上院議員選の決選投票で民主党が2議席とも確保して、ブルーウェーブが実現することとなった。米金融緩和の長期化に加えて米財政出動への期待などからドル安の継続が見込まれる。


5.政治動向、その他
(1)タイ政府が2021年の祝日追加を決定したことを受け、タイ中央銀行(BOT)は2月12日と9月24日を金融機関の祝日として追加した。元々祝日として予定されていた10月25日は平日となり、代わって22日が祝日となる。政府は4月12日と7月27日も祝日にすることを決定したが、金融機関は営業日となる。

(2)タイ政府は1月5日、タイ全土を対象とした非常事態宣言の適用を2021年2月28日まで延長することを閣議で決定した。非常事態宣言の延長は9度目となる。



(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
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タイ国経済概況(2020年12月)

1.景気動向
(1)タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は11月16日、第3四半期および2020~2021年の経済見通しに関するレポートを発表。第3四半期(7~9月)の経済成長率は前年同期比▲6.4%となり、第2四半期(同▲12.1%)から持ち直した。また、第2四半期比では、第3四半期の経済成長率は+6.5%(季節調整済)となった。通年の経済成長見通しは、2020年が▲6.0%、2021年は+3.5~4.5%とした。NESDCは2020年および2021年の重点施策として以下の項目を挙げた。(1)新型コロナウイルス感染の第二波の予防(2)中小企業や観光産業への経済支援(3)政府支出の加速(4)輸出の拡大(5)民間投資の促進(6)農作物価格の下支え、干ばつへの対応(7)政治情勢の安定(8)世界経済の変動によるタイ経済への影響の緩和。

(2)タイ工業連盟(FTI)が11月17日に発表した10月の自動車生産台数は、前年同月比▲2.2%の14.9万台だった。18ヵ月連続の前年同月比マイナスながら、減少幅は1桁台まで回復。内訳は国内向けが同+18.8%の8.2万台、輸出向けが同▲19.6%の6.7万台で、国内向けは前月に続き前年同月比プラスを記録した。1~10月の累計生産台数は、前年同期比▲35.5%の111.2万台となった。また、10月の国内販売台数は前年同月比▲1.4%の7.4万台、輸出台数は同▲16.6%の7.1万台。1~10月の累計国内販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲27.3%の60.9万台、同▲34.6%の59.3万台だった。

(3)FTIが11月17日に発表した10月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲4.2%の21.0万台で、前月に続き20万台の大台を超えた。内訳は完成車(CBU)が同+3.3%の16.7万台で、完全組み立て部品(CKD)が同▲25.0%の4.4万台。1~10月の累計生産台数は、前年同期比▲22.8%の160.5万台となった。また、10月の国内販売台数は前年同月比▲11.3%の12.6万台、輸出台数は同▲36.1%の5.4万台。1~10月の累計国内販売台数と累計輸出台数は、それぞれ前年同期比▲13.4%の127.2万台、同▲25.2%の56.6万台となっている。


2.投資動向
(1)11月12日から4日間、第37回ASEAN関連首脳会議がオンライン形式で開催された。最終日となる15日には第4回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)首脳会議が開かれ、インドを除く15ヵ国間で合意、署名に至った。ASEAN加盟国10ヵ国のうち6ヵ国以上と、残る5ヵ国(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド)のうち3ヵ国以上で批准が完了次第、発効となる予定。なお、15ヵ国は同日、インドの将来的なRCEP協定加入のための閣僚宣言も発表しており、これによりインドは加入に先行して関連会合へのオブザーバー参加等が認められる。

(2)11月20日、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議がオンライン形式で開催された。加盟国である日本、タイ、米国、中国等、21ヵ国の首脳が参加し、3年ぶりとなる首脳宣言を採択。新型コロナウイルス感染症による影響に対処するため引き続き協働していくことが確認された。また、貿易および投資環境の改善、デジタル経済やイノベーションの促進、持続可能かつ包括的な成長を柱に、2040年までに開かれたダイナミックで強靭かつ平和なアジア太平洋共同体を実現する「プトラジャヤ・ビジョン2040」も発表された。


3.金融動向
タイ中央銀行の発表によると、2020年10月末の金融機関預金残高は22兆531億バーツ(前年同月比+8.7%)、貸金残高は25兆6,333億バーツ(同+3.8%)といずれも増加。


4.金利為替動向
〈金利動向〉
(1)(11月の回顧)
11月のバーツ金利は短中期を中心に低下。米大統領・上下両院議員選挙を通過したことやワクチン実用化への期待で外国人投資家の資金がタイ株式市場だけでなく国債市場にも流入したほか、来年前半にタイ中央銀行の利下げがあるのではとの期待が一部で台頭したこと、またタイ経済の低迷によるクレジットの悪化懸念から、一部のタイ地場銀行でローンの貸し出しよりもリスクの低い国債投資を選好する動きがあったと推察されること等が背景。米大統領・上下両院議員選挙に関しては、大統領選では民主党のバイデン氏が勝利を収めるも、上院選は来年1月の決選投票待ちではあるものの、共和党が過半数を維持する見込みとなっており、下院は民主党が議席数を減らしたとはいえ過半数を維持。結果、ねじれ議会となったことで事前に期待された「ブルーウェーブ」は起こらなかった。そのため、大型経済対策およびその財源確保のための国債増発、増税への懸念はいったん後退。タイ10年物国債利回りは1.41%台でほぼ横ばいとなった一方、同5年物利回りは0.84%台、同2年物利回りは0.55%台とそれぞれ0.02%ずつ金利低下となった。

(2)(12月の展望)
今月は10日に欧州中央銀行(ECB)理事会、15~16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、17~18日に日銀金融政策決定会合、23日にタイ中銀金融政策委員会(MPC)と主要中銀の会合が予定されている。ワクチン実用化への期待の一方で、欧米での感染拡大とロックダウンの動向に加え、タイ国内での感染も再びみられるようになってきたことは懸念材料ではあるが、タイ中銀MPCでは現状維持となることが足元のコンセンサス。

〈為替動向〉
(1)(11月の回顧)
11月のドルバーツ相場は約1バーツと大幅に下落。米大統領・上下両院議員選挙を通過したことやコロナワクチン開発の進展で実用化期待が大きく膨らみ、リスク選好度が高まったことでドル売りとなった。米大統領・議会選挙に関しては、大統領選は民主党のバイデン氏、上院選は来年1月の決選投票待ちながら共和党が過半数を維持の見込みで、下院は議席数を減らしたとはいえ民主党が過半数を維持となった。結果、事前にマーケットが期待していた「ブルーウェーブ」は起こらず、ねじれ議会となるとみられる。コロナワクチン開発に関しては、ファイザー社とモデルナ社が良好な治験結果を公表したことを受けてドルバーツは急落。急速なバーツ高への懸念からタイ中銀はバーツ高抑制策を発表。(1)外貨預金の統合および預入自由化、(2)対外証券投資規制の緩和、(3)バーツ建て債券投資の事前登録の義務化の3本柱であったが、新味に乏しいものであった。タイ中銀がバーツ高抑制策について発表すると表明して以降、警戒感からドルバーツも小幅上昇したが、実際の発表を受けてやや失望売りとなった。一方でその後もタイ中銀のスタンスへの警戒感は継続しドルバーツは30.2台でクローズ。

(2)(12月の展望)
欧米を中心にコロナ感染の拡大が続いており、またタイ国内でも再び感染への懸念が台頭しているが、ワクチン実用化への期待は継続するであろうことや、米政治、金融政策の面からドル売りの流れは継続する可能性が高い。今月は10日にECB理事会、15~16日に米FOMC、17~18日に日銀金融政策決定会合、23日にタイ中銀MPCが予定されている。ECBでは追加緩和パッケージの発表、米FOMCではフォワードガイダンス強化への期待等があるが、タイ中銀MPCは現状維持が足元のコンセンサス。


5.政治動向、その他
(1)タイ財務省によれば、10月末時点の公的債務残高は7兆8,292億バーツで、対GDP比率は49.53%となった。2021年度(2020年10月~2021年9月)の財政予算執行に関しては10月7日付の官報で告示されている。歳出は2020年度よりも860億バーツ多い3兆2,860億バーツ。なお、9月26日の閣議で1兆4,654億バーツの追加借入が承認されており、2021年度末には公的債務残高の対GDP比率は57.23%になる見込み。

(2)タイ政府は11月24日付で、タイ全土を対象とした非常事態宣言の適用を2021年1月15日まで延長する旨を官報に掲載した。非常事態宣言の延長は8度目。



(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
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情報提供:
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タイで使用されている無線用語

読み方の例:
W.0 = (ว.0 ウォー・スーン)
W.2 = (ว.2 ウォー・ソーン)
W.29 = (ว.29 ウォー・イーシップガオ)
タイ文字 ว. は W. に置き換えた。


W.0 命令
W.00 少し待て
W.01 職場/ 勤務地
W.02 宿泊場所/ 家
W.1 どこにいる?
W.2 応答せよ/聞こえるか?/聞こえた
W.3 メッセージを繰り返せ
W.4 行動する/ 実施する
W.5 秘密
W.6 応答願う/ 返事をして
W.7 援助願う
W.8 ニュース/ メッセージ
W.9 緊急事態発生
W.10 通常配置場所にいる/ 無線連絡可
W.11 休憩中/ 無線連絡可
W.12 休憩中/ 無線連絡不可
W.13 電話連絡請う
W.14 終業/ 無線スイッチオフ
W.15 会いに来い/ ・・・で約束
W.16 無線電波チェック
W.16-1 意味がわからない
W.16-2 音声不明瞭
W.16-3 音声はだいたい聞き取れる程度
W.16-4 音声明瞭
W.16-5 音声は非常に明瞭
W.17 危険につき通過禁止
W.18 テスト走行のため車両持ち出し/ 故障車両
W.19 制圧された/ 襲われた
W.20 取り押さえ/ 取り調べ
W.21 ・・・から出発
W.22 ・・・に到着
W.23 通過
W.24 時間/ 時間を知らせよ
W.25 行く
W.26 無線経由の連絡を最小限にせよ
W.27 電話で連絡せよ
W.28 会議/ 会議がある
W.29 用事がある
W.30 数を知らせよ
W.31 1 チャンネルに変更
W.32 2 チャンネルに変更
W.33 3 チャンネルに変更
W.34 4 チャンネルに変更
W.35 行動準備完了
W.36 準備 100%完了/ 準備万端
W.37 準備 50%完了
W.38 準備 1/3 完了
W.39 交通状態が混雑している
W.40 車両事故
W.41 交通整理灯
W.42 車両/先導車両
W.43 車両チェック場所
W.44 FAX 連絡請う
W.50 食事中
W.55 便宜を図る
W.60 親戚/ 兄弟/ 友達
W.61 ありがとう
W.62 アイテム
W.63 家
W.64 個人的な用事がある
W.601 無線機
W.602 無線アンテナ
W.603 車両
W.604 テレビを見る
W.605 食事中
W.606 話していることは事実ではない
W.607 私的な用事
W.608 騒ぎを起こす人/ 問題を起こす人
W.609 妨害電話
W.610 恋しい
W.621 金
W.100 すみません/ ごめんなさい


Source:
DMX CONSULTANTS (THAILAND) CO., LTD.
http://www.datamax.co.th
DMX グループはタイに進出する日系企業の成長に貢献します。


 
 
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タイ投資委員会のEV事業・医療関連事業向け新投資奨励策

タイ投資委員会(BOI)はEV事業向け・医療関連事業向けの新たな投資奨励策やIPO事業の復活を承認

11月4日、タイ投資委員会(BOI)はバッテリー型電気自動車(以下、BEV)及びその重要部品の現地生産に重点を置き、電気自動車(以下、EV)サプライチェーンの主要側面をカバーする包括的な恩典実施を承認した。これにはあらゆるサイズの商用車と船舶も含まれる。


1. EV事業向けの新たなパッケージ
この新たな投資奨励パッケージは2018年に終了した初代のEVパッケージに続く恩典で、乗用車、バス、トラック、オートバイ、三輪車、船舶など広範囲に渡る電気自動車を対象とする。これら電気自動車の恩典は、以下の通り。

・四輪車:投資額50億バーツ以上の適格プロジェクトは、プラグインハイブリッド(以下、PHEV)に対して3年間の法人所得税免税が与えられる。またBEVは8年間の法人所得税免除に加え、研究開発投資がある場合には恩典期間が延長される。投資額が50億バーツ未満の適格プロジェクトはPHEVとBEVに3年間の法人所得税免税が与えられるが、BEV生産を2022年までに開始、主要部品の追加生産、3年以内の生産台数が最低10,000台に達し、かつ研究開発投資がある等の要件を満たせば、BEVの免税期間が延長される。

・オートバイ、三輪車、バス、トラック:適格プロジェクトには、3年間の法人所得税免除が与えられ、追加の要件を満たす場合には免除期間が延長される。

・500トン未満の電動船舶生産プロジェクトには、8年間の法人所得税免除の対象となる。

BOIはまた、高電圧ハーネス、減速ギア、バッテリー冷却システム、回生ブレーキシステムの4種類のEV部品を投資奨励の重要部品リストに追加した。これらの4つカテゴリーは全て8年間の法人所得税免除を受けることが出来る。

EVバッテリーの現地生産を促進するため、BOIは現地市場向けのバッテリーモジュールおよびバッテリーセルの生産に対して、タイ国内で入手できない原材料の輸入関税を2年間にわたって90%引き下げる追加恩典も承認した。

BOIはこれまでに、ハイブリッド電気自動車(HEV)が5件、PHEVが6件、BEVが 13件、電気バス2件を含む26件の様々なタイプの電気自動車生産プロジェクトを承認しており、合計生産能力は566,000台/年以上に上る。すでに7つのプロジェクトが商業生産を開始した。それらは、日産、ホンダ、トヨタがHEVの生産を始めているほか、メルセデスベンツとBMWはPHEVをFOMMと高野がBEVの生産を開始している。


2. 臨床研究(Clinical Research)
タイにおけるヘルスケア分野の競争力を高め医療ハブとしての地位を強化するために、BOIは臨床研究を促進するための委託研究機関(Contract Research Organization: CRO)と臨床研究センター(Clinical Research Center: CRC)の運営に対して、8年間の法人所得税免除の新しい恩典を承認した。

資格を得るためには、タイ国籍を持つ新規採用の臨床研究人員の給与として年間150万バーツ以上を支出するか、プロジェクトに100万バーツ(土地、運転資金、車両代を含まない)以上を投資しなければならない。


3. 高齢者向け病院とサービス
高齢化社会に備えるため、BOIは高齢者や介護サービス事業者に対して税制上の優遇措置を与えることを承認した。

・高齢者向け病院は、50床以上の収容能力があることを条件に、5年間の法人所得税免除が受けられる。

・高齢者や介護サービスは、50床以上の収容能力があり、タイ国籍者が資本金の51%以上を保有していることを条件に、3年間の法人所得税免除が受けられる。


4. 国際調達事務所のカテゴリーの復活
BOIは、地域ビジネス及び投資ハブとしてのタイの地位を強化することを目的に、国際調達事務所(International Procurement Office: IPO)カテゴリーの復活を承認した。

IPO事業者は、国家のサプライチェーン発展を促進するための政策の一環として、機械および輸出のための生産に使用する原材料の輸入関税が免除される。


5. 生産効率向上措置の延長
4つの施策を網羅した「生産効率向上措置」の恩典申請期限が2年延長され、2022年末までとなった。また、3年間の法人所得税50%控除を含む恩典パッケージは、製造業とサービス業の両方に適用されることを明確にするため、当初の名称から「生産」という文言を削除した。
また、これまでは農産業事業のアップグレードへの投資に限定されていたが、家具工場や製紙工場などのサプライチェーン関連活動における持続可能な開発を促進するために、食品安全管理システム(ISO 22000)や持続可能な森林管理システム(ISO 14061)等の国際的持続可能性基準の実施を奨励するための条件を拡大した。

生産効率向上の4つの対策は、省エネと代替エネルギーの利用、機械の改良による生産効率向上、研究開発、効率向上のためのエンジニアリング設計、持続可能な開発を推進することを目的としている。


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