タイ国経済概況(2024年12月)


1.景気動向
(1)タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)の11月18日の発表によると、2024年第3四半期の経済成長率は、前年同期比+3.0%であり、2022年第3四半期以降最高値となった。現政権の予算執行に伴う公共投資の増加が主な要因で、建設が同+15.5%と4四半期ぶりにプラスに転じた。一方、農業は同▲0.5%と2023年第4四半期からマイナスが続いた。2024年9ヵ月の経済成長率は同+2.3%だった。また、2024年通年の成長率見通しは前年比+2.6%で、2025年通年の成長率見通しは同+2.3~3.3%とした。

(2)タイ工業連盟(FTI)が11月25日に発表した10月の自動車生産台数は、前年同月比▲25.1%の11.9万台だった。内訳は国内向けが同▲51.7%の3.1万台、輸出向けが同▲7.0%の8.8万台。新型コロナ前の2019年10月の生産台数15.3万台を下回った。また、10月の国内新車販売台数は同▲36.1%の3.8万台で、輸出台数は同▲15.7%の2.9万台。新型コロナ前の2019年10月の販売台数が7.7万台、輸出台数が8.6万台であり、ともに新型コロナ前の水準を下回った。

(3)FTIが11月25日に発表した10月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+70.5%の29.4万台で、16ヵ月ぶりにプラスを記録した。2019年10月の生産台数は21.9万台であり、新型コロナ前の水準を上回った。内訳は完成車(CBU)が同+6.3%の14.9万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+346.9%の14.5万台。また、10月の国内販売台数は同+3.8%の14.0万台、輸出台数は同▲20.2%の8.4万台だった。2019年10月の販売台数が14.2万台、輸出台数が2.5万台であり、国内販売台数は減少したものの、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)タイ商工会議所大学(UTCC)の発表によると、2024年10月の消費者信頼感指数は前月比+0.7の56.0(100以上が好感)。新型コロナ発生後の最高だった2024年2月から下落を続けたが、8ヵ月ぶりにプラスに転じた。項目別で見ると「経済全般」が49.6(同比+0.8)、「雇用」が53.5(同比+0.8)、「将来の収入」が65.1(同比+0.7)とすべての項目が8ヵ月ぶりに前年を上回った。洪水の影響が緩和したこと、および政府の経済刺激策が回復要因とみられる。一方、同時調査された自動車の買い時指数、不動産の買い時指数は8ヵ月連続で低下した。


2. 投資動向
(1)11月25日、タイ投資委員会(BOI)は、11月19日から22日までの中国訪問による投資奨励の成果を明らかにした。訪問期間中には、上海で「タイ•中国投資フォーラム2024」を開催。参加者数は過去最高となる600名以上で、米国による新たな保護貿易措置への懸念が依然として残る中、生産拠点を中国外に多角化したいと考える中国人投資家からの関心の高さを示した。セミナーに加えて、BOIのナリット長官とピチャイ副首相はタイへの投資計画を進めている6社と面談を行った。6社の総投資予定額は900億バーツ以上で、6社の内訳はバッテリーセル産業が2社、先端電子産業から3社、バイオ包装産業から1社となっている。

(2)ぺートンターン首相が委員長を務める国家電気自動車政策委員会(EV委員会)は12月4日、バッテリー電気自動車(BEV)メーカーに対し、EV3.0政策に基づく生産ノルマを達成するための期間の延長を承認した。これにより、EV3.0の期間に生産が完了しなかった分は、EV3.5の期間・条件(2026年までに輸入台数の2倍、2027年までかかる場合は3倍を生産)での達成を目指すこととなる。ただし、この場合は、EV3.0またはEV3.5どちらからも補助金や関税引き下げの措置を受けることはできない。EV3.5の措置は、EV3.0の措置から延期された生産ノルマを達成した場合のみ対象となる。また、メーカーがEV3.0の下で輸入した売れ残りの完成車の再輸出を認めるが、生産ノルマには含まない。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2024年の10月末時点で金融機関預金残高は25兆5,683億バーツ(前年同月比+3.7%)、貸金残高は30兆7,305億バーツ(同+0.7%)といずれも増加。政策金利は10月16日に2.50%から2.25%に引き下げられた。


4. 政治動向、その他
(1)タイ政府が経済刺激策である1万バーツの国民給付金第2弾を発表した。対象者は60歳以上の高齢者(約400万人)で、2025年2月末までにQRコード決済システム「プロンプトペイ」経由で配布する予定。1万バーツ配布第1弾で受給済みの者、および月収が7万バーツ超または銀行預金が50万バーツを超える者が対象外となる。政府は法律面や施行方法について検討し、閣議提案する予定。

(2)タイ空港公社(AOT)の発表によると、2024年10月のタイ主要6空港(スワンナプーム、ドンムアン、プーケット、チェンマイ、チェンライ、ハジャイ)の利用者数は、前年同月比+12.5%の1,014.1万人だった。国際線は同+19.8%、国内線は同+2.6%でいずれも前年同月を上回った。2024年1月~10月の6空港利用者数は、前年同期比+16.8%の1億55万人。同期間の空港別では、スワンナプームが前年同期比+21.3%の5,075.2万人、ドンムアンが同+11.0%の2,463.7万人、プーケットが同+23.2%の1,385.9万人、チェンマイが同+9.5%の719.4万人、チェンライが同▲1.2%の154.4万人、ハジャイが同▲2.9%の256.4万人だった。また、本人確認時間の短縮を目的として、これらの主要空港に顔認証による自動生体認証システムが導入された。国内線は11月1日に運用開始され、国際線は12月1日に運用開始された。


(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。

情報提供:三井住友銀行バンコック支店 SBCS CO., LTD.



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