病み上がり②
1
胃の中の物が口から出る それはそれは
苦しいことだ
水さえうけつけない
一口ふくんだら それより多い水が噴き上がる
胃の中に実は自分が棲んでいて
胃袋が裏返しになる そのとたん吐き出されてくるような
頭を上にして生きるわれらニンゲン
重たすぎて ああ、トイレに突っ込んだきり持ち上げられぬ
2
吐いてしまいな
吐いたらラクになるよ
取調室の椅子ではない
便器の床に座り込んだワタシである
―あの日から半月
トイレに入ると思い出す光景 思い出す吐き気
腰痛五十年 肩こり四十九年 夜間頻尿五、六年
苦しみに馴れた体が たった三日の胃炎に泣くとは!
●ご訪問ありがとうございます。
二十代で全身打撲の事故にあい、それ以来痛みや凝りやしびれには馴れてきていました。人の苦しみがすこしは分かると思ってさえいました。今回のことも、もうしばらくすれば忘れるでしょう。が、まだ拾いきっていないことがあるような気がするのです。