病み上がり
十四日ぶりに風呂に入ったら
お湯が 風呂嫌いのおれに冷たかった
病み上がりの皮膚をピリピリ刺してくる
その皮膚はたるんでシワシワ
床の滑り止めが尻に痛い
体が湯をこわがるのか 湯が体を遠ざけたいのか
湯と体の間で おれがキュッとちぢこまっている
十日ぶりで髪を洗ったら
シャンプーの白に なんだか薄茶色が混ざっていたような
へちまでこすった腹や脚から
これが垢です という物が付いてきたような
絶食三日 おかゆ五日
そのあいだに千四百グラムが消えたおれの体
鏡に映った
ムンクの絵のような頬
●ご訪問ありがとうございます。
理由のわからない嘔吐をくり返してから、二週間余り経ちました。物が食べられないつらさの前に、物を口に入れるつらさ(水も補水液もふくめて)を味わいました。
ほんの小さな体験ですが、さまざまな思いが湧いては消えていきました。
今は、消えた思いを捜し、拾えるものはひろおうと欲張りが少しもどってきたところです。