野菜の声 ゴボウ
なんてアクがつよいんだ ゴボウ
まな板があんたのアクで染まってしまった
おれもクセがつよいから文句はいえぬけれど
町内にちょっと前まで
朝からゴボウを切って切って切りまくってる八百屋さんがいた
キンピラゴボウ用の千切り
ポリバケツに満杯のゴボウが
夕方までには空になった
手は爪までいつもゴボウ色に染まっていた
牛蒡 と漢字で書くが
八百屋さんのゴボウ色の手を見るたび
御坊さん そう呼んで俺はひそかに尊敬していたよ
●ご訪問ありがとうございます。
頑固そうなその八百屋さんが、いつからゴボウの千切りを始めたかは知りません。けれど、売れ行きがいいところを見ると、助かっているご近所さんが大勢いたのだと思います。商売を越えた人助け、そんな思いをいだきながら、その八百屋さんの手を見ていました。