祈りを、うたにこめて

祈りうた(命の喜  二〇二二・クリスマス③)

二〇二二・クリスマス③



父のかなしみ
母のかなしみ
降誕祭

若い父が宿屋を探して回る
もっと若い母が
身重の体で夜を引きずっていく
神に見込まれた夫婦なのに
宿の一晩の寝床さえないのだ

父がやっと見つけた粗末な家畜小屋
糞尿にまみれた藁床(わらどこ)に母は横たわる
真っ暗な天 真っ暗な地球
神が産めと命じた子どもがひっそり
この世に産み落とされた

それでも若い父は喜んだ もっと若い母もよろこんだ
みすぼらしい家畜小屋の 
臭いくさい飼い葉おけの中だが
神からの
ほんとうに神からの授かりものが眠っているのだ

寒空の下で寝ずの番をしている羊飼いたち
真っ暗な地球 真っ暗な野原
とつぜん天が光り こう告げられた
―神がひととなって真っ先にお前たちのもとに来られたよ
羊飼いたちは信じた 涙をいっぱい目にためて

クリスマス・二〇二二
子どもや老人や障がいのある人たち
病をかかえ 労働で苦しんでいる人たち
かなしみさえ報われない酷(むご)いこの世に
最も弱い姿で、最も傷ついた処へ助け主が来られたのだ

顔をあげるために 立ち上がるために
手をつなぎ合うために
笑い声を響かせるために
哀しみを
あなたとぼくの魂全部でいとおしむために 

ちちの愛(かな)しみ
ははの愛しみ
クリスマス



●ご訪問ありがとうございます。
 二〇二二年十二月二十五日、クリスマス当日です。二十四日の一晩で新たな体験をした人もいるかもしれません。本物と出会い、人生の深みに足を踏み入れた人も。
  二〇二二年間、光は天で輝き続けています。「インマヌエル(神、われらと共にいます)」の光が。

 二人(ヨセフとマリア)がそこにいる間に、マリアはお産の日が満ちて、男の初子(ういご)を産んだ。そして、その子をうぶぎにくるみ、かいばおけに寝かせた。宿屋には、彼らのために場所がなかったからである。……羊飼いたちが、その地方で野宿をして、夜通し羊の群れの番をしていた。すると、主の使いが羊飼いたちのそばに立ち、言った。……「今日、ダビデの町に、あなたがたのために、救い主がお生まれになった。この方こそ主メシア(救い主)である」(新約聖書「ルカによる福音書」2章5節~12節)

 

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