祈りを、うたにこめて

祈りうた・いのちうた(詩人・八木重吉)

詩人・八木重吉




八木重吉は 雨といっしょに降っていた

八木重吉は 四季の美しさに溶けこんだ

八木重吉は 涙を弱いものへの愛情とした

 八木重吉は キリストの手のひらでこそ温もった




八木重吉は反戦の詩は書かなかった

けれど八木重吉に触れたひとは

心が澄んで

戦争は嫌だなあと 心から願うだろう




<八木重吉の詩>


雨は土をうるおしてゆく
雨というもののそばにしゃがんで
雨のすることをみていたい




雨の音がきこえる
雨が降っていたのだ
あのおとのようにそっと世のためにはたらいていよう
雨があがるようにしずかに死んでいこう



夜の薔薇(そうび)

ああ
はるか
よるの
 薔薇



素朴な琴

この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美くしさに耐えかね
 琴はしずかに鳴りいだすだろう



草に すわる

わたしの まちがひだつた
わたしのまちがひだつた
こうして 草にすわれば それがわかる




虫が鳴いてる
いま ないておかなければ
もう駄目だというふうに鳴いてる
しぜんと
 涙がさそわれる



ほそい がらす

ほそい
がらすが
ぴいん と
 われました



ひかる人

私をぬぐうてしまい
 そこのとこへひかるような人をたたせたい



*八木重吉の詩は、無料の「青空文庫」で読めます



◆言葉に愛を宿したい。
◆ご訪問ありがとうございます。

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