秋桜(こすもす)
どうやら僕は
思いちがいをしてきたようだ。―
身をよせあって咲くのは
いっぽんだけの心細さによるのだと、
とりどりの紅(べに)は
羞(は)じらいの色だと、
あんなに風にゆれるのは
桜をおもう哀しみのせいだと。
ああ 秋桜(こすもす)。
よわさに似合う明るさはないと
いつからぼくは思いこんでしまったのか。
緑をぼやかし
可憐(かれん)をよそおう演出家。
青空にわらいさざめく
思春期の蝶よ。
こすもす
ーお墓参り
こすもすが墓を飾っている
色いろに飾っている
植えたのではないのに 今年も
優しく墓石をつつんでいる
四人ともこすもすが好きだったのかもしれない
弱さをかかえながら風にも雨にも倒れずに生きてきた その
ひたむきな姿が自分と重なっていたのかもしれない
―とりどりに生き終えました秋桜
★たんぽぽの 何とかなるさ 飛んでれば
★いつも読んでくださり、ほんとうに有難うございます。