この記事は「まさか!函館本線・山線廃止というショック」の続編です。
本当はブラ街歩きで新小樽駅の工事風景に会いに行ってきた企画にしようかと思ったが、札幌延伸延期のネタとします。
のんびりしてると世間の動きについていけないを痛感したのが、札幌オリンピック開催断念(あえて断念)で北海道新幹線2031年札幌延伸が延期になるというもの。7年後の30年には、東京から新幹線で新小樽へ行けるかなと思っていたが、この延期で80歳前の生きてるうちに行けるかどうか怪しくなってきたわ。
この決定自体はまだ正式のものではないらしいけど、もともと札幌延伸は35年度であったのをオリンピックに間に合わせようという意図で30年度末開業に変わったもの。そのため突貫工事をしていたが、路線の8割以上がトンネルで工事が難航。とくに羊蹄トンネルの工事中断などで遅れの可能性も指摘されてきていたので、オリンピックしないし、焦って金かけて工事するのはいかがなものかと、国が決断するらしいです。しかし、あれだけ反対も多かったオリンピック誘致を経済活性化の切り札として強引に誘致しようとしていた札幌市や道庁だけでなく、新幹線を受け持つJR北海道や開通で廃止される予定の函館本線長万部〜小樽間(通称:山線)沿線自治体への影響も大きいのだと思うのでありますよ。
北海道新幹線新小樽駅予定地工事風景・トンネルを掘っているようだが、駅舎等の工事は全く手がついていない。
まず、新幹線30年開業&函館本線廃止前提で事業計画を作っていたJR北海道は、新幹線収入が発生しなくなる代わりに赤字の山線の廃止ができず、かつ札幌駅前再開発も新幹線需要が期待できないという三重苦でてんやわんやではないか?鉄道事業から不動産・商業事業会社への脱皮を図りたい会社としては、オリンピック開催を起爆剤として使いったかっただろうが、目論見も外れそうどころか大幅な中長期経営計画の練り直しが迫られるのだ。
さらに沿線自治体は、昨年、北海道庁がバス転換を図るを提案し自治体も廃止に同意したが、その後バス運転手不足問題が表面化し特に余市〜小樽間の1日2千人以上の列車利用者をバスに変えるのは無理ではないかという議論が再燃化しだしている。また、余市〜長万部の間も倶知安を除いて、バス転換は難しいという認識が広がっているという。鉄路もない、バスもないとなると自家用車を運転できない人は移動するなということになるのは明白で、住民の生活のため交通体系に責任を持つべき自治体としての見識も疑われる。
また、新幹線待ちの函館本線沿線自治体で一番突っ走っていたのが倶知安町で、新幹線駅周辺工事の邪魔だからと30年までの在来線を25年で廃止前倒しにしろという主張を展開して他はどうでもいいから、自分のとこだけ新幹線開通=観光発展ありきの町政であった。工事の邪魔になるのは在来線を越える跨線橋らしいが、これは撤去して踏切にすればいいことで解決するはずだが、これを理由に在来線まで撤去しろという強引な主張はいかがなものかと思っていたのである。だから、ニセコの人気で強気の倶知安町には、一人勝ちを目指すのではなく、後志地域全体の住民の生活権を考え直す気持ちで、現町政の方向性の見直しをしてほしいのだ。
北海道新幹線倶知安駅工事風景・今年から本格的な工事に入ったようで大型重機が並ぶ。
この問題は、オリンピックや万博などを持ってくれば経済活性化になるというステレオタイプの頭しかない昭和な政治姿勢の失敗と言えるだろうと思うのだ。2020東京オリンピックの失敗に学ぶことなく、箱物・イベント行政に頼る今の政治家たちの貧困な政策がもたらす貧困の悲劇が始まろうとしているように思うのは、小生だけでなのか。1ヶ月前には、新幹線開業を遅滞なく進めるようにと釘をさしていた鈴木北海道知事の新自由主義的政策(?)を大きく見直すチャンスだと考えるがいかがであろうか。