沖縄に来て驚いたのは、ＴＳＵＴＡＹＡの本屋さんに鉄道の本がないのである。月刊誌である「航空ファン」「航空情報」など基地がらみで飛行機系は揃っているのだが、「鉄道ジャーナル」や「鉄道ファン」は影も形もないのである。ＴＳＵＴＡＹＡならあるだろうと思ったが、これは困ったのであります。ということで、月に一度東京に帰ったときに地元のＴＳＵＴＡＹＡで買っては、沖縄に持ち込んでいたのであるが、那覇の美栄橋に本土でも大型書店として有名な「ジュンク堂書店」を発見。行ってみたら、さすがに大書店で、愛読書の「鉄道ジャーナル」もしっかり最新号が置いてあったのであります。たぶんここ以外には鉄道の本は置いてある書店は沖縄にはないと思うのであります。
というくらい、鉄道に関心がなさそうな沖縄でありますが、大分前から、観光と那覇の渋滞解消という意味で、鉄道構想があるのです。つい最近も６月に沖縄振興計画終了後の次期基本計画（ポスト振計）で、沖縄本島を縦貫する南部の糸満～那覇～名護までの鉄道の整備を整備新幹線方式と近郊用にLRT方式の鉄道網を国に要望するという記事が出ておりました。南北に長く東西は短い沖縄には南北を鉄道でカバーし、駅から東西はバスで繋ぐのがいいと思うのでありますが、県民の人にとっての鉄道は、那覇の市内のみの「ゆいレール」くらいで、乗っている人も少なく、利便性では圧倒的に便利なクルマに慣れているので、どうも鉄道には関心が低いようでこの計画も進むのか心配であります。
しかし、戦前には沖縄にも鉄道があったのであります。大正３年に那覇～与那原間で線路幅762mmのナローゲージ＝軽便鉄道（JRの線路幅は狭軌で1063mm）で敷設され、主に蒸気機関車による牽引で客車、貨物列車が走って、結構、市民の足として、砂糖黍の輸送などの貨物輸送に利用されていたのであります。その後、那覇～嘉手納線、那覇～糸満線が開通し、鉄道網としてひろがっていたのであります。また、市電も那覇～首里間6．9kmで走っていたのであります。しかし、戦争で線路が破壊されて壊滅状態になりほとんどが道路に、さらに残った線路もくず鉄として売られてしまい遺構として残っている物は那覇市内にはないと本に書いてあったのですが、住宅街にひっそりと線路が展示されていたのであります。
場所は、那覇市の南のゆいレールの壺川駅のそばにある住宅街の東壺川公園に線路となぜかディーゼル機関車が地味に置かれているのであります。ここはかつての那覇駅と古波蔵駅の間で線路が引かれていた跡らしいのですが、実際に展示されている線路とディーゼル機関車は南大東島から持ってきた物であります。ゆえに、沖縄の鉄道遺構というより、南大東島の鉄道遺構と言ったほうが正しいのであります。これは、市が作ったのではなく下の銘板にあるように(株)リウエンという建設会社からの寄贈物だそうであります。しかし、なぜここに展示されているのかはやはり謎であります。南大東島遺構とするなら場所が違うのではないかと思うのはアタクシだけでありましょうか？ただ、なにかも無くなってしまった沖縄の鉄道の跡を残したいという思いで残されたものなのでありましょうか？
銘板に書いてあるように左がディーゼル機関車で右に無蓋車のように見えるのが蒸気機関車の下部のみがぽつんと置かれているだけで、東京なら子供達が群がるようなものですが、この向こうに子供達が遊んでいましたが、だれも機関車では遊ばないようなのであります。
線路の前には、軽便鉄道の歴史と路線図が載っている説明図もあるのでありますが、実際の展示物とは関係ないので、なんとも不思議な遺構でありました。
右の線路の間に迷彩色の猫がじっとしていました。彼女（？）だけが鉄道ファンなのでしょうか？
