ドクトルかっちゃん[笑顔で元気] 1314KHzラジオ大阪OBC

ラジオ大阪(水) 17:45~パーソナリティーかっちゃん&仲みゆき・毎週お届けする医療健康情報です。

7月4日放送 脳卒中や事故などの中途障害者の苦しみと現状

2009-07-04 16:15:05 | 日記
7月4日放送 脳卒中や事故などの中途障害者の苦しみと現状



人生半ばで病気や事故などで障害を負った人を「中途障害者」と呼びます。
中途障害者と一言で言ってもその範囲は広く、脳卒中などによる脳血管障害、難病、交通事故、内部障害、労働災害など、その障害の原因や障害の程度は様々です。
しかし、どの人たちも、ある日突然、障害を負ったことにより、身体的、精神的苦痛に加えて、将来への絶望感なども重なり、多くの人たちは必ずといっていいほど「死」を考えたといいます。
 「生きていても仕方がない。死んだほうがましや」という思いが、本人のみならず家族の人までをも「出口のないトンネル」に入り込んでいきます。
しかしまた一方で、「もう一度頑張って生き続けたい」という想いを胸に、少しでも歩けるようになりたい、ぎこちなくても言葉を取り戻したいという、絶望感と背中合わせのささやかな決意を奮い立たせ、想像を絶する苦痛に耐えながらリハビリに挑戦します。
その目標は、まぎれもなく社会復帰です。
 しかし、病院を退院し一旦自宅に戻ると、想い描いていた社会復帰への道のりははるかに遠く、奮い立たせていた決意は微塵にも砕け散ってしまうという残酷な現実が「大きな壁」として立ちはだかっていました。仕事を失い、社会との接点を奪われ、自信を無くし、自分の居場所すらわからないまま、閉じこもりきりの生活を余儀なくされているのです。
 多くの中途障害の人たちは言います。
「こんな暮らしが社会復帰と言えるのだろうか?障害を負うということは、一生不幸を背負いつづけるということなのだろうか?幸せを求めてはいけないのだろうか?」
多くの中途障害者とその家族の人たちは、地域に戻ったその日から、新たな苦しみを背負い込みます。
 また一方で、障害者の生活を支援する福祉制度はありますが、本人自らが情報を得て手続きしなければならないという「申請主義」のため、今まで築き上げてきた人間関係を断たれ、福祉とはほとんど無縁だった中途障害の人たちには、十分な情報が行き渡っておらず、利用できる福祉制度があっても活用できていないのが現状です。

見えない障害、高次脳機能障害
とりわけ中途障害の中でも高次脳機能障害の問題は深刻です。高次脳機能障害とは、脳の損傷などによって日常の出来事を覚えられなくなったり、物事に集中できない、また感情のコントロールができなくなるなどの障害のことです。これらの障害は、ほとんどが外見からはわからず「目に見えない障害」と呼ばれ、本人やその家族にとって重大な問題であるにもかかわらず、今日に至るまで「高次脳機能障害」という言葉すら社会に浸透していないのが現状の中で、永年誰からも理解されずに制度の谷間、社会の狭間におかれてきました。
この障害は正確な診断と適切な訓練を早期に受けることによって、症状はかなり改善できますが、高次脳機能障害を「統合失調症」などの精神障害と誤診され、向精神薬等の投与により益々障害が悪化した状況も問題として残っています。
この障害を負って、それまで統合失調症と診断され続け、15年経ってようやく高次脳機能障害と診断されの方もおります。このような例は決して特別なものではなく、今も尚、大きな課題です。
しかし、この聞きなれない高次脳機能障害は、意外と私たちの身近に存在します。
 交通事故や成人病などの増加だけに止まらず、様々な事件、事故などにより、高次脳機能障害を負った人は全国で約30万人以上、そして毎年1万人以上の人たちが新たにこの障害を負っています。特に若くして障害を負った人たちも多く、人生を大きく左右されてしまった障害に戸惑いながら、明日への希望を見出せず、地域の中で不安な生活を送っています。
 日本の障害福祉に関する法律では、障害を身体障害、知的障害、精神障害の3つと定め、それぞれに提供する支援の内容を定めています。
しかし、高次脳機能障害など、法文に書かれていない障害は支援の内容も定められていません。生きがいを持って生活出来る環境が必要ですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする