エステル、セミをとらえる
うちではエステルを毎朝庭へ出してやる。
彼女は五時ごろから私を起こすのだ。
「早く出して~早く出して~」となく。
今朝は私の部屋の窓の下で何かセミの声がするので
見てみるとエステルがセミをとらえていた。
家猫になってから前の感じは失せてしまい、とてもなついていて
野生など全然ないのに
外に出るといっぱしの野生に戻るのだろうか。
今日も暑くなりそうだ。
二男はどこへ行くのだろう。さっき出て行った。
彼は中三の時に登校拒否になり、高校に入ったものの
三年たつと「お母さん、僕分かったわ、勉強したくない時はできないものだね」と言い高校を辞めてしまった。
彼は一歳半の時に難病を発症し私は彼が死ぬのではと思いひたすら注意をして育てた。そして彼はなおも言う。「僕がこんなになったのはお母さんのせいだと思う。甘やかすから根性なしなった」と・・私は答えた。「うん、ごめんねー!! あんたが生きててくれるだけで良かったものだから・・」とするとそのあと彼は何も言わなかった。
という事でそのあと六年間というもの明るくひきこもり状態となる。明るいというのは友達が集まってきて昼はねて、夜になると麻雀をする。
でも私は嬉しかった。皆さんが来てくれるから廃人にならないと思ったからです。むくつけき男の子たちが天使にみえたのである。
私は必ず神が彼を立ち上がらせてくださると信じる事にしたのです。
二十歳となり急に就職をした。私はビックリしました。
それで聞くと面接だけで採用されたという。
バンザーイ、やっぱり主は捨ててはおかれなかったと思いました。
それでそのあと十数年具合の悪い時は休ませてもらいながら続いているのです。
きっと今日は友達と遊びに行ったのでしょう。もう三十代になりましたから私は何も言いません。彼は彼として自分の人生を歩いているのですから・・・
今日はエステルと二男の話しをしました。