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20代の頃は、真っ直ぐに生きていた。
自分が何も持っていないことは、分かっていた。
でも、真っ直ぐだった。
僕は、いつか欲しいものを掴み取ることができると信じていた。
努力は必要だ。
自分に経験をつけ、できることを増やし、磨かなければならない。
でも、できると思っていた。
自分に力をつけて、魅力的な男になれば、それはいつか手に入ると思っていた。
それがまだ足りないのだ。
目標がはっきりしていた。
僕の目標は、自分の人生や価値観を共有できる、最高のパートナーに巡り会うこと。
ただ、巡り会うだけではダメだ。
その人を振り向かせなければならない。
でも、不可能ではないと思っていた。
そして、いつかはそういう人と巡り会い、一緒になれると信じていた。
あれから20年以上が経った。
僕は成長した。
誰よりも努力した。
会社でも仕事の能力は高く、誰よりも筋が良かった。
物事の本質を捉えることができ、上司や会社からも信頼された。
人生経験を積んだ。
世界中を飛び回った。
英語だって話せる。
世界中に外国人の友達がいる。
お金だって稼げる。
大切なことが分かっている。
それが、あの時自分が思い描いたイメージだった。
そうなれれば、かっこいい。
きっと、運命の人も、僕を好きになってくれる。
でも、僕には小さな小さな危うさがあった。
弱さがあった。
そこに全てを奪われた。
僕は手に入れられなかった。
大切なものを、守れなかった。
してはいけない経験をしてしまった。
そこに幸せはなかった。
何もかもがしっくりいかなかった。
何故だかは分からない。
でも、我慢できなかったのだ。
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