Earth Spiral

Survival&Creative life. 
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[Camunet newsletter]イサカエコビレッジ~自然との共生の知恵

2008-05-03 | パーマカルチャー的暮らし
イサカエコビレッジ~自然との共生の知恵

環境にあまり関心がない人でも、この冬は実感として
地球環境の異変を感じたのではないだろうか? 
地球温暖化、ピークオイル、
土壌の疲弊や砂漠化など、完璧に機能していた地球の恒常性を保つシステムが
壊れた結果の症状が顕在化し、すぐにでも手を尽くさないと、
人間が地球上で生き延びることが困難になるのは必至だ。

昨年訪れた米ニューヨーク州のイサカエコビレッジでは、
「自然を保護しながら、そこに人間が暮らす試み」が実践されている。
ビレッジ内を案内してくれたエランは
「ライフスタイルを変えることは難しいこと」そう言った。
広い敷地と家に住み、車は必須の米国人のライフスタイルを
エコな暮らしに変えるには、日本人以上の生活習慣の変化を強いられるが、
そこへの挑戦が必要なのだ。

家は小さめに(といっても日本人には充分な広さ)、
雨水をためるタンクやソーラーパネルを設置し、
窓を広くして太陽熱を取り込むなど自然エネルギーを有効活用し、
車や電化製品もシェアしCO2排出量を減らす努力をしている。

エコビレッジ設計当初は、敷地の90%を居住区として、
10%の自然を残すという案があったが、
実際にはエネルギー効率と環境負荷を減らすことを考え集約的に住んで、
広く自然環境を残すという選択をした。

人が住む場所を中心に→農場など人が活用する自然環境→
人の手を入れない野生動物たちが住む自然環境という風にデザインされている。
これはパーマカルチャーデザインの基本でもあるし、
昔の日本の風景である「村があり、里山があり、人の手が入らない山がある」
という仕組みと同じである。
里山が村と自然との境界となり、豊かな自然を守っていた。
昨年ぐらいからクマやイノシシが里に下りてきて問題になっているのは
その仕組みが崩れているからである。
本来なら、野生動物たちが暮らせる豊かな自然があるということ
=人間の生活の豊かさに繋がる。どこの文化でもクマや狼、
ライオンなど大型の肉食獣が神としてあがめられているのも
そういった理由からだと思う。

動物との共存といえば、以前イサカではビレッジ内の池にやってくる
ガチョウが問題になった。池では子供たちが泳いで遊ぶので、
ガチョウがくると衛生的に良くないので駆除したい派と
保護派の意見の対立があった。

そこで、ガチョウの生態の専門家などを招き勉強会を開いた結果、
駆除はせずに卵を採ることに住民全体の意見がまとまった。
その結果、自然にガチョウは来なくなったという。
自然保護か人間の生活かというせめぎあいが起こった場合には、
必要に応じて専門家からも学び住民全員が納得の上、
決定できるよう努力している。
今は、野鳥を捕まえてしまう「飼い猫問題」に取り組んでいるようだ。

また、イサカエコビレッジは完全自給自足ではないが、
ビレッジ内の若い夫婦が営む農家と年間で買い取り契約をしたり、
農作業を手伝ったりしている。
これは、コミュニティー・サポーテッド・アグリカルチャー(CSA)
という仕組みで、自分たちが安心して口にできる食材を作ってくれる
小規模農家を応援するシステムだ。
それから、ローカルフードの勉強会も行い、
地域で出来たものを利用することを推進している。

自然が人間に衣食住に必要なモノを与えてくれるポテンシャルの高さに気づかず、
人間はそれを無視して、自分たちの作り上げた文化で
自然をコントロールしようとしている。
ほおっておけば野原は森に変わっていき、
太陽が存在する限り自然の生産性は無限である。
ただ、人間が「もっと早く」「もっとたくさん」、
そう望んできたために回復する時間が追いついていないのだ。
自然の動きはゆっくりで、しかも止まることがない。
スローライフという言葉が広まっているが、生活をスローにして、
まずやるべきことは、自然の速度に合わせ、
自然の振る舞いから学ぶことなのではないだろうか。

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3 コメント

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Ecovillage at Ithaca (レタス)
2008-11-11 01:02:43
突然のコメント失礼します。

実はイサカの大学へ留学していた時に、Ecovillage at Ithacaで2ヶ月のインターンをさせていただいたので、嬉しくなってコメントを残させていただこうかなと思いまして。googleでイサカと、何となく検索したら、このブログと出合いました^^

起源を日本に持つCSA。日本で再会できる可能性はありますかね?><
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Unknown (anju)
2008-11-11 22:07:52
レタスさん、はじめまして!こめんとありがとうございます。
イサカに滞在されてたんですね。
日本でもCSAが再開されたらいいなと思います。有機野菜の宅配などはいくつかありますが、リスクも一緒に消費者が負うというところまでは、まだ理解が進んでいないかもしれませんね。
これからは天候不順なので、農家さんも暦どおりの作業をしても予想外のことが起こるといっています。消費者もそのあたりを理解して、協力したり、時にはリスクも一緒に負うようなことも必要になってくるのかなと思います。

http://blog.goo.ne.jp/anju_aromagroove/c/ea93da53390dd10b39fbd6701bc71a40
こちらに、エコビレッジ訪問のレポートもあります。よろしかったら見てみてください。
返信する
日本にCSAは、可能か (もりちゃん)
2008-11-17 17:31:46
私の生まれ故郷、北海道の長沼町というところでCSAをやっている方がいると知人から聞いたことがあります。

検索してみたら、日本でのCSAの事例がいくつか書いてありました。
http://www.sasayama.or.jp/opinion/S_23.htm

「相当な消費者の意識改革が必要」とありますね。

CSAに通じるものがある、農家さんを選んで野菜の宅配をお願いできる「やさい暮らし(http://www.yasai-gurashi.com/)」というサイトを運営している方のお話では、消費者の方はちゃんと話せば分かってくれるとのことでした。

伝える側の努力もまた相当必要なのでしょうね。

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