去る5月31日~6月1日、仙台のエレクトロンホールにて、
ホリスティック医学シンポジウムin仙台が開催されました。
震災後の大変だった3年間をみんなで分かち合いたい、
そしてこの大変な時に、ホリスティックな視点が救いになった、
それを広く伝えたいという仙台支部の皆さんの想いに始まり、
このシンポジウムが仙台の地で初めて開かれることになりました。
シンポジウムは2日間にわたり、東北、北海道で
ホリスティック医療を実践されている4人のお医者様のお話を聴くことができました。
そして、私は、2日目最後の対談を、仙台で統合医療の現場をつくられている
朴澤先生とさせていただくこととなりました。
ホリスティックな土台の上に載っていない、今の日本の医療制度の中で、
真摯に人を見るまなざしを持ちつつ、日々患者さんに接している先生方のお話は、
とても説得力のあるものでした。
一つ一つの内容は、他の方もレポートされているので、割愛しますが、
今の唯物論的な世界観の中で、先生方が、人が生きるということに
寄り添われている姿に、私たち医療者ではない立場としては、
いかに、暮らしを変えていくか、セルフケア意識を持てるか、
全体性を生きるかというところに、働きかけていこうという想いを新たにしました。
私も医療現場で代替療法をやっていた時期もありますが、
このシステムを変えるのは、なかなか困難だと見切りをつけて、
ライフスタイルの変容のほうに取り組んできたつもりですが、
医療の変容とライフスタイルの変容の両輪の取り組みから、
全体の意識進化や変容につなげていくこと、
各人の立場から、それぞれが相互理解し、協働、
もしくは、ネットワークしていくことの大事さを
あらためて考える機会となりました。
シンポジウム全体のレポートは、
仙台でクリスタルボウルの奏者・ホリスティックセラピストとして活動されている
遠藤園子さんが、丁寧にまとめてくださっています。
ホリスティック医学シンポジウムin仙台 その1
(その3まであります^^)
また、仙台で統合医療を実践している
統合医療センター Tree of lifeのセンター長である朴澤博美さんも
レポートを書いてくださっています。
ホリスティック医学シンポジウム2014in仙台を終えて
私の方は2日目の最後の対談に先駆けて行った30分のプレゼンテーションを
使用したスライドと共に、ここに掲載したいと思います。
今回は、お医者様の立場から4名の先生方のお話がありましたが、私は少し立場が違いますので、
朴澤先生との対談に先立ちまして、短いプレゼンテーションをさせていただけたらと思います。
まず初めに、主にホリスティック医療とのかかわりを中心に、自己紹介をさせていただきます。
大学から東京に上京し広告や編集の仕事についていましたが、
ある時、アロマテラピーに関心を持ち、1年間学んだ後に、
1996年よりアロマセラピストとして活動を始めました。
その直後に、父ががんであることがわかり、
その闘病生活時の医療を見たことをきっかけに、現代の医療への疑問が生じました。
その頃に、ホリスティック医学の考え方に出会います。
わたしがアロマテラピーを学びはじめた1995年ごろはアロマセラピストという仕事はあまり聞かない時代で、
オイルマッサージをすることは=エステティックと思われていました。
しかし、サロンワークをしていると、心療内科領域の疾患を持つ方や、生活習慣病で病院通いをされている方が、
自分で何かできないかということで、アロマテラピーのサロンを訪れることが増えてきたころでもありました。
アロマの場合、香りが精神や心の状態へ、マッサージや精油の複合的な効果が身体へ作用するということで、
ストレスで緊張した心と体に同時に働きかけるのに向いているのではないかと感じ、
エステティック的にだけではなく、ストレスケアとして、アロマテラピーが認知されたら良いのではと思い、
そうした方向性を持って活動していました。
2000年ぐらいから、当協会の副会長でもある降矢先生の赤坂溜池クリニックをはじめとし
、医療現場何か所かで、アロマの施術やセルフケア指導をはじめました。
同時に、降矢先生が行っていたチーム医療やネットワーク医療のための、
代替療法家の教育プログラムの運営などのお手伝いをしました。
その頃、チーム医療や心療内科領域、ストレスケアのためのアロマのことなどを本にまとめました。
アロマセラピストとして10年たったころに、自然とのかかわりを深めたく思いはじめ、
パーマカルチャーを学び、持続可能な暮らしづくりの実践のため、東京都心部から神奈川へ移住しました。
その後、現在住んでいる福島県の裏磐梯へ移り住みました。
そこでは、暮らしの中でホリスティックな意識やセルフケア意識を高めるための
薬草関連のワークショップや講座などを開催していました。
移住後1年余りした3月11日に東日本大震災が起きました。
福島県は原発事故による影響も大きく、放射能による分断が起きる中、
個々の癒しやコミュニティ再生のための対話の活動をはじめました。
また、古い家屋を自分たちの手でリフォームし、つくる過程もコミュニティづくりの一環となるような、
コミュニティスペースづくりを2012年にはじめました。
そして、今年からは、変化の時代にサバイバルするための価値観や暮らしの技術、
心身のバランスの整え方を学ぶ連続講座をはじめました。
そこでは、新しい時代の価値観として、ホリスティック・インテグラルな世界観を紹介しています。
わたしにとって2011年の東日本大震災、そして、東京電力の原発事故は、
内的に大きな転換期となり、それは今でも続いています。
震災直後は、放射能の影響により、土台となっていた「自然と共生する」という価値観が崩れ、
何をどうしてよいのか全く分からず、暗闇の中を手探りで進むような状態でした。
そして周囲を見れば、放射能に対する考え方の違いにより、葛藤や対立も起きていました。
震災直後、「安珠さんは、健康にかかわることをやっているのに、なぜ福島に住んでいるのか?」と聞かれたことがあります。
持続可能な暮らし、自然と共生する暮らしの実践を考えれば、放射能は少しでもあってはいけないこともわかっています。
自分はなぜ、ここで生きることを選んだのか??
それは、震災直後から自分に何度も問うてきたことです。
理由は言語化すれば、いろいろとあるでしょうが、いちばん腑に落ちる自分の答えとしては、
それでも、ここで生きることを選んだのは、ここのたどり着くまでのプロセスがあるからであり、
自分の魂の選択なのだということです。
月日がたち、それはだんだん確信に変わってきました。
震災での体験には、まだ消化しきれておらず、言葉にならないものもありますが、
生死のはざまにいて、「自分はどう生きるのか」という魂からの声を確認したような思いです。
もちろん、人それぞれの体験があると思いますが、被災した多くの人が、
自分はどう生きるのかを考えたと思いますし、
今だに考え続け結論が出ない方々も多くいらっしゃることと思います。
震災を体験し、それぞれがどう生きるかを3年間問うてきた今、
ホリスティックな世界を創るために、私たちは何をしたらいいのでしょうか?
みなさんで考えるきっかけとして、私の方から二つのスライドを紹介して、
プレゼンテーションを終えたいと思います
東京で活動していたころは、バブル崩壊後、社会がどんどんストレスフルになっている時代でした。
その頃に心と体のつながりを考え直そうという人たちがだんだん増えて来て、
関連することを学ぶ場も増えている時期で、癒しブームというものが訪れていました。
しかし、ビジネス的なものも絡んでくるため、本質的なものになかなか到達できないような感じがしていました。
大震災と原発事故を体験した福島や東北では、今、ストレス社会を通り越して、
「もう今のままでは立ち行かない」「考え方の新しい枠組みが必要」という意識が高まっているように思います。
その転換期でもあり、ある意味カオス状態であるなかから、
何が生まれてこようとしているのかをよく見る必要があると思います。
私個人としては震災の体験は、生き方を問われた、魂レベルの問題であり、抽象的になりますが、
いかに、その魂の灯を消さないようにするかということが、まずは大事なのかと思います。
そして、震災で深い気づきを体験しても、社会のメインストリームの唯物論的世界観に、
また飲み込まれてしまう可能性があるので、
価値観を同じくする者どうしのネットワークやコミュニティが必要ではないかと感じます。
しかし、癒しブームのように、スピリチュアルブームとして消費されないようにするには、
ひとりひとりがホリスティックに生きるということを基礎においての、世界の再構築が必要です。
言うのは簡単ですが、実践するのは難しいことです。
実践するには、支えあう仲間や場所が必要かもしれません。
また、先生方からも話がありましたが、ホリスティック医療は1人ではできないので、
専門家同士のネットワークも必要となってくると思います。
東北の地から、大地とつながった本物のスピリチュアリティを根付かせ、
世界が良くなることを祈りつつ、プレゼンテーションを締めさせていただきたいと思います。
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・スピリチュアリティの回復・・・個々がホリスティックに生きること
・個々が力をとりもどす・・・セルフケア意識の向上、専門家に頼りすぎない
・統合的視点を持つ・・・それぞれの強み弱みを理解して、統合的に利用する
・唯物論的世界観に流されない・・・要素還元主義的世界観とホリスティックな世界観、学びの必要性
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この後、朴澤先生と、これからホリスティックな世界や医療を実現するために必要なこと、
というテーマで、震災前後の周囲の意識の変化、ネットワークやチームの重要性などを、
医師の立場、セラピストや一般市民の立場から、各論的な話をしつつ対談しました。
(続きは、ブース展示のお話を書きたいと思います^^)