昨年の震災以降、省エネ・節電が社会全体の目標になりました。
福島原発の事故は、周辺に住む多くの人々の暮らしを一変させてしまいました。突然わが家と故郷から引き離され、いつ帰れるか未だ見通しが立たない人たちが沢山います。
事故終息に向けて、大勢の人が危険な作業に従事され、私たちには知らされていないであろう現場の事実も沢山あるのではないか、と想像します。
日本でのこの悲劇の直後、ドイツでは原子力発電所17基のうち8基を直後に停止し、2020年脱原発を決定、再生可能エネルギーへの転換を進めています。
もちろんその道は簡単ではなく、綱渡りのような厳しさが続いているようです。
しかし、厳しい道であっても、未来の世代に危険極まりない遺産を遺すより、できる限りの努力をして、脱原発に向かって国の政策が進むことを、多くの国民が望んでいるのではないでしょうか。
大飯原子力発電所の再稼働が、納得できる説明がされないまま決まってから、再稼働反対のデモの参加者が回を追うごとに増えたことが、それを裏付けています。
この夏の中部電力管内の節電目標は、対一昨年比で5%以上となりました。しかし、大飯原発再稼働により節電目標は、4%以上に改定されました。
何となく、釈然としません。2030年までに原発をゼロにするという目標に向かって進むなら、大飯の再稼働で簡単に目標値を下げることに、違和感を感じるのです。
いつでもどこでもなんでも手に入る暮らし、暑さも寒さも我慢しなくてよい暮らし、それはエネルギーや電気を沢山使う暮らしです。
ありすぎる物と情報でおぼれそうになっている暮らしから、もう少し自然に寄り添い、ない不自由さを楽しめる暮らし、ゆっくりと流れる時間と共にある暮らしに変えていくことが望ましいと思います。
それは、地球環境に優しい暮らしであり、私たちの命にとっても優しい暮らしのはずです。
震災によって奪われた多くの命に対して私たちにできることは何かと考えた時、震災が教えるものをきちんと受け止め、未来がどうあればよいかを考え、そこに向かって努力することだろうと考えます。
個々の人が自分の生きる場所で、自分にできることで努力する、それが死者への手向けであろうと思います。
今日は7月11日、悲劇の2011年3月11日から一年四か月、私たちの暮らしは少しは変わることができたでしょうか?