竹炭
「鬼滅の刃」が大ヒットとなっています。
私は今年に入って初めて「鬼滅の刃」を知りました。
きっかけは太宰府天満宮の近くにある竈門神社に誘われたことです。
主人公の青年が珍しい名前だったので兄妹に尋ねてみると
炭を売って家族を養っているとのこと。
私はすぐに昔、学校で習った白居易(楽天)の「賣炭翁」を
思い浮かべました。
薄着をした炭売りのお爺さんが寒空の下、宮中の役人に
わずかな絹ぎれで炭を買い叩かれるという
何ともひどいお話です。
10代の私には強烈でした。
私たちの年代で白居易の名詩を思い浮かべた人は
他にいるのではないかと思います。
翁が売っていた炭は竹炭ではないでしょうが
身近にとても良い竹炭がありましたので
私も扱ってみることにしました。
しっかりと焼けていて金属っぽい音がします。
臭いだけではなく水道水もやわらかくしてくれています。
しっかり使って
最後は庭にすき込みます。
私も、もうそろそろの年代に入ります。
男性ではありませんが
さしずめ「炭を売る媼」と言ったところでしょうか。
追記
沢山のアクセスありがとうございます。
白居易の「賣炭翁」の美しい旋律と勇気を讃えて
白文と書き下し文を書いておきたいと思います。
賣炭翁
炭を売る翁
伐薪燒炭南山中
薪を伐り炭を焼く 南山の中
滿面塵灰煙火色
滿面の塵灰 煙火の色
两鬢蒼蒼十指黑
両鬢 蒼蒼 十指黒し
賣炭得銭何所營
炭を売り銭を得て 何の営む所ぞ
身上衣裳口中食
身上の衣裳 口中の食
可憐身上衣正單
憐れむべし 身上 衣正に単なり
心憂炭賤願天寒
心に炭の賤きを憂え 天の寒からんことを願う
夜來城外一尺雪
夜来 城外 一尺の雪
曉駕炭車輾冰轍
暁に炭車に駕して 氷轍を輾らしむ
牛困人飢日已高
牛困れ 人飢えて 日已に高く
市南門外泥中歇
市の南門外にて 泥中に歇む
翩翩两騎來是誰
翩翩たる両騎 来たるは是れ誰れぞ
黃衣使者白衫兒
黄衣の使者と 白衫の児
手把文書口稱敕
手には文書を把り 口には勅と称し
廻車叱牛牽向北
車を廻らし牛を叱して 牽いて北に向かわしむ
一車炭重千餘斤
一車の炭重さ千余斤
宮使驅將惜不得
宮使 駆り将れば 惜しむも得わず
半疋紅綃一丈綾
半疋の紅綃 一丈の綾
繫向牛頭充炭直
繋ぎて牛頭に向かいて炭の直に充つ
最後までお読み頂きありがとうございました。