・昆虫食Bug eating/Insect Eating/Entomophagy/Insect food こんちゅうしょく
現在もアジア(タイ)、中南米、アフリカなど124か国で一般的な食品として約20億人が2000種類以上の昆虫を常食としています。メキシコでイナゴに似たバッタのチャプリネスは塩、ニンニク、唐辛子などで味付けし、揚げられたものがスナックとしてあるようです。今後の人口増加に伴う食糧危機の対策として、高タンパクな昆虫食が注目を集めています。
大量の食材を確保するのに、牧畜では何億頭もの家畜に飼料を与えることが必要になります。 その結果、資源を大量に消費することで、環境への負荷が大きくなり、環境問題がより悪化すると懸念しています。
野生の昆虫の餌としている食べ物には、植物の葉・汁、花の蜜、 小さな虫、樹液、動物の糞 (ふん)、生き物の死骸などです。 キリギリス類やコオロギ類では、主に植物の葉を、さらに小さな昆虫など動物性も食用にしています。
国際連合食糧農業機関(FAO)は、「昆虫が他の食材と同様に衛生的な環境で扱われている限り、病気や寄生虫が人に伝染した事例は知られていない」としています。衛生面ではあまり心配しなくて良いといえるでしょう。 甲殻類アレルギーの人では注意が必要です。
日本で古くより特に内陸部で広く食用としている昆虫は、稲の害虫であるイナゴの佃煮をはじめ、ハチの子、ザザムシ(トビゲラの幼虫)など、カイコ、カミキリムシ、コガネムシ、ゲンゴロウ、ガムシ、セミ、トンボ、チョウ類の幼虫、蛹(さなぎ)などがあります。幼虫やさなぎが比較的多く用いられているようです。
ココオロギが話題として大きく取り上げられていますので経済的にはパウダー(コオロギパウダー 1g≒コオロギ 10匹)に加工したものは100gで1500円前後のようです。 これは、魚粉の100gで300円、小麦粉1kg300円ほどに比べると割高の値段です。コオロギ(50匹/100g)のタンパク質は肉や魚の約3倍とかです。殻ごとの小エビに似た食感でキチン質の食物繊維も含み充分なタンパク質(乾燥62g/100g中)に加え、カルシウム(乾燥0.11mg/100g中)、マグネシウム、鉄(乾燥2.5mg/100g中)、亜鉛、ビタミンB12(乾燥24μg/100g中)、オメガ3(乾燥9.09g/100g中)といった体に必要な栄養素を含む次世代の食材・食品としているのです。
食物繊維(乾燥5.0g/100g中)は、腸内環境を整える作用が期待できます。なじめない味が心配という場合は、濃い味付けの主に佃煮で、さらに香辛料などを加え香りのある焼き物、から揚げとすると食べやすくなるようです。昔から生食、煮る、焼く、いためる、揚げるの方法で食べられていたようです。 また、食虫地帯では発生シーズンをはずれても、塩漬け、干物などで保存食としたものが売られ、 年間を通して料理店で供されていることも少なくないといいます。
SDGs:Sustainable Development Goals持続可能な開発目標のひとつに昆虫食が、世界的に人口が増加する中で、環境負荷も少ない重要な食糧として評価しているのです。2015年の国連サミットで持続可能な開発目標(SDGs)が制定で、その環境負荷の小ささなどから、より一層注目を集めたのです。
最近の昆虫食注目ではコオロギが飼育の容易さ、成長の早さ、雑食の観点から、さらに温室効果ガスの排出量はFAOの報告書には、昆虫3種ミールワーム、コオロギ、バッタで、豚や牛などと比較して、二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素・フロン・水蒸気など温室効果ガス(GHG:Green House Gas)が、およそ100分の1と低いというのです。豚の11分の1、牛の約28分の1ということもあり、飼育する時の環境負荷から可食部1kgを生産するのに必要な餌の量は牛25kgに対し、コオロギは2kgです。必要な水の量は牛で22000L、豚3500L、コオロギで4Lになるとの試算です。
さらに体重1gの増加に対する二酸化炭素の排出量は牛2850g、コオロギ1.6gで、環境負荷が少ないのです。飼育面積も小さくて済み、人口の多い都市部の近くでも生産飼育可能で、小さくて軽いので輸送にかかる環境負荷も減らすことができることでも注目しています。
昆虫食の原価が高いのは、まだ一般的に認知されていないため、大量生産できないのが原因ともいえます。
このように優れた食材である昆虫食なのですが、飽食の時代を主に牛・豚・鶏肉、魚介類、鶏卵、大豆・大豆製品などで過ごしてきた私達には、抵抗があります。そこで、調理方法や味付けの工夫、見た目が分からなくなる粉末食とした加工品から試していくのがいいようです。
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