[トルコの伝統料理]食生活について語ろう

・トルコの伝統料理ケシケキ（Ceremonial Keskek tradition）とるこのでんとうりょうりけしけき
　　2010年11月にケニアで開かれたユネスコ政府間委員会において、2010年にフランス美食術、地中海料理、メキシコの伝統料理、2011年にトルコの伝統料理(ケシケキ[麦がゆ])といった食文化が社会的慣習として登録がありました。日本の和食は、平成25年（2013年）に「ユネスコ無形文化遺産」に登録です。
今回は、トルコの伝統料理ケシケキについてです。
トルコ料理は、フランス料理、中華料理とともに世界3大料理の一つに数えられています。コンスタンティノープル（現在のイスタンブール）は、中央アジアを東西に横断するシルクロード交易の通過地点であったことから中国ないし周辺各国からの豊富な食材や香辛料が運ばれました。
ケシケキ（Kashkak）は、イラン、トルコ、ギリシャなどにおいて主に食べられている料理です。麦や肉、ミルクなどを煮込んで作る粥に似た料理であり、宗教的な行事や結婚式、葬儀の席で供しています。麦と肉、タマネギをミルク、水と油で一晩かけて煮込んだおかゆのような食べ物です。
大きな儀式の際、連帯感を強めるために行われる慣習で、小麦を大きな石臼で脱穀するところから始まるのですが、傍から見ていると、まるで餅つきをしているようにもみえるようです。
トルコやイランでは一般的な料理であり、今日では国外も含めた世界中のトルコ、イラン人によって食べられているのです。
ケシケキは北東及び中部アナトリア地方では「ハシュル」と呼ばれ、また、アルメニアには「ハリッサ」という類似の料理があります。
スラブ語派にみられる「カーシャ」という料理の名前は、ペルシャ語の「キシュク」（kishk）から、またサンスクリット語で「飲み薬」という意味の「カシャヤ」（kashaya）からの語源ではないかとも言われています。
また、かつては大麦の粒で作られたクスクスがケシケキ作りに用いられたことから、「ケシケキ」という言葉は「クスクス」という言葉とも関係があるといわれています。
15世紀ごろにはイランや大シリア地域の文献に登場しているのですが、結局のところは16世紀から18世紀ごろ、イランで羊のミルクに同量の大麦や小麦の粉、肉を加えて作られた「カシュク」（Kashk）という料理が起源と考えられているようです。
ギリシャではケスケクという名前で祭りの席の食事としてレスボス島では夏祭りの日にケシケキを用意します。この祭りの夜の儀式で牛を屠殺し、一晩かけて調理し、小麦とともに翌日供するのです。
ケシケキは単なる料理ではなく、儀式や民俗文化と結びついた一種の「社会的慣習」といえるもので、トルコでは結婚式、割礼式、祝日、雨乞いなど大きな儀式の際に主催者によってケシケキが振舞われ、調理には主役の親族や周辺住民などが総出でおこなうのです。
小麦の処理や脱穀といった一つ一つの過程は伝統的な歌や踊りと共に行われ、儀式の一部と化しています。
トルコ政府はケシケキ文化を保存するためにケシケキの習熟課程の設定、関連工芸品の生産奨励、ケシケキ・マスターの人間国宝への登録などの取り組みを行っています。ほかにも官学一体となった保存活動やNGO、地方自治体によるケシケキイベントなどの取り組みも行われています。
こうした取り組みが実り、2011年11月に「トルコのケシケキの伝統」（Ceremonial Keskek tradition）は ユネスコの無形文化遺産に登録したのです。

世界三大料理の一つと称しているトルコ料理の特徴として羊、ヨーグルト、ナッツ類、オリーブ、海産物が使われ、主食として小麦と米の両方を用いています。地域によってトウモロコシ、唐辛子、オリーブ、香草を使った料理であり主になるものが異なっています。酸味と辛さの味付けとなっているようです。
肉はイスラム教国であるため豚肉はほとんど用いられないことはもちろん、気候が肉牛の飼育に適さないため牛肉もあまり使われず、もっぱら羊肉や鶏肉が使われています。
肉料理としては、ケバブ(焼肉料理)、シシケバフ(串焼き)、キョフテ(ひき肉料理)の肉料理がよく知られます。「ピラウ」から生まれたピラフ、「ドルマ」からのロールキャベツ、ヨーグルトはトルコが発祥で、年間消費量およそ35㎏（2021年）と世界一、呼び名は、トルコ語の「Yoğurt（ヨーウルトゥ）攪拌の意」からといいます。よく伸びるアイス「ドンドゥルマ（トルコアイス）」がその中で最も広範囲な意味のある伝統料理として有名なのがケシケキといわれるものなのです。　　

　


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