川和田恵真監督の「マイスモールランド」をやっと観た。
やっとのわけは、日本に難民申請しているクルド人家族を描いた作品だと知っていたから。左派系或いは人権派の人たちが日本の入管行政を告発するために作った映画なんだろうと勝手に想像していたのだが。
主人公はクルド人の家族とともに故郷を逃れ、幼い頃から日本で育った埼玉の高校生。将来の希望は小学校の先生になることで、大学進学資金を貯めるためコンビニでアルバイトしている。ところがある日、難民申請が不認定となり一家は在留資格を失う。父親は不法就労となり入管施設に収容され、バイトも解雇されて彼女の日常は一変する。絶望的な状況に苦悩する姿を描いて、何も解決しないまま映画は終わる。
こうした状況がまさに現実だろう。
わたしは日本を移民大国化しようとする動きには反対で、川口市などでクルド人が諸々問題を起こしていることに政府は真剣に取り組むべきだと考えている。
が、こんな作品を観たら、そうした考えも揺らぐ。もっと人道的な対応が必要だという思いにかられ、わが国の移民・難民政策はどうあるべきかわからなくなる。これ以上のことはまだ書けないが。
この作品は2022年第72回ベルリン国際映画祭でアムネスティ国際映画賞スペシャル・メンションをとった。
だからというわけではない。映画にはものすごい力があるのだと強く思った。
またこの川和田恵真という人が是枝裕和監督率いる映像制作者集団「分福」のメンバーで、西川美和も「分福」の代表格、というのも驚いた。
日本映画界もすごいんだな。
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