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本と音楽とねこと

いま、働くということ

大庭健,2008,いま、働くということ,筑摩書房.(7.28.2020)

 故大庭健さんは、哲学者であったが、社会学者以上に社会学的思考ができる人だった。
 行為、役割、自己と他者、社会システム等々、主題の訴求力はともかく、社会学の上質なテキストを読んだ感がある。

目次
はじめに―働く意味への問と、労働シニシズム
1 働く環境の破壊
2 何のために働くのか
3 人間の協業の仕組み
4 生きることと働くこと
現代における労働環境―結びに代えて

フリーターが増加し、正社員とそうでない人の格差が広がっている。働く環境が悪化し、「こつこつ働いたところで何になる?」という諦念が蔓延しつつある。お金のため、自己実現のためという、仕事を手段化する感覚が広がるなか、「働く意味」を多くの人が実感できなくなっている。実際には私たちは、見知らぬ人々や自然といった「いのち」の連鎖のなかで生きているという視点から、「いま、働くことの意味」を問い直す。

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